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デイリーマーケットコメントーFRBウォーラー理事発言でリリーフラリーも沈静化

・FRB理事発言を受けて、米ドル、米国債利回りともにやや上昇
・中国政府の不動産市場支援策で株式市場は急落回避へ
・仮想通貨は予想外の上昇、ゴールド、原油は警戒感強める

FRB理事、金融引締め終焉への期待を一蹴
本日米ドルは堅調なスタートで取引されていますが、FRB高官が先週のインフレーションデータの重要性をトーンダウンしたことで、株式市場は混合した様子です。FRBウォーラー理事はオーストラリアでの経済イベントにて、利上げが終わりに近づいているという見解はかなり的が外れており、10月のインフレーション鈍化はただ一つの指標に過ぎないと一蹴しました。

ただ、ウォーラー理事は利上げ減速の可能性は示唆し、この点では先週11日にタカ派姿勢を軟化したボストン連銀コリンズ総裁を支持しました。

インフレーションが下方へ向かうという明らかな兆候が表れるまで、緩やかながら利上げのペースを維持するFRBの非妥協的な立場は、楽天的な投資家たちにとっては、必ずしも取引を妨げにはなっていないようです。株式市場はこのウォーラー理事の発言後もかなり前向きで取引がされており、これは、市場がインフレーションが近い将来抑制に働くと信じているのか、またはFRB金融引き締め策が実際には進んでいないのかのどちらかでしょう。

米ドルは堅調に推移も復活までは懐疑的
米経済は他の世界経済と比べそれほど悲観的ではないにせよ、弱気市場になりつつあることは否めません。米ドル指数は11日、過去3か月で最低値まで下落し、ここ2年半で最悪の週となりました。しかしFRB金融政策に対する新たなる警戒感によって、本日その損失の一部を取り戻しています。米国債利回りもやや上昇しています。
国債10年利回りは4％を下回りましたが、イールドカーブは依然として大きく逆転しています。

ポンドは先週一番上昇しましたが、ハント財務が緊縮財政案を発表する17日を控え、さらなる景気後退の危機感が増し、本日1.18ドルを下回っています。

日本円も下落しています。日銀黒田総裁は来年の賃金回復について前向な姿勢を示したにも関わらず、金融緩和の必要性を強調し、日本円は1％ほど下落しました。

株価は一時的な上昇一服の可能性
株式市場では、リスクオンムードが広がりました。アジア株価市場は強弱混合の動きで引け、欧州株式市場は上昇幅を拡大させました。

二日間の上昇を継続した米株価は、先週金曜日のS&P 500の6.5％上昇、及びナスダック指数の9％以上の上昇から下落し、米Eミニ先物指数は、0.3％から0.5％下落して推移しています。

昨日、中国政府は、デベロッパーを支援し、不動産販売を促進する為、16項目の不動産市場支援計画を発表しました。先週のコロナ隔離期間短縮に続き、その他の規制緩和への期待にも繋がりました。

ゼロコロナ実現は数か月先となる見通し、及び北京やその他の主要都市での新規感染者増加により、中国株価の上昇は限定的となりました。

コモディティ価格下落、仮想通貨は予想外の上昇
一部のコモディティ、特に原油の需要鈍化の見通しで、本日のコモディティ価格が下落しました。欧州、及び米国での景気後退が一段と現実的になりつつある中、原油市場では翌年の経済成長リスクへの懸念が強まっています。更に、中国でのゼロコロナ実現にも時間を要する模様です。

11月に8％以上値上がりしたゴールド価格は、3か月ぶり高値から下落しました。本日の原油安の背景には、米ドル高、及び米中関係への懸念があるようです。インドネシアでのG20サミット開催前の本日、米中首脳会談が実施されました。

しかしながら、米ドルが再び下落を再開した場合、ゴールドは1800ドル台を回復する可能性があります。

デジタル通貨に関しては、急落したビットコインとアルトコインは、本日には上昇してのスタートとなりました。仮想通貨業者FTXの破綻後、仮想通貨相場は大きな混乱に直面しました。先週末、FTXのウォレットからの不正流出ニュースは、危機を悪化させました。本日、仮想通貨市場は予想外に上昇しましたが、混乱は継続する模様です。