デイリーマーケットコメントーFRBと指標結果で米ドルやや回復、財政計画前にポンド高

投稿日: 2022年11月17日20時47分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・FRBタカ派強調で米ドルやや回復
・半導体関連株の下落で株価下落
・英財政計画で緊縮財政時代到来の不安もポンドは上昇

FRBタカ派を強調

米ドルは、本日は今週で最安値付近で推移しています。これはFRBが市場で広まるハト派への方向転換を否定したことによるでしょう。先週のCPIレポートによって、米インフレーションの抑制が始まっていることを強く再確認したことで、市場は楽観ムードにあります。

FRBはリスクオンの流れを遮るため、CPIレポートはただの一つの指標にすぎないと一蹴しましたが、十分な効果が見られなかったため、先日さらに、引き締めサイクルは長く続かないとの市場の期待を払拭に努めています。

FRBウォーラー理事は利上げ継続の見解を再表明し、サンフランシスコ連銀デーリー総裁も最新の価格圧力から金利を5%前後に引き上げる必要があると示唆しました。10月米小売売上高が大幅に予想を回復したことを市場は材料視し、米経済は依然として過熱気味であるとのFRBの見解を浮き彫りにしました。

ポンドは中期財政計画を前にやや上昇

FRBのハト派発言の撤回は、リスクラリーに明らかに水を差しましたが、最近の急激な動きにも大差はないようです。この最も顕著な例としては、米長期国債利回りが数週間ぶりに安値を更新後、本日も下落を拡大し、本日も若干上昇しているにとどまっています。

FRBのタカ派発言及び小売売上高データの結果は米ドル高には繋がらず、今のところは安定して推移していますが、短期的なリスクとして下振れが継続しています。

ドル/円で重要な140円台を回復できず、わずかに下回っているようです。ポンド/ドルはドル安に恩恵を受け、1.20ドル台まで上昇しているようです。

英国は、本日ハント財務相による中期財政計画を発表が控えており、ポンドの復活にも脅威をもたらすでしょう。本日英時間11時半に、政府は増税と歳出削減をともに発表する予定で、トラス前首相が引き起こした経済混乱の後、英政府は英財政を制御し、経済的信頼性を取り戻すことを目指しています。

しかし、もし財政政策に慎重になりすぎた場合、すでに縮小している英経済に残っている成長の余地までも妨げてしまう可能性があります。その一方で、財政引き締めの大部分が次期選挙が予定される2024年まで先送りされる模様で、ポンドが引き続き回復へ向かう可能性が高くなります。

中国懸念で豪ドル下落

本日、他の主要通貨も下落したものの、豪ドルが最も下落した通貨となりました。中国政府による規制緩和の動きが終了する可能性が懸念され、豪ドルが下落しました。新型コロナウイルスの規制が経済成長の打撃となる中、中国政府は一段の規制緩和はインフレ上昇に繋がるリスクに警戒感を示しました。

今後、中国の金融政策が経済支援に繋がらない可能性により、豪ドルは下落し、本日の豪雇用統計の強い結果での上昇幅を失いました。

半導体メーカーの見通し悪化で、株価下落

中国政府の動きに加えて、米ハイテク企業のニュースにより、株価の上値が重くなりました。マイクロン・テクノロジー、及びエヌビディアは業績見通しを下方修正しました。マイクロン・テクノロジーは、半導体供給、及び支出削減計画を明らかにし、エヌビディアは売上高が市場予想を上回ったものの、ゲーム事業の不振が浮き彫りとなりました。

昨日、米3主要株価指数はの終値は下落し、欧州セッション中の米主要株価先物指数は若干下落しました。米中間選挙結果は確定していない為、米共和党の下院の過半数獲得ニュースへの市場の反応は限定的でした。ねじれ議会では、民主党の政策案通過は困難になるでしょう。

本日、米週次新規失業保険申請件数、及びFRBメンバーの発言に市場の注目が集まります。明日には、日10月消費者物価指数が発表されます。