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・セントルイス連銀総裁発言で米ドルは限定的上昇へ
・米国債利回りの上昇で米株式市場に圧迫も復活の兆し
・日CPI上昇も円への影響限定的、ポンドは財政計画発表後に堅調推移

FRBはタカ派姿勢を強調
本日もFRB高官はタカ派発言を繰り返し、今週初めの市場の楽観ムードに水を差しています。インフレーションの減速により、利上げを鈍化するという市場の期待もFRBがそのような憶測を払拭したため、現在は可能性が低くなりました。
米インフレーションは今のところ減速しているとの見方が多いですが、FRBが金利引締め策を緩和する方針は小さいようです。金融緩和につながるインフレーション減速のニュースの度に、FRBはその楽観的観測を阻止するほかないようです。市場は先週のCPI発表後、金融緩和の期待から、株価の上昇と国債利回りの低下につながりました。
これまでで最も劇的なFRBの発言として、セントルイス連銀ブラード総裁が昨日、インフレーションの抑制のためには、最悪のシナリオとして金利が7%まで、最低水準でも5%から5.25%は上がる必要があると述べました。
16日の米小売売上高の予想を上回る好調な結果、及び昨日の堅調な失業保険申請件数の増加は、米経済はまだ沈静化していないとのFRBの見解を裏付けていますが、市場はそのようには捉えてはないようです。
S&P500好調で株式市場は再上昇
現在、インフレーションが抑制の動き、低調な雇用市場、及び不十分な金利引締め策にもかかわらず、投資家はまだ期待が高いようです。
Fbrタカ派発言によって、米国債利回りの低下に歯止めがかかりましたが、米10年債利回りはCPIデータ前の水準を大幅に下回っています。
一方、株式市場はわずかに下落したものの、米株式市場は本日上昇しています。シスコシステムズとメイシーズが共に収益予測を上方修正したため、S&P500は昨日早速上昇に転じました。最終的にマイナスで終値をつけましたが、欧州株式市場が主導となって、本日は今週の損失を補填する可能性は十分あるようです。
欧州では、ECBが12月に0.75%から0.5%のみの利上げにする可能性が高く、市場の期待が高まっています。しかし、欧州の各銀行は約5,000億ユーロのTLTROの貸し出しを返済する必要があり、依然として慎重な姿勢は変えられません。
英財政再建計画の発表後、ポンドは堅調推移
本日のユーロは若干上昇したものの、方向性に欠けた動きとなりました。一方のポンドは、対米ドルで1.19ドル台越えを達成し、今週を上昇して終える見通しです。昨日、ハント英財務相は、財政再建計画を発表し、英国は既にリセッション入りしているとの見解を示しました。これを受けて、ポンド/ドルは一時1.18ドル台を割り込みました。
財政再建計画では、歳出削減が国政選挙までずれ込み、低所得者への負担が予想よりも軽減されました。一方で、税負担は第二次世界大戦後最高水準となり、経済成長への具体的な方針は見られませんでした。
国債市場の混乱もなく、本日の英10月小売売上高の予想外の強い結果により、ポンドは回復しました。
CPI上昇への円の反応は限定的
日10月消費者物価指数に上昇が見られたものの、円は対米ドルで再び下落し、今週を僅かに下落して終える模様です。生鮮食品を除くコアの消費者物価指数は、前年同月比3.6%増となり、先月結果の3.0%から上昇しました。
上昇率は40年ぶり高水準となったものの、日銀はインフレは翌年から下落するとの見方を示している為、材料視されませんでした。本日、日銀の黒田総裁は、急速な物価上昇が見られない限り、現行政策を維持する姿勢を示しました。ドル/円は140円台越えを再び試す展開となっています。
現在の所、FRBのタカ派的発言が落ち着いたものの、米ドルは依然として不安定な動きとなっています。しかしながら、円とスイスフランの下落により、米ドルインデックスは今週を緩やかに上昇して終える模様です。