デイリーマーケットコメントー米ドル一段安、ECB議事録はインフレ懸念明らかに

投稿日: 2022年11月25日19時52分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・FOMC議事録公開で米ドル安継続
・ECB議事録はインフレ定着への懸念浮き彫りに
・原油価格は九月の安値よりやや上で安定

米ドルは一段安

昨日、米ドルは他の主要外貨に対し一段安を更新しました。例外は、スイスフランで、対米ドルで実質的に動きはありませんでした。

米ドルは本日安定推移しており、特に重要な指標の発表もないため、市場は水曜日に発表されたFOMC議事録の公開を引き続き材料視するでしょう。この議事録はハト派寄りに解釈されており、オーバーシュートやターミナルレート到達後の金融政策についてメンバーの懸念が浮き彫りにされました。会合後、利上げの一時停止は時期尚早であるとしたFRBパウエル議長の発言との矛盾を浮き彫りにしました。

市場はすでに12月の利上げを0.5%と織り込み、金利のピークおよびその後の展開について憶測しています。この議事録によって、2023年末までにほぼ0.5%の利下げというシナリオが信ぴょう性を増し、FRBタカ派の予想外の発言がない限り、来週に向けてドル売りが進むでしょう。

しかし、米ドルが最新の大幅な調整を拡大したとしても、特に来週の雇用統計と12月中旬のFOMC会合を前に、弱気市場へのトレンド反転の議論は時期尚早でしょう。

ECB議事録ではインフレ懸念明らかに

米株式市場は本日オープンしますが早めに休場します。市場はおそらくFOMC議事録の結果を材料視しており、株価はさらに回復傾向に向かうでしょう。

実際、議事録の発表後、株式市場には活気が戻り、1セッションだけでなく、欧州の取引にも波及し、ユーロストックス50は0.39%上昇、ドイツDAXは0.78%上昇しました。ECB議事録の公表がなければさらに上昇した可能性があります。ECB議事録では、10月のインフレーションデータが前年比の9.9%から10.6%に急加速した前にも関わらず、すでにインフレ長期化への懸念が明らかになりました。

ユーロはドル安の恩恵もトレンドの逆転は時期尚早

さらに、ECBシュナーベル理事が、小幅な利上げへの議論は時期尚早であり、逆効果になる可能性もあると発言したため、市場は12月のECB会合にて再び0.75%の利上げを行うだろうと予測しています。

12月に、ECBがFRBよりもタカ派に徹し、特にユーロ圏内の11月S&PグローバルPMI速報値が予想を上回った場合、ユーロ/ドルはサポート線を維持する可能性があります。欧州での景気後退はより現実味が帯びていますが、ユーロ圏内での指数が当初予想していたものほど悲観的でないという期待も増しています。逆に米の指数は予想よりも悪い結果となりました。

しかしながら、欧州での景気後退はさらに深刻で長期的なるであろうと推定されており、ECBはタカ派で居続ける余裕がなく、ターミナルレートレベルに関しては、FRBのようにはいかない可能性があります。そのため、ユーロ/ドルでの回復は強気トレンドの反転ではなく、力強い調整のように見えます。しかし、1.0350エリアや200日指数移動平均線など主要なテクニカルレジスタンスゾーンの突破は、さらなる躍進への概念を裏付けています。

原油価格は安定も先行きには暗雲

昨日、原油価格は下げ止まり、本日のブレント原油先物、及びWTI原油先物は回復しました。G7のロシア産原油価格の上限設定を巡って、参加国政府の意見が分かれています。

上限が高すぎると判断した国は、提案の上限価格はロシア産原油の取引内の為、上限設定にならないと見なしています。一方、海運業に依存する国は、上限が低すぎると判断し、補償或いは移行期間を要求しています。したがって、本日も協議が継続します。

大局的な流れとして、原油相場は中国市場に注目しています。本日、中国の新規感染者数は過去最多を記録し、規制緩和への期待も後退し、原油需要への懸念が一段と強まりました。したがって、原油価格が再度下落を開始し、9月安値を割り込む可能性があります。