デイリーマーケットコメントー中国への政策緩和期待で株価と原油価格は上昇

投稿日: 2022年11月29日20時29分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・中国のゼロコロナ政策緩和へ期待高まる
・FRBタカ派発言でリスク資産の回復は限定的
・OPECプラス原油減産の示唆で原油価格は上昇

中国での抗議活動緩和で市場も安堵

北京や上海など主要都市で当局が警察を大量に配備したことから、中国内の抗議行動は沈静化しつつあるようですが、ゼロコロナ政策の緩和に関してはまだ見通しが立っていません。

しかしながら、厳格な規制への国民の高まる怒りを受けて、当局は段階的な解除に向けて取り組むとの憶測が広まっています。当局の姿勢は、本日に保健当局が高齢者向けのワクチン接種の強化を発表したことからも裏付けられます。

中国政府は、ゼロコロナ政策の「過度な実施」が国民の怒りを買っていることを認識しているようです。そのため、この抗議運動がゼロコロナ政策の緩和へつながるとの期待があります。しかし現実的には、厳格なコロナ政策を撤回するには、中国政府はリスク評価に時間をかけるでしょう。

中国での動きは、市場には優位的に働いているようです。中国証券規制当局は、上場不動産開発会社の本土株発行解禁を公表しました。これを受けて、中国資産のセンチメントが一段と改善しました。CSI300指数は昨日の低迷から回復し、本日ベンチマークとなる3%上昇して引けました。

FRBとECBのタカ派発言で株価反発は限定的

中国のゼロコロナ政策緩和への期待から、米国株式市場も上昇しましたが、欧州株式市場の反応はまちまちです。ロンドンでは、FTSE 100のみが本日午前中に大幅に上昇しました。ユーロ圏内のインフレーションがピークアウトの可能性を示唆する最新の指標を考慮すると、欧州株式市場の低迷は若干意外です。ドイツの4州では、CPI指数の年率が前月比で低下し、スペインでは総合インフレ率が予想を下回りました、

ユーロ圏のCPI速報値は明日発表予定ですが、昨日、ECBラガルド総裁がインフレが既にピークに達したなら驚きだとタカ派寄りの発言をしたことにより、市場の期待は限定的になりました。

ラガルド総裁はまた、ECBの利上げはまだ途中経過でするべきことがあると述べています。

FRBもまたタカ派に徹しています。セントルイス連銀のブラード総裁はインフレの自然抑制が強調により、FRBの政策は物価上昇抑制に不十分であると警告を強めました。

リスク選好が限定的なのには他にも理由があります。今週月曜日、米アップル社の株価も2.6%下落しました。ホリデーシーズン前に、中国での抗議活動とロックダウンによるiPHONE最新モデル製造への影響懸念が背景にあります。

今週発表されるISM製造業PMI 、コアPCEおよび11月雇用統計が予想を大幅に上回る場合、リスクセンチメント改善の余地もあります。

米ドル反落、原油価格上昇

今週末には、OPECプラス会合に市場の注目が集まります。中国国内での需要減少見通し、及び世界の景気後退リスクを背景に、加盟国、及び非加盟国による減産の検討が報じられています。

昨日に約1年ぶり安値まで急落した原油先物指数は、直近では約2%上昇しています。

通貨市場では、米ドルは昨日の上昇から反落し、欧州取引時間には対円で一時138円台を割り込みました。昨日に1.05ドル付近まで急落したユーロ/ドルは、本日には上昇に転じました。リスク通貨の豪ドルとNZドルも約1%上昇しました。

OPECプラス政策の不透明な見通し、及びEU内でのロシア産原油の上限設定の合意待ちの中、カナダドルは、対豪ドルとNZドルで下落しています。