デイリーマーケットコメントー米失業保険申請件数増加で米ドル下落、米株価復活

投稿日: 2022年12月9日19時18分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米失業保険申請件数増加で米ドル下落、米株価復活
・本日の米PPI指数発表に注目
・北米パイプライン稼働停止も需要懸念から原油価格下落

米失業保険申請件数の増加で米ドル下落

米ドルは本日のアジアセッションで、先日に続き対主要通貨で続落しました。

米ドル売りの背景にはおそらく米失業保険申請件数の増加があるでしょう。11月失業給与金の新規申請者数は若干増加しましたが、継続的な申請数増加は過去10か月最高に達しました。そのため、先週発表の好調な雇用統計にもかかわらず、労働市場は今後数か月で減速するとの憶測を裏付けたようです。

来週は、13日に米消費者物価指数(CPI)及び、14日に米金利発表が控えています。そして本日は、米生産者物価指数(PPI)に市場は着目し、来週のFRB金利発表に準備するでしょう。大方の予想は利上げ減速であり、来週のCPI指数が続いてインフレ緩和を示唆することを望んています。

ミシガン大学の今後1年間のインフレ期待減速と相まって、市場は来年末までにほぼ0.5%の利下げと米ドル安が継続を予想しています。

来年早々、世界経済の景気後退懸念が強まり、米ドルが安全資産として上昇する可能性がありますが、9月の米ドル高ピークから離れるほど、この上昇トレンドが再開する可能性は低くなります。市場が米利上げ鈍化を予測する中、安全資産としての投資先は、利回りの高い米ドルから日本円とゴールドに移行するかもしれません。そのため、現在の米ドル復活が下落へ向かう前の短期的なリバウンドになり得るため、米ドルの見通しは今のところ中立的と言わざるを得ません。

米株価は反発も見通しは不透明

米週刊失業保険申請件数の増加によって、S&P 500株指数は5日連続下落に終止符を打ちました。本日のPPI指数が減速の場合、FRB利上げ鈍化に期待が高まり、今後数か月及び数年の予想キャッシュフローを割り引いて評価される企業の現在価値上昇につながる可能性があります。

経済成長減速を示す指標は株価には都合の良いニュースという定説がありますが、最終的には経済へのダメージが株価に前向きな展開とはいえないため、この定説にも限界があります。

中国のゼロコロナ対策緩和が株価上昇につながる可能性はありますが、中国経済の本格的な再開にはまだ時間がかかりそうです。そのため、米株式市場は米経済見通しだけでなく、世界経済を視野に入れることも必要になります。

このため、米株価復活は限定的である可能性が高く、S&P 500は記録的なピークから下方トレンドラインを下回って推移しているため、テクニカル分析の観点からも一時的であると言いえるでしょう。

北米パイプライン稼働停止も需要懸念から原油価格下落

原油相場では、米国とカナダ間の原油パイプライン稼働停止は材料視されませんでした。これにより、市場での最大の懸念は世界経済減速であることが一段と鮮明になりました。中国のゼロコロナ政策緩和にもかかわらず、市場では、今後数か月間での原油需要鈍化の見方が強まっています。

しかしながら、2023年末まで原油安が継続するとは限りません。ゼロコロナ政策緩和は、経済回復に繋がります。米利下げ観測による米ドル安は、ゴールド回復の追い風になります。ロシア産原油の上限設定による原油価格への影響も不透明です。ロシアが上限設定を採用する国への供給を制限した場合、原油需要が増加し、原油価格を下支えするでしょう