デイリーマーケットコメントー米GDP発表前に米ドル下落、カナダ中銀利上げ停止へ

投稿日: 2023年1月26日19時18分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・FRB政策転換への期待で米ドル下落
・本日第4四半期米GDP速報値発表
・ECBメンバーのタカ派発言続く
・カナダ中銀利上げ停止示唆でカナダドル下落

カナダ中銀の利上げ停止示唆でFRBにも期待高まる

昨日、米ドルはカナダドルとNZドルを除いた主要外貨に対して下落しました。

米ドル下落の背景には、経済データの欠如とECBとFRBへの期待の乖離から、市場のドル売りにつながったようです。今週発表されたユーロ圏PMI速報値は1月に成長に戻りましたが、米PMI数値は7か月連続で縮小領域となりました。

その上、カナダ中銀が0.25%の利上げを決定し、利上げ停止を示唆したことから、FRBもこの流れに続くとの憶測が広まった可能性があります。

しかし、FRBによる来週の会合での利上げ停止観測は時期尚早と言えます。FF先物によると、市場は2月と3月の2会合連続での0.25%の利上げをほぼ完全に織り込んでいます。一方で、FRBは0.75%の追加利上げとその後の長期一時停止を予測しているのに反し、市場は年内での0.5%利下げの可能性を依然として織り込んでいます。

本日米GDP発表、ECBはタカ派発言続く

本日、第4四半期米GDPの速報値に注目が集まります。第3四半期の3.2%から2.6%の減速が見込まれていますが、依然として力強い成長と言えます。しかし、過去2か月間の低調な米小売売上高と製造業および住宅部門の景気後退、また大幅利上げの経済影響への時差により、この数値は最後の堅調な成長になるかもしれません。

本日のGDPの数値が下振れの場合、米経済のソフトランディングに反して、景気後退の深刻化への懸念を引き起こす可能性があります。その場合、米ドルは特にユーロに対して下落軌道にとどまるでしょう。

今週初め、ECBのパネッタ専務理事が3月以降の動きについて推測すべきではないと発言したと報道されています。しかし、ドイツ中銀ナーゲル総裁とアイルランド中銀マクルーフ総裁ともに、ECBによる利上げが第2四半期まで及ぶ可能性を示唆しました。ECBラガルド総裁およびメンバーのタカ派発言、またユーロ圏の経済改善とコアインフレの加速が相まって、ユーロは上昇し続けるでしょう。先日、ユーロは対米ドルで1.0900を超えて上昇しました。近く1.1175圏内にまで上昇する可能性もあります。

カナダ中銀の利上げ停止示唆でカナダドル下落

昨日、カナダ中銀は累積的な利上げの影響を査定する間、利上げを一時停止する可能性を示唆しました。これにより、カナダドルは下落しました。

しかし同時に、カナダでのインフレを目標まで戻すには利上げの必要性も示唆しています。米ドル下落と中国再開に楽観ムードが漂う中、米ドル/カナダドルは復活して利益を取り戻すかもしれません。

米株式市場は企業収益報告続く

米株式市場は、S&P500とダウ・ジョーンズがオープニングレベルで取引を終えましたが、ナスダックは0.18%の下落となりました。企業収益報告に注目が集まり、S%P500の企業のうち95社が既に報告を終えています。

しかし予想を上回る収益報告は平均以下となっており、アナリストたちは総利益の予想を下方修正しています。現在S&P500の利益は年明けの1.6%減少予想に反して、前年比で3%減少しています。