デイリーマーケットコメントー米株式市場は楽観ムード、本日の米PCE指数に注目

投稿日: 2023年1月27日19時47分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米株式市場はテスラ社の好調な収益報告で好調ムード
・米ドルは本日の米PCE指数発表に注目
・東京CPI指数上昇と日銀のYCC上限接近で日本円は小幅下落

米ハイテク大手が株式市場の楽観ムードを牽引

今週ナスダックは、4週連続で上昇に向かっており、今年のハイテク株復活の兆しを見せています。第4四半期の企業決算シーズンも本格化し、S&P500の3分の2以上の収益が予想を上回っていると報告されています。

しかしマイクロソフト社やインテル社のように、今期の業績が思わしくないハイテク大手もあり、今期の収益全体像を正確に反映しているとはいえません。それでも市場はこの暗い見通しへのリスクを鑑みず、今月いっぱい楽観ムードにあるようです。

この楽観姿勢には根拠がないとは言えません。昨年、テクノ株は苦戦し、高騰するバリュエーションは大幅に下落しました。そして、ハイテク大手による最新の大量解雇のレポートもこの不況を乗り越えるための対策に着手したと捉えられています。

一方、テスラ社の売上高は継続的に上昇しています。水曜日に発表された収益は大幅に上昇し、マスク氏は今年の自動車販売が2百万台を超えると楽観視しています。昨日、テスラ社の株価は約11%上昇し、ナスダック指数を1.8&押し上げました。一方で、IBM社の株価はEPSの予想を下回り、4%以上下落しました。

景気後退懸念の緩和、原油は上昇、ゴールドは下落

本日のアジアセッションでは、景気後退懸念の緩和により、前向きなセンチメントが高まっています。昨日の米GDP速報値は第4四半期に予想をわずかに上回り、失業保険申請件数も昨年4月以来の最低水準となりました。

また中国政府は、今月のコロナ感染による入院数と死亡数の減少と発表しました。これで、コロナ感染が中国の経済回復の障害にはならないと市場は判断したようです。

この中国の状況は、原油価格の上昇にもつながり、今週初めの損失を取り戻しました。一方、米ドルが8か月ぶりの安値から反発した後、ゴールドは下落しました。

ゴールドは1オンス1.925ドルで取引を終え、昨日の9か月振りの高値である1.949ドルから小幅下落しました。

米ドル堅調推移、日銀へのYCC修正期待でやや円安

堅調な米経済データを受けて、米国債利回りが上昇し、米ドルも恩恵をうけています。しかし、本日の欧州市場開始後、米ドルは横ばい推移しています。データ発表後も、来週の米政策会合で0.5%の利上げの確率ははわずかに上昇したにすぎませんでした。これはおそらく、FRBが慎重になると市場が見込んでいると思われます。

本日の米PCE指数が予想通り軟調である場合、市場はFRBのタカ派姿勢を材料視しないでしょう。12月のコアPCE物価指数は前年比で4.4%減、個人消費も前月比で0.1%減少すると予想されています。

一方、東京でのコアCPI指数は、1月に前年比4.3%と予想以上上昇しました。このため、日10年物国債利回りも0.48%まで上昇し、日銀の利回り上限である0.5%に近づきました。

これで、日銀によるイールドカーブ・コントロール維持への疑問が高まっています。リスクオンの流れに逆らって、本日は円安になっています。それにも関わらず、円安は小幅で、来週に控えるFRB、ECBそしてイングランド銀行の政策会合を前に、ほとんどの主要通貨ペアは昨日と似たような動きを見せています。