デイリーマーケットコメントー中銀金利発表でユーロとポンド下落、本日米雇用統計発表

投稿日: 2023年2月3日19時19分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・ECBラガルド総裁は次回3月会合で0.5%利上げを示唆
・英中銀ベイリー総裁はインフレのターニングポイントを認識
・市場は本日の米雇用統計に注目

ECBラガルド総裁のタカ派姿勢もユーロ下落

昨日、ECBとイングランド銀行が予想通り0.5%の利上げを発表しました。しかし市場は、ECBラガルド総裁、および英中銀ベイリー総裁の発言を良い兆候とは捉えなかったようです。
ラガルド総裁は、次回も0.5%利上げを実施し、データに基づいて会合ごとに金利の道筋を査定していくと述べました。また、供給障害の緩和を認めた上で、時間差の影響が商品価格のインフレを押し上げていると付け加えました。

このラガルド総裁のタカ派姿勢にも関わらず、ユーロは下落しました。市場は、この発言を引き締めサイクルの終焉の暗示と捉えたようです。しかし、市場は今後ECBによる0.75%以上の利上げを織り込んでいるため、ユーロ売りは「発表売り」市場の反応のようです。ラガルド総裁は、これまでタカ派発言を繰り返して来たため、昨日も市場には驚きの様子はななかったようです。また、FRB政策発表の影響と相まって、ユーロ/ドルの投資家は、多少の利益確定に動いた可能性があります。

英中銀ベイリー総裁はインフレのターニングポイントに言及でポンド下落

一方、イングランド銀行のベイリー総裁は、インフレとの闘いはターニングポイントに来ているとトーンを変えました。以前は、「必要に応じて断固として対応する」と述べており、今回は、より持続的な価格圧力の証拠がある場合は、さらなる引き締めが必要になると述べました。

英経済は主要経済の中で最悪な景気後退が予想されており、市場はさらに0.25%の利上げを織り込んでいます。そのため、ポンドの下落は当分続くでしょう。ECBが依然として、英中銀とFRBよりも引き締めに積極的であるため、ポンド/ドルに代わって、ユーロ/ポンドが、ポンドの脆弱さを反映するのに最適なペアになるでしょう。

1月米雇用統計本日発表

本日は、1月の米雇用統計の発表に焦点が集まります。非農業部門雇用者数は、12月の22万3千件から18万5千件に減少すると予想されています。しかし、失業率は50年ぶりの低水準となる3.5%から3.6%に上昇すると見られています。この数値は、労働市場が依然としてタイトであることを示唆していますが、平均時給が鈍化する場合、市場はFRBの年内の方向転換に期待し、米ドルは新たなショートポジションに入る可能性があります。

FRBパウエル議長は水曜日の会見で、ディスインフレの過程の始まりを認識し、タカ派トーンを控えたようです。年内の利下げは適切でないとも述べましたが、インフレが急速に低下する場合、政策に組み込まれるとも付け加えました。この発言は、今後の会合で、年内の利下げを認めざるを得なくなるのではとの市場の期待を高めました。

本日、ユーロは対米ドルで重要なサポートゾーンとなる1.0800を超えて取引されおり、本日予定の米雇用統計の結果次第では、1.1175付近まで上昇する可能性があります。このゾーンは、2021年11月から2022年2月の間、サポートとして機能し、今年3月末までのレジスタンスとして記されています。

FRB方向転換への期待から、割り引きされた予想キャッシュフローに基づいて評価される高成長企業の現在価値が上昇するため、米株式市場は恩恵を受けるでしょう。しかしハイテク大手のアルファベット社、アップル社、そしてアマゾン社の期待外れの決算報告により、本日の雇用統計発表前に、低調なオープニングを迎えるかもしれません。S&P500は4155領域を超えて今週取引を終える場合、明るい見通しとなります。しかし、水曜日のナスダックで生じたダブルボトムは、景気後退のリスクにも関わらず、市場はリスク資産への投資を諦めていないことを暗示しています。これには、FRBの最終的な方向展開が米経済のソフトランディングをもたらすとの期待が高まっていることが背景にあるのかもしれません。