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• FRBパウエル議長、昨日の講演でディスインフレに再び言及
• 市場は最終レートと利下げ幅をわずかに修正し、米ドル下落
• ユーロ圏のインフレ期待はやや上昇

FRBパウエル議長発言を受けて米ドル後退
昨日、米ドルは他の主要外貨に対して下落しました。これにより、先週末の予想以上に堅調な米雇用統計後の利益の一部を返還した形となりました。本日も米ドルは下落傾向です。
ドル安の背景には、FRBパウエル議長の昨日の発言が起因しています。議長はワシントンの経済クラブの講演で、さらなる利上げの必要性と共に、年内の利下げはないとの見解を繰り返しました。また、ディスインフレが現在進行中で、今年中にインフレが大幅に低下する見込みとも述べました。
先週末の予想を大幅に上回る非農業部門雇用者数の発表で、市場は最終レートを5%以上に上方修正し、年末までの利下げは約0.25%に下方修正しました。
昨日のパウエル議長の発言を受けて、市場は現在、最終レートを5.15%あたりとし、年末までの利下げを0.35%に織り込んでいます。
この発言の前に、アトランタ連銀ボスティック総裁とミネアポリス連銀カシュカリ総裁共に、さらなる利上げの必要性を強調しました。そのため、市場はパウエル議長がタカ派発言をすると予測していましたが、議長の発言はやや期待場外れの結果となり、市場のドル売りにつながったと言えます。
本日、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁とFRBウォーラー理事の講演が続きます。より多くのFRBメンバーが利上げの必要性を強調する場合、米ドルの復活となる可能性があります。しかし来週の米CPI指数は減速が予想され、長期的な米ドルの復活には時期尚早と言えるでしょう。
ユーロ圏のインフレ期待上昇でECBの利上げを後押し
昨日発表されたECBの調査によると、ユーロ圏のインフレ期待が12月に再び上昇しました。このため、インフレ抑制のためのECBの積極的な利上げに信ぴょう性が加えられました。確かに、ユーロ圏の総合インフレ率はピークに達したようですが、根底にある物価圧力は依然として加速しています。これにより、ECBは今後2回の利上げを実施せざるを得ないようです。短期金融市場によると、ECBはさらに1%ほどの利上げを実施した後に利上げを停止すると予想されています。
ユーロ/ドルはドル指数の中で57.6%を占める最大の構成要素となっています。そのため、ユーロ高がドルの上昇を限定的にする要因となるでしょう。これはまた、米ドルの強気への反転が時期尚早であることを裏付けます。来週の米CPI指数が予想通り減速する場合、ユーロは対米ドルで反発し、1.1175圏内まで上昇する可能性があります。
米株式市場はパウエル議長の発言を歓迎
米株式市場は、昨日のパウエル議長の発言を受けて、3つの主要指数全てにおいて上昇しました。特に金利に敏感なナスダックは2%近く上昇しました。堅調なデータ発表後にドル売りがドル買いほど強くなかった背景には、株式市場がリスク資産に投資する準備がまだできていないことを示唆しています。
先週の堅調な米雇用統計に続いて、米ISM製造業PMI数値が景気拡大を示したため、ソフトランディングへの期待が高まりました。パウエル議長の昨日の発言も、期待される今年後半の利下げに向けて、企業の現在価値が高まり、バリュエーションに役立ったのかもしれません。