デイリーコメントートランプ大統領はFRBに圧力、米ドル続落

投稿日: 2025年4月22日18時16分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・トランプ大統領のFRBへの圧力継続
・本日はFRBメンバーによる講演が目白押し
・ゴールドは3,500ドル突破も米ドル下落続く
・米国債利回り上昇、米財務省による入札に注目

トランプ大統領によるFRBへの圧力高まる

イースター休暇後、欧州の市場は本日から開場していますが、先週の木曜日以来それほど変化はないようです。トランプ大統領の言動が引き続き市場に影響を及ぼしており、他の進展に影を落としています。

先週木曜日のECBによる金利政策会合では、利下げが決定され、必要ならばさらに利下げを継続することも示唆されたため、トランプ大統領はFRBに対してさらに怒りを表し、パウエル議長へのさらなる攻撃材料となりました。トランプ大統領はFRBに金利の引き下げを求めており、パウエル議長がこの要求に応えないことに不満を感じていることは明らかですが、トランプ大統領の言動はFRBの最も重要な特徴である独立性を無視しています。

従って、トランプ大統領は金利の引き下げを強制するために、米経済の見通しにかなりのダメージを与えようとしているとも言えます。例えば、日米間の通商交渉は順調に進んでいると言及されたにもかかわらず、米国側からの対応が数日間滞っているようで、日本側にある程度の不安が生じています。

パウエル議長は、トランプ大統領からの圧力や名指しでの批判に抵抗しており、関税戦争の結果を検証するべく、FRBとして辛抱強く待つとのスタンスを維持しています。FRBは、関税によるインフレと経済成長の見通しへの潜在的な影響を検証するのに十分な情報を求めています。しかし、この戦略には必要な時にすぐに行動に移せないリスクが伴い、その結果、不意に景気後退となる可能性もあります。

米経済に焦点を置く代わりに、パウエル議長は敵味方全てを自分に協力してもらわざるを得ない状況です。したがって、FRBの物価安定と最大雇用の二大命題への責務を維持するためには、FOMCのメンバー全体からのサポートが必要となります。

本日も、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁、リッチモンド連銀バーキン総裁、そしてジェファーソン副議長とクーグラー理事など、FRBメンバーによる一連の講演が予定されています。経済関連の発言以外には、市場はこれらのメンバーが本日、パウエル議長とFRBの独立性を守るような発言をするのかについて注目することになるでしょう。

市場の忍耐力も徐々に失われつつある

トランプ大統領が「アメリカを再び偉大にする」と繰り返し主張しているにもかかわらず、市場参加者での不安は高まっており、米資産全体に明らかに反映されています。

米株価は昨日の低調なセッションからの回復を試みていますが、市場のセンチメントは依然としてネガティブなままです。4月の米株式市場は、FRBによる連続利上げから景気後退への懸念が高まっていた2022年9月以来最悪の月に向かっています。伝統的なNYダウが売りを牽引する一方で、欧州株は比較的好調なようです。

本日の米市場閉場後はテスラによる第1四半期決算報告、木曜日にはアマゾンによる決算報告が予定されており、 これらの収益報告がセンチメント向上となる可能性があるかもしれません。

米ドル下落も米国債利回りとゴールドは上昇

米国債利回りは引き続き上昇しており、主に関税戦争によるインフレ再加速への不安を反映して、30年利回りは5%の大台を若干下回った水準まで上昇しています。米財務省は今週、2年物、5年物、そして7年物を入札を通じて発行する予定で、中国がこれらの入札を棄権するのかについての手掛かりを探ることになりそうです。

米ドルが主要通貨に対して下落していることも、米国債利回りの上昇の要因となっています。ユーロ/ドルは2021年11月以来の高値である1.1500を上回って上昇しており、特にドル/円は2024年9月中旬の水準となる139円88銭まで下落しました。

しかし、関税を巡る混乱とトランプ大統領の言動から最も恩恵を受けているのはゴールドです。本日のゴールドは、世界の中央銀行からの強い需要と、ETF(上場投資信託)購入者や全体のリスク選好度悪化からサポートされて、3,500ドルを突破して上昇しています。

ビットコインもまた最新のリスクオフ反応から恩恵を受けているようで、株式市場の下落から影響を受けていないようです。米国証券取引委員会の新委員長就任の発表も一因となり、ビットコインは8万8千ドルまで再度上昇しています。