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米国資産は、リスクオンの回復がサポートに
米ドルは週初から堅調なスタートを切っており、リスク選好の改善の恩恵を享受しています。特に、週末に発表された米EU間の貿易合意が米ドル高の好材料となったようで、執筆時点ではユーロ/ドルが急落し、1.1550を下回っており、7月中旬以降の上昇分を完全に帳消しにしています。この米ドル高の動きは、リスク連動通貨と安全資産通貨の両方に対しても見られ、ドル/円は再び重要な146円48銭~147円72銭の水準を上回っています。同様に、米株価指数も再び上昇基調にあり、S&P500およびナスダック100は共に継続して上昇トレンドを拡大しています。
一方で、米国企業の決算発表が徐々に本格化し始めており、本日はVisaが決算を発表する予定で、米国消費者の現在の経済状況に関する新たな手がかりが得られる見込みです。しかしながら、市場の注目はすでに水曜日のマイクロソフト、メタ、木曜日のアップル、アマゾンの米大手ハイテク企業の決算に移っています。これが良好な決算報告となる場合、米国株をさらに押し上げ、主要な投資銀行が最近上方修正した強気な年末の株価見通しを後押しするかもしれません。
現在の市場の影響を最も受けているのはゴールドであり、1カ月ぶりの高値である3,439ドルから急落しています。現在は3,323ドルの50日単純移動平均線を試す展開となっており、次の重要なサポートラインは3,260ドルと見られています。一方で原油は、トランプ大統領がウクライナとロシアの停戦に新たな期限を設けると発言したことで小幅に上昇しましたが、現在の市場でのリスクオン回復の影響を殆ど受けていないようです。原油は依然として65~69ドルのレンジ相場が続いており、今週の重要な米経済指標である、実質GDP、個人消費支出(PCE)、雇用統計の発表を待っています。
EU圏では米EU間の貿易合意内容が再考される
興味深いことに、今回の米国株の上昇を支えている主な要因の一つである米EU間の貿易合意が、今週の欧州株とユーロの不調の主因にもなっています。当初は、迅速な合意と本格的な貿易戦争の回避への満足感が広がっていましたが、現在では15%という関税率や協定内容への不満が募っています。EUは、今後3年間で米国から7,500億ドル相当のエネルギーを購入することで合意しており、これはロシア産ガスの代替としていますが、米国産の液化天然ガスははるかに高額となります。また、米国へ6,000億ドルの投資もするということです。
しかし、これら2つの合意内容はどちらも、トランプ大統領を満足させるために大きく誇張して設定されたようにみえます。具体的には、合意されたエネルギー購入額は、EUが現在米国から年間購入しているエネルギー量を大きく上回っており、今後の需要が飛躍的に増加しない限り、この目標を達成するのは難しいと考えられます。同様に、6000億ドルの投資は民間部門からの資金に依存しているため、EU機関のコントロールは限定的になります。したがって、これらの実現の可能性は疑問視されています。
したがって、最終的な貿易交渉から除外されたフランスとドイツでは、特に不満が高まっています。メルツ独首相はすでに、「関税は独経済にとって大きな負担となる」と述べており、元仏首相であり英国のEU離脱の首席交渉官でもあったバルニエ氏は、「この合意は悪い妥協であり、両地域間の長期的な利益には貢献しない」と発言しています。EU圏の代表者たちがこの合意に満足していないことは明らかですが、彼らがこの合意を撤回し、今後30%もの関税を課されるリスクを取る覚悟があるのかは疑問です。
8月1日の関税発動期限が迫る
主要な貿易協定が一段落し、米中間の交渉も追加延長される可能性が極めて高まる中、米政府は8月1日の「関税発動」期限に向けて準備を進めています。カナダ等の一部の国は、関税の引き上げを回避する為、合意締結への積極的な姿勢を見せています。その他の対象国は関税措置が適用され、トランプ大統領が好意的であれば、15〜20%程度の関税が課される見通しです。
本日は、重要な経済指標発表はなし
市場の関心は、水曜日のFOMC会合と、ユーロ圏および米国の第2四半期GDP速報値の発表に既に向けられている為、本日の経済指標発表は比較的静かな動きになるでしょう。ただし、本日の米国の住宅関連統計と重要なコンファレンスボード消費者信頼感指数は、市場を動かす要因となるかもしれません。一方で、7年物米国債の入札は、低調な結果に終わる可能性があります。これは、主に米短期国債の発行の増加により、7〜9月期の借入額が1兆100億ドルに達すると発表されたことが背景にあります。