デイリーコメントー円安続く、ゴールドと米株価は最高値更新

投稿日: 2025年10月7日18時55分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・日本とフランスの政情不安で米ドル上昇
・米政府機関の閉鎖により、米ドル上昇は限定的でゴールドのサポートに
・AI関連の契約締結が続く中、米株価は不確実性を払拭して上昇基調

日銀による今月の利上げ観測後退で円安続く

週末の自民党総裁選の結果に対する市場の反応が後退するにつれ、昨日の日本円は米ドルに対して引き続き圧力を受けましたが、ユーロやポンドなどに対しては小幅上昇しました。石破首相の後任として、高市氏が総裁選で勝利したことを受けて、高市氏が首相に任命されるかどうかを決定するべく、衆参両院にて行われる内閣総理大臣指名選挙は10月15日で調整中です。

市場は財政ハト派である高市氏が景気刺激策を実施して、日銀が利上げに急ぐことに慎重となると見ています。東京の日経225指数は昨日4.7%上昇して新最高値と更新し、本日は上昇が一段落しています。一方で10月の日銀による利上げの確率は数週間前の50%からわずか25%まで低下しました。

日本経済の増大する政府債務を考慮すると、高市氏がどれほどの景気刺激策を実行できるのか、また、日銀による政策正常化にどれほど強く反対するのかを市場が過大評価している現実的なリスクがあります。

しかし今のところは、昨日の国債利回りの急上昇にもかかわらず、本日の30年国債入札が好調だったことを受けて、日本国債に対する需要はまだ十分にあるようです。

しかし、ドル円が2カ月ぶりに150円70銭の高値を更新したため、この円安を止めるためには、おそらく政府による口頭での介入以上の行動が必要になるかもしれません。加藤財務相は本日、「過度の変動や無秩序な動き」を見極めていくと発言しましたが、市場にはそれほどの影響はありませんでした。

米政府機関閉鎖が長引くリスクも米ドル上昇、ユーロ下落

ユーロはもまた下落基調ですが、最悪のパフォーマンスとは程遠いです。フランスのマクロン大統領は、日曜日に発表した組閣が否決された後、昨日辞任したルコルニュ首相に対して、他党と交渉して新政権を樹立するように48時間の猶予を与えました。

本日のフランス国債利回りは再上昇し、フランスの主要株価指数であるCAC40指数は2日連続で下落しています。

米上院では、つなぎ法案可決を巡って5度目の投票となりましたが、民主党と共和党がお互いの提案を拒否したため否決となり合意は得られていません。トランプ大統領からは合意への試みについて複雑なシグナルが示唆される中、米政府機関の閉鎖は本日で7日目に突入します。

トランプ大統領が医療保険について共和党と民主党が協議に入ったことを示唆したため、解決に向けての期待が高まりました。しかし、その後政府機関が再開するまで、健康保険の補助金については交渉しないと自身のソーシャルメディアに投稿したため、立場を転向したようです。

そうは言っても、米経済の見通しが他のほとんどの先進国の経済よりも好調であることから、政府機関閉鎖が長引くとの見通しは米ドルにとってはそれほど打撃とはなっていません。

AI関連の取引成立が米株価上昇を牽引

これは、米株式市場が引き続き上昇を続けている理由を確かに裏付けしています。しかし、米株価上昇となったより大きな要因は、AMDとOpenAIによる最新の契約締結など、一連のAI部門同士の取引が相次いでいる中、AIを巡る熱狂が再浮上しているためです。

この契約締結には、AMDがChatGPT を開発するOpenAIに対して、6ギガワットの高度なAI半導体チップを提供し、OpenAIがAMDの10%の発行株式を取得するというものです。昨日は、テスラが本日Yモデルの低価格車版を発表するのではとの憶測からテスラ株もまた上昇しました。

ナスダック100は昨日記録的領域にて0.8%上昇して、S&P500も記録的な終値を更新しました。

ゴールドは4,000ドルに近づく、ビットコインは最高値から下落

ゴールドも上昇基調で、日中最高値である3,977ドルを更新した後、若干下落しました。ゴールドが4,000ドルに近づく中、この節目に達する前に反落となる可能性も否定できません。

当面の最大のリスクは、米政府機関が数日内に終了し、FRBタカ派による発言が続くことですが、FRBの発言はこれまでのところ、それほどの抑制力にはなっていません。本日は、アトランタ連銀ボスティック総裁とボウマン副議長、そしてミラン理事の講演が予定されています。

ビットコインも、米株価の前向きなセンチメントによって押し上げられ、昨日最高値である12.6233万ドルを更新しました。しかし、本日のビットコインは1%以上下落しており、米株式先物の下落を反映しています。