デイリーコメント – 米中貿易停戦が試される中、米ハイテク株の反発に陰り

投稿日: 2025年11月11日20時31分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

• 米政府機関閉鎖が水曜日までに終了する兆しを受け、米株価が反発
• 中国が新たなレアアース輸出規制を検討し、新たな懸念が広がる
• 英雇用統計発表でポンドが下落、円は引き続き圧力下

米政府機関再開への安堵感でハイテク株が急騰

米国の大手ハイテク株は昨日、大きく反発しました。これは現在42日目となった米国史上最長の米政府機関閉鎖を終わらせるための資金予算案に、共和党と民主党が合意したというニュースが追い風となりました。8人の民主党議員が同党の方針に反し賛成に回り、米上院は昨晩遅くに暫定予算案を60対40で可決しました。

修正版の予算法案には、年末までに期限切れとなる医療保険制度改革法(オバマケア)の保険料補助金の延長可否を上院で採決すると共和党が譲歩した内容と、米政府機関閉鎖中に一時解雇されたすべての連邦職員を復職させる条項が盛り込まれています。

法案は今後、下院で審議される見通しですが、ジョンソン下院議長は水曜日に下院で採決を実施したい意向を示しているものの、自身がこの法案を支持するかどうかについては明言していません。

それでも、この法案が明日中にも大統領の手元へと届き署名後、成立するとの期待は高くなっています。これにより、AI関連の不安に動揺していた投資家たちに安心感が広がるとみられています。

大手ハイテク企業による大規模な投資を背景に、AI分野での過剰な株価評価への懸念が高まり、先週は急激な反落が起きました。週末にかけて軟調な米経済指標が発表され、米国経済の減速懸念が強まり、FRBが低迷する労働市場よりもインフレへの懸念を優先していることも、下落を一段と拡大する要因となりました。

ナスダック100は2%を超える上昇となり、5月以来最大の日次上昇率を記録しました。一方で、S&P500も1.5%高で取引を終えました。

市場にはいつくかの不透明感は残るも、英国株は急騰

しかし、米国経済への懸念やFRBの政策見通しをめぐる不透明感が依然として払拭されていないため、本日の米先物はやや下落しており、リリーフラリーはすでに勢いを失いつつあるようです。さらに、中国政府が米軍関連企業への輸出を制限する可能性のある、新レアアース輸出管理制度の策定を進めているとの報道を受け、米中貿易関係に対する新たな懸念が生じています。

先月末に米中両国首脳で合意した脆弱な休戦状態に、レアアースという敏感なトピックが早くも緊張をもたらしています。

中国株は本日の取引を下落して終えましたが、欧州株は好調ムードとなっています。イングランド銀行による次回会合での利下げ観測再燃を背景に、英国のFTSE100が史上最高値を記録し、上昇を牽引しました。

軟調な英雇用統計を受け、ポンドは打撃

本日発表された最新の英雇用統計が労働市場の弱体化を示したことを受け、イングランド銀行の12月利下げ観測は高まりました。9月までの3か月間の失業率は5.0%に急上昇し、これは2021年1月以来の高水準となりました。一方で、賃金上昇率は前年比で5.0%から4.8%に鈍化しました。

来週の英消費者物価指数(CPI)や11月26日発表の秋期予算案でサプライズがない限り、投資家はイングランド銀行が年内最後の会合決定で利下げを実施するとの確信を次第に高めています。

本日のポンドは、主要通貨の中で最もパフォーマンスが低く下落していますが、原稿執筆時点では1.31ドルを上回る水準を維持しています。

円は引き続き逆風の中

円も同様に苦戦しており、米ドルに対して9か月ぶりの安値まで下落しています。リスクセンチメントの改善に加え、高市首相が基礎的財政収支の単年度の黒字目標を目指すのではなく、複数年にわたる予算編成に重点を置くと表明したことを受け、日本の財政支出への懸念が、本日の円の重荷となっています。

さらに、高市内閣の経済アドバイザーが、日銀は少なくても1月まで追加利上げを待つべきだと示唆しています。

米ドルは堅調もゴールドの上昇基調は続く

米ドルについては、本日は米債券市場が祝日で休場のため、市場は小動きになると見込まれる中、主要通貨に対してやや高値で取引されています。

一方で、ゴールドは最近の調整からの回復を続けており、本日は4,150ドルに向けて上昇しています。今週中に米政府機関が再開されるとの見込みから、来週は主要な米経済指標の発表再開が、12月のFRBの利下げ観測が不透明な中で、ゴールドの回復に大きな影響を与えることになるでしょう。