マーケットプレビュー-ポンド安と米ドル安でユーロ上昇、NZ中銀政策会合に注目

投稿日: 2018年8月8日18時31分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

外国為替市場: 本日の米ドルインデックスは、昨日の下げ幅を拡大させ、約0.13%低下しました。米ドルの調整の動き、及びポンド安により、ユーロは上昇しました。NAFTA関連のニュースがなかったにも関わらず、カナダドルが下落しました。

株式市場: 貿易問題の新たなリスク要因もなく、米企業の好調な決算結果が楽観的見通しを強めたことから、米株高が継続しました。4日連続の上昇となったダウ工業株30種は、0.50%上昇しました。ナスダック指数とS&P総合500種は、それぞれ0.31%と0.28%上昇し、共に最高値付近で推移しています。

本日の米主要株価先物指数は、若干下落してのオープンを示しています。

アジア株式市場は、強弱混合の結果となりました。日経平均株価とトピックスは、共に0.08%値下がりしました。一方、香港株式市場は0.17%値上がりしました。

欧州市場は、全ての主要株価先物指数が下落してのオープンを示しています。

コモディティ: 昨日に若干上昇した原油価格は、本日には大きな動きはありませんでした。WTIブレント原油先物は殆ど動かず、69.16ドルで取引され、ブレント原油先物は0.07%下落した74.57ドルで取引されました。昨日発表された中国の原油輸入が、前月結果の6か月ぶり低水準から、1.5%上昇したにも関わらず、原油相場は殆ど反応しませんでした。

米ドルの調整の動きにより、ゴールドは0.15%上昇した1215ドルで取引されました。

主要な動き: ポンド安と米ドル安によりユーロ上昇;カナダドル下落

昨日に最も堅調推移した通貨は、ユーロでした。ユーロは対主要通貨で一段高となり、特に英EU離脱の先行き不透明感で下落するポンドに対して、大幅に上昇しました。イングランド銀行の慎重な姿勢が懸念を一段と上昇させ、本日のユーロ/ポンドは0.1%上昇し、8か月ぶり高値0.8975ドルまで値を切り上げました。

一方、米ドルは調整の動きにより下落し、本日の下落を継続しています。米ドルインデックスは、0.13%下落しました。米ドル下落の明確な要因は見当たらない為、最近の上昇による利益確定売りの可能性があります。

コモディティ通貨に関しては、昨日、カナダドルが急落しました。ドル/カナダドルは、米ドル下落と原油価格上昇にも関わらず、1.2960カナダドル付近から1.3060カナダドル付近まで約100ピップ上昇しました。NAFTA関連ニュースがなかったことから、カナダドル安の要因として、昨日に発表されたカナダ7月Ivey PMIの予想を下回る結果が考えられます。

本日のNZ第3四半期インフレ見通しの発表後、NZドル/ドルが0.18%上昇しました。NZ第3四半期インフレ見通しは、前回結果の2.01%から2.04%への僅かな上昇でした。しかしながら、物価上昇圧力が緩やかながらも継続していることが明らかになりました。

豪ドル/ドルは、中国貿易収支の予想を上回る結果にも関わらず、昨日の上昇幅を拡大させることができず、本日には殆ど動きが見られませんでした。

株式市場では、テスラのマスクCEOがツイッター上で株式非公開の検討を述べたことにより、テスラの株価が10.99%値上がりしました。マスクCEOは、公表時の342ドルと終値の379ドルよりも高い1株420ドルの株式非公開化の検討を明らかにしました。非公開化は最終決定ではなく、株主による投票結果次第となります。

本日これからの市場: NZ中銀の政策会合、及び貿易問題の進展に注目

本日、市場が最も注目するのはGMT2100に発表されるニュージーランド準備銀行の政策発表になるでしょう。市場では、政策金利の1.75%での据え置きが広く予想されています。前回の政策会合では、ニュージーランド準備銀行は、政策金利の次回の変更は利上げよりも利下げになると発言し、ハト派的見解を示しました。今回も同様のハト派的見解が見られた場合、NZドルは下落するでしょう。反対に、声明文、及びGMT2200のオア総裁の記者会見でニュージーランド経済見通しにポジティブな見解が示された場合、ニュージーランドドルは上昇するでしょう。世界貿易、及び世界貿易摩擦によるニュージーランド経済への影響に関する発言には、注目があつまるでしょう。

米国は、2週間後に中国からの輸入品に160億ドル相当となる25%の追加関税を課すことを公表し、今後の進展に注目が集まります。

GMT1230には、本年度にFOMCで投票権を持つリッチモンド連銀のバーキング総裁が発言予定です。

本日の米株式市場終了後には、21世紀フォックスの四半期決算が発表されます。

GMT1430には、米エネルギー省による米原油在庫が発表されます。前回結果の380万バレル増加に対して、今回は330万バレル減少が予想されています。

テクニカル分析: WTI原油先物は短期的保ち合い相場

WTI原油先物は、7月下旬以来67ドルから70ドルの比較的狭いレンジ幅内で推移しています。過去数日間の転換線と基準線は、ほぼ横ばい推移となっており、短期的保ち合い相場を示しています。50の中間線付近での推移を継続しているRSIも短期的保ち合い相場の兆しを見せています。

本日に米エネルギー省が発表する米原油在庫に予想以上の減少が見られた場合、原油価格は上昇するでしょう。直近のレジスタンスゾーンは、一目均衡表の底値69.30ドルと天井値69.54ドルになるでしょう。一段と上昇した場合、基準線上の70.61ドルが控えています。70.61ドルを上抜けた場合、3年半ぶり高値75.24ドルが視野に入るでしょう。

反対、米原油在庫結果に予想を下回る減少、或いは在庫の増加が見られた場合、原油価格は下落するでしょう。直近のサポートゾーンは、50日線上の68.96ドルと100日線上の68.21ドルになるでしょう。一段と下落した場合、7月18日に記録した1か月半ぶり安値66.29ドルを試す展開となるでしょう。