マーケットプレビュー英EU離脱の先行き不透明感でポンド下落

投稿日: 2018年8月7日19時06分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

外国為替市場:米ドルインデックスは昨日の上昇幅の一部を解消し、本日には0.1%以上低下しました。昨日には、EUとの合意に至らないまま、英国がEUを離脱する観測が高まり、ポンドが全面安となりました。豪ドルは、本日のオーストラリア準備銀行の政策会合での楽観的見解により、上昇しました。

株式市場:バークシャー・ハサウェイの好調な四半期決算結果とフェイスブックの新サービス発表を受けた株価上昇により、昨日の米株式市場は上昇して引けました。ナスダック指数は0.61%、S&P総合500種は0.35%、ダウ工業株30種は0.16%上昇しました。特に、S&P総合500種は今年1月下旬以来の高値となり、最高値付近まで上昇しました。

本日の米主要株価先物指数は、上昇してのオープンを示しています。

アジア株式市場は、本日もほぼ上昇しました。日経平均株価とトピックスは、それぞれ0.69%と0.76%上昇しました。香港株式市場は1.45%上昇しました。

欧州市場は、本日も主要株価先物指数が上昇してのオープンを示しています。

コモディティ: エネルギー市場では、本日のGMT0401に実施された米国のイランへの経済制裁を市場が消化し、原油価格は昨日の上昇幅を一段と拡大させました。WTI原油先物は0.30%上昇した69.10ドルまで、ブレント原油先物は0.51%上昇した74.16ドルまで値上りしました。

ゴールドは昨日のUSセッションでの下げ幅の一部を拡大させ、本日には約0.50%上昇しました。米ドルが今年最高値付近で推移している為、ゴールドは実質的な回復には繋がらず、1211ドル付近で取引されました。

主要な動き: EU離脱の先行き不透明感でポンド安;豪中銀の見解で豪ドル高

EUと合意に達しないまま英国がEUを離脱する可能性が高まり、昨日のポンドは対米ドルで11か月ぶり安値まで急落しました。英フォックス国際通商大臣が、個人的な見解として、EUと合意に達して英国がEUを離脱する可能性よりも、EUと合意に達しないまま英国がEUを離脱する可能性が高いと述べました。更に、英政府の広報担当者が、「条件の良くない合意よりも、合意に達しない方がいい」と発言したことにより、市場の懸念は一段と高まりました。

次回のEU離脱交渉は8月16日に予定されています。しかしながら、EUのバルニエ主席交渉官が、英国側が用意した離脱計画はEU市場を弱体化させると発言し、明確に拒否しています。したがって、翌年3月のスムーズな離脱に間に合うような交渉の大幅な前進は期待できない模様です。更に、最近のイングランド銀行のハト派的見解も考慮すると、今後数週間のポンド上昇の要因は殆ど見当たらないでしょう。

米中貿易摩擦への懸念により、米長期国債利回りが下落したにも関わらず、昨日の米ドルは一段と上昇しました。中国政府が米政府に対して対抗する姿勢を示したことにより、貿易問題は引き続き市場のリスク材料になっています。リスク逃避先資産の円は、貿易問題のバロメーターとなる可能性があります。貿易問題のリスク上昇で円高に、貿易問題のリスク後退で円安に傾くでしょう。

本日、オーストラリア準備銀行が政策金利の据え置きを発表しました。しかしながら、若干楽観的見解が示されたことから、豪ドル/ドルは0.37%上昇しました。オーストラリア準備銀行は、本年度はインフレは当初の予想を下回る見通しとなるものの、2019年と2020年には上昇を見込んでいることを示しました。

新興国市場では、トルコリラが再度最安値を更新しました。先週金曜日に、米政府がトルコ製品の米市場への免税措置の再検討を明らかにしたことにより、昨日のドル/トルコリラは5.425トルコリラまで急騰しました。

本日これからの市場: JOLT求職、及び米消費者信用残高発表

GMT0730には、英7月ハリファックス住宅価格指数が発表され、前月結果の前月比0.3%に対して、前月比0.2%増が予想されています。

GMT1400には、米6月JOLT求職が発表され、5月結果の663.8万件を若干上回り、4月結果の684万件を大幅に下回る664.6万件が予想されています。GMT1900には、米6月消費者信用残高が発表されます。

カナダでは、GMT1400に7月Ivey購買部協会指数が発表されます。

本日後半には、NZ世界乳製品取引価格指数が発表されます。乳製品はニュージーランドの最大の輸出品である為、NZドルの値動きに注目が集まるでしょう。

本日の米株式市場閉場後には、ディズニー社の四半期決算が発表されます。

エネルギー市場に関しては、GMT2030に米石油協会が発表する米原油在庫が注目されるでしょう。

テクニカル分析: NZDUSDは短期的弱気相場

NZDUSDは、先週金曜日に記録した約3週ぶり安値0.6719ドルを約20ピップス上回り、7月上旬に記録した2年ぶり安値0.6686ドルからさほど遠くない水準で推移しています。転換線と基準線が共に下落し、弱気相場を示しています。ニュージーランド経済はコモディティ輸出に依存している為、米国の保護主義による世界的な貿易不透明感がNZドルの重しとなっています。

貿易問題のリスクが後退した場合、NZDUSDは上昇するでしょう。転換線上の0.6739ドル付近が直近のレジスタンスゾーンになるでしょう。一段と上昇した場合、基準線上の0.6764ドルが視野に入るでしょう。そのすぐ上には、50日平均線、100日平均線、及び一目均衡表の底値が控えています。

反対に、貿易問題のリスクが上昇した場合、NZDUSDは一段安となるでしょう。直近のサポートゾーンは、先週に記録した約3週ぶり安値0.6719ドル付近となるでしょう。この付近には、最近記録した複数の安値も含まれます。一段と下落した場合、7月3日に記録した2週ぶり安値0.6686ドルが視野に入るでしょう。その下には、0.66ドルが控えています。

NZDUSDは、本日発表されるNZ世界乳製品取引価格指数にも反応するでしょう。価格指数が上昇した場合には、NZドルが上昇し、価格指数が低下した場合には、NZドルは下落するでしょう。