デイリーマーケットコメントー米雇用統計の強い結果で米ドル高、株価は下落

投稿日: 2019年7月8日18時54分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米雇用統計の強い結果で、米ドル上昇
  • 米利下げ観測後退で、株価下落
  • パウエル議長の議会証言に注目

米雇用統計の強い結果で、米ドル高

本日の米ドルは、先週金曜日の高値付近で推移しています。先週金曜日には、米非農業部門雇用者数の予想を上回る結果を受けて、米ドルは急騰しました。米6月非農業部門雇用者数は、市場予想の16.0万人増を大きく上回る22.4万人増となりました。更に、米5月非農業部門雇用者数も、7.2万人増から7.5万人増に上方修正されました。米雇用統計の強い結果は、米経済には依然として勢いがあり、FRBによる大幅な介入の必要性がないことを浮き彫りにしました。

先週金曜日の米ドルインデックスは約3週ぶりの高水準97.44まで上昇し、ドル/円は108円台を回復しました。米利下げ観測の恩恵を受けて過去数週間に上昇を継続していた豪ドルやNZドルは、対米ドルで下落に転じました。

ユーロも対米ドルで下落しました。米ドル回復に加え、次期ECB総裁に指名されたラガルド氏がハト派的政策を継続するとの見方が市場で広がり、ユーロ/ドルは1.12ドルを割り込む水準まで下落しました。ポンドは、英経済減速の兆し、及び英中銀の利上げ政策変更の可能性により、ポンド/ドルは6か月ぶり安値1.2479ドルまで下落しました。

米利下げ観測後退で、株価下落  

通常、米経済のポジティブなニュースは、米株式市場でも好感されます。しかしながら、今回の米労働市場の予想外の回復は、米株式市場を明らかに落胆させたようです。先週金曜日の米株式市場は、緩やかに下落して引けました。しかしながら、7月FOMC政策会合での0.50%の利下げの可能性が消えつつある為、本日のアジア株式市場は大幅に下落しました。

アジア株式市場は1%から2.5%下落しました。一方、ユーロ圏、及び米主要株価先物指数は、緩やかに下落してのオープンを示しています。株価全面安の要因は、米経済指標の強い結果が国債利回りを上昇させたことによるリスク回避の動きではなく、年内利下げ観測が大幅に後退したことになるでしょう。これにより、先週金曜日のゴールドは1400ドル台を割り込み、その後若干回復しました。

しかしながら、殆どの主要国の中央銀行が今後数カ月内の利下げ方針を維持している為、ゴールド相場は上昇基調の見通しとなっています。0.50%の利下げの可能性が消失したものの、市場は7月のFOMC政策会合での0.25%の利下げを完全に織り込んでいます。最近の米経済指標は脆弱な結果が続いており、米6月非農業部門雇用者数が強い結果となったにも関わらず、賃金上昇は予想を下回り、依然として脆弱な物価上昇圧力を浮き彫りにしました。

パウエル議長の議会証言に注目

今後の見通しを見極める為、今週の水曜日と木曜日に予定されているパウエル議長の議会証言は、市場の関心をより集めるでしょう。議会証言が、7月のFOMC会合前に、パウエル議長が市場の利下げ観測を後退させるか、利下げを示唆する最後の機会となるでしょう。

今週水曜日には、カナダ中央銀行の政策会合も予定されています。米雇用統計発表後のカナダドルは一時下落しました。しかしながら、カナダ雇用統計の脆弱な結果にも関わらず、カナダ中央銀行が利下げを実施しないと市場が予想している為、カナダドルはすぐに回復しました。

今週後半には、米中通商協議も予定されている為、市場の注目が協議進展に集まるでしょう。しかしながら、今週に大幅な進展がある可能性は低いでしょう。