デイリーマーケットコメントー米国の感染者数急増で、米ドル上昇、株価下落

投稿日: 2020年4月1日19時06分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 感染者数拡大でリスクオンムード再度後退、株価下落
  • 製造業PMIの結果で景気後退リスクが鮮明に;次は米ISM製造業景況指数に注目
  • FRBによる米ドル供給の緊急措置にもかかわらず、米ドル高継続

感染者数増加で、株価再度下落

昨日には、世界での感染者数が80万人を超え、新型コロナウイルスの感染拡大の鈍化の兆しが見えない為、第2四半期の株式市場は、低調なスタートとなりました。昨日の米株式市場は前半の上昇幅を維持することができず、終値は大幅に下落しました。これにより、四半期としては1987年以来の株安となりました。

昨日、ダウ工業株は1.8%値下がりし、日経平均株価も4.5%値下がりしました。中国株式市場も下落に転じ、ロンドン株式市場は、取引開始時に4%以上下落しました。米主要株価先物指数は、最大3%下落してのオープンを示しています。

米国での感染者数急増により、景気後退への懸念が一段と高まりました。トランプ大統領は、今後2週間は、「非常に厳しい2週間」になると発言し、正念場になるとの認識を明らかにしました。ニューヨークは米国内で最も打撃を受けている都市で、昨日の死亡者数が1000名を超えました。日本やその他の国でも、感染者数の急増が懸念されています。欧州では、感染拡大のピークに達したと予測するには、時期尚早でしょう。

現在の状況から、主要経済が深刻な景気後退に直面することは回避できないでしょう。更に、ビジネス閉鎖が延長される可能性により、数か月でなければ、少なくとも数週間は株安の流れとなるでしょう。

製造業PMIの急落

本日の3月製造業PMIの結果により、世界経済が景気後退局面に既に突入しているとの懸念が一層強まりました。製造業PMIの結果は、欧州、及びアジアでの3月の製造業鈍化を浮き彫りにしました。次は、本日後半に発表される米3月ISM製造業景況指数に注目が集まるでしょう。市場予想では、米ISM製造業景況指数は2009年の金融危機以来の低調な結果となる見通しです。本指標結果は製造業への深刻な打撃を鮮明にすることになります。しかしながら、金曜日の米雇用統計と米ISM非製造業景況指数の結果を待ってから、新型コロナウイルスによる米経済への影響を判断する動きも市場ではあります。

一方で、中国3月マークイット製造業PMIは50.1となり、今週前半に中国政府が発表した製造業PMIと同様の結果となり、先月の製造業の緩やかな回復を裏付けました。中国以外の国では、新型コロナウイルスの収束の兆しが見えない為、市場の慎重姿勢は継続しました。

FRBによる米ドル供給にもかかわらず、米ドル高継続

今週、新型コロナウイルスによる経済的影響への懸念が再度高まり、米ドルが再度上昇しました。昨日の市場は、四半期末のポジション調整が影響したものの、本日には、流動性や米ドルへの需要が増加していることが明らかになりました。

昨日、FRBは、米ドル不足への対応として、各国の中央銀行に米ドルを供給する緊急措置、及び翌日物レポ取引を通じての米ドル供給を発表しました。FRBの新たな対策により、米ドルは一時的に下落したものの、本日には上昇に転じました。

直近の米ドルインデックスは0.5%上昇し、ユーロ/ドルは1.10ドル割れ、ポンド/ドルも1.24ドル割れとなりました。しかしながら、安全資産の円に対しては、米ドルは108円台を回復することができず、107.75円までの上昇にとどまりました。

コモディティ価格の下落により、豪ドルとカナダドルも下落しました。コモディティでは、ゴールドのみが例外で、リスクオフムードの強まりにより、1%以上上昇した1590ドル付近まで値上がりしました。