デイリーマーケットコメントー株安に歯止め、市場の混乱緩和で米ドル下落

投稿日: 2020年4月2日19時18分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 新型コロナウイルスによる混乱が若干緩和して株価上昇、しかしながら市場は慎重姿勢継続
  • 米ドルは下落したものの、米週次新規失業保険申請の結果で再度上昇する可能性
  • サウジアラビアとロシアの協調への期待で原油価格上昇、中国の在庫増加

株式市場では、勢いのない回復

米株式市場での二日連続での下落後、本日の市場は比較的静かなスタートとなりました。アジア株式市場は、強弱混合の動きとなりましたが、米、及びユーロ圏主要株価先物指数は上昇してのオープンを示しています。新型コロナウイルスの感染拡大が一層悪化している為、先週の下落相場での一時的な上昇は終了したようです。トランプ大統領さえも、最近は発言のトーンが重くなり、火曜日には今後2週間は「非常に困難な2週間になる」と発言し、注意を促しました。

昨日、米国内の感染者数が20万人を超えた為、市場の懸念が一段と高まりました。トンネルの先に光を見ることはまだ難しいようですが、イタリアなどの感染者数が急増した欧州の一部の国では、感染者数増加スピードが減少した一時的な兆しが見え始めています。

したがって、本日の市場ムードは若干回復し、リスク資産が上昇し、安全資産が下落しました。しかしながら、ゴールドの一段の上昇は、市場の非常に慎重な姿勢を示しています。

市場が新型コロナウイルスによる経済的影響を完全に把握するまでは、株価が底を打ったと判断することは時期尚早でしょう。現況の不透明性により、多数の企業が企業ガイダンスを中止し、多数の金融機関は、配当金の削減を余儀なくされています。

米週次新規失業保険申請の発表控え、米ドル下落

本日の市場ムードの改善により、米ドルは下落しました。欧州セッション前半の米ドルは、0.25%上昇しました。米ドルは殆どの主要通貨に対して下落したものの、安全資産の円に対しては、緩やかに上昇しました。

今週のユーロは下落基調を継続し、ユーロ/ドルは1.0930ドルを割り込みました。ユーロ下落の背景には、新型コロナウイルスによる経済危機への大規模な景気対策にEU加盟国が同意するかが疑問視されていることです。

一方のポンドは対米ドルで1.24ドル台まで上昇しました。豪ドルとNZドルも対米ドルで、それぞれ0.6%と0.9%上昇しました。

本日後半に発表される新規失業保険申請件数が一段と増加した場合、市場のポジティブなムードは継続しないでしょう。先週に発表された新規失業保険申請件数は、330万件を記録しました。3月下旬から実施された米国での閉鎖措置の規模から、本日は350万件が予想されています。

新規失業保険申請件数は、新型コロナウイルスによる現在の影響をより反映していると判断されている為、市場の関心を集めています。そのため、昨日に発表された米ISM製造業景況感指数の予想を上回る結果に対して、市場は殆ど反応しませんでした。明日に発表される米雇用統計も、あまり注目されない可能性があります。

サウジアラビアとロシアの協調期待で、原油価格上昇

トランプ大統領の仲介により、ロシアとサウジアラビアが協議を再開することとなり、本日の原油価格は上昇しました。新型コロナウイルスで原油需要が低下する中、原油産出国の協調に期待が高まり、WTI原油先物とブレント原油先物は、約9%上昇しました。

OPEC加盟国、及び非加盟国の協調決裂前までの生産水準に戻すだけでは、原油価格を以前の水準まで回復させることはできないでしょう。小規模の生産国への負担削減、及び中央銀行によるデフレの恐れも取り除く必要があるでしょう。