デイリーマーケットコメント–FRB議長の発言で米ドル安、国債利回りは底堅く推移

投稿日: 2021年4月29日19時27分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • パウエル議長がテーパリング協議の時期ではないと発言し、米ドルと国債利回り下落
  • 米第1四半期GDP発表を控え、国債利回りが回復し、株価は上値の重い展開
  • ハイテク企業の強い決算結果で、ようやく米主要株価先物指数上昇

パウエル議長は今まで以上にハト派寄り

FOMC政策会合では、市場の大半の予想通り、現行政策の据え置きが決定し、米経済へのポジティブな見解が示されました。迅速なワクチン接種、及び大規模な財政刺激策への認識が示された一方で、雇用、及び価格安定の目標達成に「十分な進歩」が見られるまで、現行政策維持の方針も表明されました。

パウエル議長は今まで通りの見解を維持しつつ、経済回復に向けた今後の方針について若干言及しました。パウエル議長は、インフレ上昇は一過性に過ぎず、利上げ要因にはならないことを強調しました。更に、最近の経済指標の強い結果にもかかわらず、まだテーパリングへの協議開始時期ではないこと、及び経済の十分な回復には時間を要するとの見解が示されました。

パウエル議長のハト派的発言を受けて、昨夜の国債利回りと米ドルは1か月ぶり安値まで下落しました。しかしながら、今週底堅く推移している米10年利回りは、素早く回復し、本日には1.65%を超えました。したがって、米政策金利は長期間ゼロ付近で継続しないと市場は見なしているようです。

現在の所、FRBはテーパリング協議を延期しましたが、インフレ上昇、及び経済の力強い回復により、FRBが政策変更を余儀なくされるのは時間の問題でしょう。

米ドルは若干回復、カナダドル急騰

米ドルは安値から回復したものの、テクニカル上での短期的な見通しは、引き続き弱気相場となっています。最近は、特にユーロ圏とカナダでの経済見通しが改善し、米ドルの魅力が以前よりも低下したようです。

ユーロ/ドルは、今月を1.18ドルを下回ってスタートしたものの、現在は1.21ドル台越えを達成しています。しかしながら、最大のサプライズは、カナダドルの急騰です。カナダドルは、年初から現在まで最も堅調推移した主要通貨となっています。カナダ中央銀行は、FRBよりも先に利上げを実施する模様です。昨日のカナダ2月小売売上高の予想を上回る結果も、早期利上げ観測を後押ししました。本日のカナダドルは上昇幅を拡大させ、対米ドルで3年ぶり高値1.2283ドルまで急騰しました。

日本国内での第4波、及びワクチン接種遅延により、日本が他の先進国よりも経済回復で遅れを取る見方が広がり、円は全面安となっています。ドル/円は109円台を試す展開となっており、本日の米第1四半期GDOの強い結果で一段と上昇する可能性があります。

米第1四半期GDPは、前期比で6%を上回る見通しです。米週次新規失業保険申請件数にも注目が集まり、債券市場と外国為替市場は、FOMC政策会合後の下落からの回復に繋がる可能性があります。

アップルの強い四半期決算結果で、米株価先物指数急騰

FRBのハト派的姿勢、ユーロ圏内での楽観的観測の上昇、及び米四半期決算の強い結果により、本日の欧州株式市場は上昇しました。しかしながら、独DAX指数は下落しました。

米主要株価先物指数も急騰しました。これにより、過去三日間、大きな動きが見られなかった米株式市場に動きが見られるかもしれません。今週のS&P 500とナスダック指数は最高値を更新したにもかかわらず、テスラ、マイクロソフト、及びアルファベットの決算発表後、株式市場は上昇してのオープンにはなりませんでした。

昨日の米株式市場閉場後に発表されたアップルとフェイスブックの四半期決算の強い結果により、ナスダック指数の先物指数は1%上昇してのスタートを示しています。

今週の国債利回り上昇が、米株価の上値を重くしている一因かもしれません。アップルの強い決算結果が、株式市場の上昇してのスタートに繋がらないなら、今後の四半期決算結果による株価の動きはあまり期待できないでしょう。