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米債券市場は乱高下
今週、英債券の売りが再度加速し、世界第5位の経済国の債券危機への懸念が強まりました。英債券売りの加速を受けて、年金基金の急落を回避する為のイングランド銀行の介入以来の最高水準まで利回りが急騰しました。
イングランド銀行は流動性供給の為、14日まで超長期債の1日当たりの最大購入額を従来の2倍に引き上げることを公表しました。市場では緊急措置の延長が予想されていましたが、イングランド銀行が延長を拒否した為、債券売りが急速に進みました。
ポンドは若干下落したものの、比較的底堅く推移しました。国債利回りが同様の水準まで急騰したものの、前回の時のようなポンド急落は見られなかったことから、今回は売却を余儀なくされた大型投資家による動きではなく、売却に秩序がより保たれていたことが明らかです。
ポンド相場の見通しは依然として悪化しています。双子の赤字の拡大は継続し、イングランド銀行は利上げに積極的姿勢を示していません。そのため、景気後退の深刻化の懸念が強まり、金融システムの不安定化に繋がっています。世界経済減速の中、リスクオフの流れが一段と加速しました。
米株価下落
米株式市場は、4セッション連続で下落しました。英債券市場の混乱が世界市場に波及し、ナスダック指数は2年ぶり安値まで一時急落しました。この動きを受けて、国債利回りは急騰し、リスクオフの流れが加速しました。JPモルガンのダイモンCEOは、米経済の景気後退に陥り、株価は20%値下がりする可能性が高いとの見解を示しました。
JPモルガンのCEOの見解は、過去1か月間の逆イールドによる債券市場の混乱を反映しています。高金利政策時において、バリュエーションは依然として高く、欧州と中国の景気は急速に悪化しています。今週からスタートする四半期決算発表では、下方修正が予想されています。
今期の四半期決算での最大の懸念は、、第3四半期の結果ではなく、経営陣による今後の見通しです。企業は収益見通しを下方修正する傾向があり、例えばナイキやAMDは収益低下の要因としてマクロ経済による影響を挙げています。企業収益の下方修正の傾向が継続した場合、翌年の減収、及び株安に繋がるでしょう。
米ドル全面高、ゴールド下落
金利差拡大、安全資産の需要、及び米ドル以外に代わる通貨がない状況により、米ドル全面高が継続しています。株価急落、及び中国経済悪化見通しにより、豪ドル等のコモディティ通貨が急落しました。
米ドル高、及び国債利回りの急騰により、ゴールドも大幅に下落しました。現在の状況が継続する限り、FRBが利上げペースを落とす公算は小さいでしょう。そのため、ゴールドの上値の重い展開も継続する見通しです。
本日には、複数の中央銀行メンバーの発言が予定されています。GMT13:45にはECBのチーフエコノミスト、レーン氏の発言、GMT16:00にはクリーブランド連銀のメスター総裁の発言、GMT16:00にはスイス国立銀行のジョーダン氏の発言、GMT18:35にはイングランド銀行のベイリー総裁の発言が控えています。