マーケットコメントー予想上回る米インフレレポートを受けて米ドル急騰

投稿日: 2024年4月11日17時09分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米CPI指数は予想以上に加速で米ドル上昇
・ドル円は152円台突破で日本政府は新たな介入警告で市場をけん制
・カナダ銀行は6月での利下げの可能性示唆
・ECBは本日の政策会合で据え置きか、6月での利下げを示唆する可能性も

6月での米利下げはなしか?

昨日の米ドルは、3月の米CPI指数が予想以上に加速したことを受けて、他の主要通貨に対して急騰しました。

市場は米利下げ観測を後退させ、6月での利下げの確率は55%から20%まで低下しました。また、年内の合計利下げ幅も0.43%に下方修正されました。

FRBの3月の会合では、年内に3回の利下げを織り込んでいましたが、公開された議事録では、3月の時点で、インフレの行方に関して懸念する声があったことも明らかになりました。FRBメンバーの中には、現状の政策金利がインフレを抑制するのに十分制限的かどうかについての疑問視する声もありました。しかし、ドットプロットでは、これ以上の政策金利の引き上げに賛成するメンバーはいなかったことが示されました。

本日はニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁とリッチモンド連銀バーキン総裁、ボストン連銀コリンズ総裁、そしてアトランタ連銀ボスティック総裁が講演をする予定で、米CPI指数を受けた後の発言に注目が集まるでしょう。CPI指数発表の1日前に、ボスティック総裁は、今年の利下げは1回になるだろうとの見通しを明らかにし、米経済とインフレの動向によっては、2回の利下げ、または利下げはない可能性もあることも示唆しました。

したがって、昨日のデータ後、ボスティック総裁、および他のメンバーの見解を聞くのは興味深いことになるでしょう。本日はまた、3月の米PPI指数と先週の新規失業保険申請件数の発表も控えています。

円安進行で介入リスク高まる、カナダ銀行は6月での利下げの可能性も示唆

ドル円相場は1%近く上昇し、1990年以来初めて152円台となり、介入への警戒感が強まりました。そうは言っても、152円近辺での売り注文は、買い手を阻止するには十分ではなかったようで、投資家は152円辺りでは介入はないと見ていたようです。

しかし、円安がさらに進行するにつれて、政府による介入の可能性は高まっており、昨日の円安進行から、一連の介入への警告となったことからも明らかです。神田財務官は、ここ最近の動きは急であるとし、行き過ぎた動きに対しては適切な対応を取ると市場をけん制しました。

昨日はカナダ銀行による政策会合があり、カナダのインフレが数か月でさらに緩和し、インフレリスクに関する懸念が後退したことを挙げ、金利の据え置きが発表されました。マックレム総裁が、記者会見にて、6月での利下げは可能性の範囲であると述べたましたが、多くの投資家は、明確なシグナルがないことに期待外れの反応を見せ、6月での利下げの確率は約3分の2から50%まで低下しました。

本日の政策会合でECBは6月での利下げを示唆するか

本日は、ECBによる政策金利発表が予定されており、0.25%の利下げの確率も10%ほどありますが、金利を据え置くと予想されています。ECBのメンバーの中には、春での利下げを支持する声もありますが、メンバーの多くは、6月まで利下げを待つことの方が適切であることを示唆していることから、本日の会合が、6月に利下げを踏み切ることの意図をお互い明確にする場となるかもしれません。

市場もECBによる6月での利下げ示唆を予想していることから、本日実際に利下げが示唆されるとしても、ユーロへにはあまり反応はないかもしれません。市場は、ECBの今後の方針に関する手掛かりに注目しているかもしれません。現在、市場は年内までの合計利下げ幅を0.75%と予想していますが、ECBの中にはそれ以上の利下げを支持しているメンバーもいるようです。