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・トランプ大統領はカナダ、メキシコ、中国に対しての関税導入を発表
・株価と仮想通貨に大幅な圧力、米ドル急騰
・本日もFRBメンバーの発言など重要な経済イベント控える
・ゴールドは赤字も原油価格は本日のOPECプラス会合を前に上昇
トランプは関税導入を表明
トランプ大統領がメキシコとカナダに対して25%関税を課す一方で、カナダのエネルギー製品には10%の課税、中国からの輸入品には10%の追加課税を課すとの「貿易戦争バージョン2」の開始を示しました。これらの貿易制約は2月4日から開始されます。
トランプ大統領は、これまでの関税の脅しが本気であり、第2次政権獲得の誓約となった「アメリカ・ファースト」を実践する決意の表明を明確にしました。まずは、隣国であるメキシコとカナダに対する10%の関税導入を開始して、徐々に関税率を上げることも可能でしたが、トランプ大統領による「衝撃と畏怖」のアプローチは軟化姿勢を許しませんでした。
しかし、カナダがフェンタニル危機と不法移民に対処する場合、カナダ製品への関税を撤廃する可能性も残しています。本日、トランプ大統領は、カナダ・メキシコ両国の首相と会談する予定ですが、現段階では関税撤廃の可能性は非常に低いと言えます。しかし、会談後に関税撤廃を表明することになると、本日の市場のネガティブなセンチメントが反転して向上する可能性もあります。
リスクセンチメント悪化
米国による貿易制限の発表により、先週の金曜日に広がった関税の先送りへの憶測が市場には不利となり、結果として、本日の市場のセンチメントは大幅に悪化しました。株式市場は下落し、先週のマイナスの勢いを維持しており、急激なリスクオフの反応となっています。暗号資産市場が最も打撃を受け、イーサリウムが最も下落してこの調整を牽引しており、ビットコインも下落しているものの、再度他の仮想通貨のパフォーマンスを上回っています。
一方、米ドルは強さを発揮して全般的に上昇基調ですが、安全資産からの恩恵を受けている日本円に対してのみ下落しています。ユーロ/ドルは1.0200辺りで推移しており、市場はパリティが近いことを確信しています。
FRBの今後の方針について市場は検討再開
関税のニュースが徐々の浸透することで、市場の緊張が緩和する可能性もありますが、トランプ大統領が姿勢を軟化させない限り、リスク選好度は低いままとなるでしょう。中には、現在の株式市場の暴落が、トランプ大統領が主張する利下げには好材料であると主張する者もいるかもしれません。トランプ大統領はダボス会議にて利下げの必要性を強調し、先週のFRBによる金利据え置きに不満足でした。
一方、エコノミストはこの関税導入による影響を再度検討するのに忙しくなりそうです。多くのエコノミストは、カナダとメキシコの経済成長率にかなりの影響がでるものの、米経済への影響はごくわずかとなる可能性が高いと見ています。しかし、米インフレへの影響の規模については未だに議論が交わされています。
従って、FRBは早速困難な立場に立たされるかもしれません。関税政策が米インフレを押し上げると予想されているため、今後の米経済の見通しが複雑化する一方、長引く調整によって、FRBに市場を支えるように圧力が強まる可能性があります。かの有名なFRBメンバーの発言で市場の動揺が落ち着くとのFRBの影響もトランプ大統領の手法次第となる可能性があり、最終的には、FRBが金融政策のスタンスを予想されているよりも大分早く緩和せざるを得なくなるかもしれません。
今週も重要な経済イベントとFRBメンバーの発言が続く
市場がこの最新の動向について精査する中、今週は重要なイベントとFRBメンバーの発言が続きます。本日は、1月のユーロ圏のCPI指数速報値と米ISM製造業企業調査が注目となるでしょう。一方、パウエル議長よりもややタカ派と見られるアトランタ連銀ボスティック総裁とセントルイス連銀ムサレム総裁の講演も予定されています。
最後に、ゴールドは急な40ドルの下落からの回復を試みており、原油価格はトランプ大統領の発表から恩恵を受けて、75ドル付近に向けて若干上昇しています。本日はOPECプラスの会合が予定されており、市場環境の悪化の中でこの会合が延期されない限り、トランプ大統領とサウジアラビアのサルマン皇太子の会談後、サウジアラビアがスタンスを変えたのかどうかを確認する機会になるでしょう。