デイリーコメント ― 新たなトランプ関税の決定が示唆される中、リスクセンチメントは後退

投稿日: 2025年4月16日18時29分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

• 本日のFRBパウエル議長講演で利下げ姿勢に注目集まる
• 英CPI減速で引き続き5月会合での利下げを示唆
• 本日、カナダ中銀は利下げを決定する可能性大
• 米ドルは依然として苦戦、ゴールドは史上最高値を更新

リスク選好度は再び後退

週明けのリスクセンチメントは、トランプ大統領が関税に関する発言を続けていることから、徐々に後退しつつあります。報道では、国別の相互関税の影響を受ける国々と多数の取引が交渉されていると指摘されていますが、トランプ大統領は重要鉱物の関税に関する調査を要求しており、近々さらなる関税の発表が行われる可能性があります。

これは米中貿易戦争の新たな幕開けであり、トランプ大統領がエヌビディアの中国への特定の半導体の販売を無期限に禁止する決定を下したことに続くものです。一方、中国は依然として経済問題を解消するのに苦労しています。中国経済は3月の鉱工業生産指数と小売売上高が上振れのサプライズをもたらしたにもかかわらず、2025年第1四半期の経済成長率は1.2%と予想の1.4%を下回りました。

しかし、このデータは4月2日の相互関税の決定と、その後の中国からの輸入品に適用された米国の関税引き上げよりも前のものであり、今後の中国人民銀行の金融政策への姿勢はより緩和する可能性があります。

本日はパウエル議長が講演

現在、米株価は今週の上昇分の一部を戻し、ユーロ/ドルは再び1.1370に近づき、ゴールドは再び史上最高値を更新していますが、市場の関心は、米国の重要な経済指標とFRB当局者らの発言に移りつつあります。本日は3月の米小売売上高の発表があり、市場は今回もまずまずの数字を期待しています。しかし、本日より重要なことはFRB当局者の発言で、クリーブランド連銀のハマック総裁は16:00(GMT)、カンザスシティ連銀のシュミッド総裁は23:00(GMT)に講演する予定です。

しかし、投資家は17:30(GMT)からのパウエルFRB議長の講演に注目しています。パウエル議長が4月4日の講演でFRBの利下げ観測に言及しなかったことで、米株価の大幅調整の一因となった可能性があります。トランプ大統領がパウエル議長に対して強硬な姿勢を維持する中、パウエル議長は今後のFRBの方針については沈黙を保ち、債券市場を支援するなど、必要であれば行動する用意があることを強調すると見られています。

興味深いことに、米国財務省の統計データである2月の国際資本統計(TIC)も本日発表されます。普段はあまり注目されないこの報告書には、米国債の主要な海外保有国の状況が詳細に示されています。市場関係者は、トランプ大統領による関税戦争の激化を前に、中国や日本が巨額の米国債を売却しているかどうかに注目しています。

今年のイースター休暇後の市場は2017年の時の繰り返しとなるか

一方、市場もまたイースター休暇に備えています。2017年以来初めて、キリスト教徒の各宗派が同日にキリストの復活祭(イースター)を祝います。興味深いことに、2017年当時はトランプ大統領が第1政権発足から数か月を迎えた時期でした。当時、S&P500指数はイースター後の最初の週に0.8%上昇しましたが、原油価格は同期間に7%もの大幅な下落となりました。

英CPI指数は一段と鈍化

次回のイングランド銀行会合までまだ3週間ありますが、市場はすでに5月8日に0.25%の利下げが発表されると確信しています。昨日発表された、良好な失業保険申請件数や堅調な平均賃金の伸びに続き、3月のインフレ統計は見通しを大きく変えるものではありませんでしたが、ハト派のイングランド銀行メンバーにはいくらかの朗報となりました。しかし、ポンドは本日、ユーロと米ドルに対して下落しています。

本日のカナダ中銀の利下げ観測は強まる

本日、カナダ中銀は政策金利を決定する会合を終了し、13:45(GMT)に決定が発表されます。最近の米国による関税措置の進展は好材料ではあるものの、特に28日に総選挙を控えるカナダでは、2025年中の大幅な景気減速が強く懸念されています。

昨日発表された軟調なカナダのCPI指数を受けて、更なる0.25%の利下げの可能性は高まったものの、エコノミストと市場の見方は依然として割れています。利下げ決定となれば、カナダ銀行が先手を打って対応し、減速する経済へのさらなる刺激策を提供することになるでしょう。

米ドルはカナダドルに対して大幅に下落しており、奇妙なことに、たとえ本日カナダ中銀が利下げを実施したとしても、特に米ドル/カナダドルが200日単純移動平均線である1.4012を下回ったままで推移する場合は、直近のトレンドに対する強い逆風とはならないかもしれません。