デイリーコメントー米ドルの命運は今後の米経済指標が握る

投稿日: 2025年4月30日18時37分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

• リスクセンチメントは改善、焦点は本日の米経済指標に移る
• 好調なデータ発表となる場合、来週のFOMC会合でのハト派姿勢を抑制する可能性
• トランプ大統領は就任100日を記念して様々なイベントで発言予定、市場も発言に注目
• ゴールドとビットコインはレンジ相場、原油は60ドル割れ

リスクセンチメントの改善は、本日も試される可能性

米株価指数は昨日、6日連続の上昇を記録しました。これは、米大統領選でトランプ氏が勝利し、市場が高揚感に包まれていた2024年11月下旬以来の連日上昇です。同時に、米ドルはユーロに対して上昇できていませんが、米ドル強気派にとっては、最近の下落基調がすでに終息した可能性があるという点で、安心材料となるかもしれません。

トランプ大統領が1月20日の就任から100日目を迎える中、本日の焦点は米経済指標に移ります。来週のFOMC会合の展望に影響を与える可能性のある多数の米国経済指標が発表される予定ですが、より重要なのは、これらのデータが当面の米国の成長見通しに対する投資家の懸念を確認するのか、または緩和させるのかということです。

本日発表の主要な米経済指標

本日発表の米GDPでは、エコノミストは、2025年第1四半期の成長率を前期比でわずか0.3%と予想しており、第4四半期の2.4%から大きく減速する見通しです。一方で、GDPデフレーターは3%に上昇すると見込まれており、これは2024年第1四半期以来の高水準となります。本日の米個人消費支出(PCE)指数も注目となっており、特に3月の関税引き上げに対する米消費者の反応を見極めるため、個人消費に一段と関心が集まっています。

ADP非農業部門雇用者数も本日12:15(GMT)に発表されます。11万5千人の増加が予想されており、上振れ・下振れサプライズの可能性は五分五分と見られています。この雇用統計は、4月2日に発表された相互関税と、その後のトランプ大統領による応酬を反映したもので、金曜日に発表される公式の非農業部門雇用者数ほか米雇用統計に先立ち、4月最初の労働市場関連の重要な数字となります。

さらに、米10年債利回りが3週間ぶりの低水準まで下落する中、2025年第2四半期の米国債発行計画が12:30(GMT)に発表される予定です。入札規模に若干の変化が生じる可能性は否定できませんが、債務上限をめぐる議論が再び注目を集める展開となるかもしれません。

トランプ大統領が各所で発言予定

ブラックアウト期間につきFRB当局者の発言がない中、トランプ大統領は就任100日を記念する一連のイベントに出席する予定であり、米国の各種データについて発言すると予想されます。トランプ大統領は、本日のデータが良好なものであれば自らの功績を強調し、逆に期待外れの結果となれば、FRB当局者やパウエル議長に責任を転嫁する可能性が高いと予想されています。

もし本日発表されるユーロ圏の経済指標が、ECBによる追加利下げの可能性を大きく高める内容となれば、トランプ大統領のFRB批判はさらに激しさを増す可能性があります。ドイツの4月消費者物価指数(CPI)速報値は、2025年第1四半期に記録された軟調なGDP成長率に続き、さらに鈍化して2%強にとどまると予想されています。

原油価格が下落する中、FRBは来週の会合に備える

外部からの批判に関係なく、FRBメンバーは今後発表される経済指標に注目しています。ハト派のFRB当局者らは、来週の会合でのハト派寄りの姿勢を強く望んでいますが、今後米国が景気後退に陥るリスクは依然として高いままです。そのような中、WTI原油価格は再び60ドルの節目を割り込んで急落しており、今朝発表された中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)がまちまちの結果だったことを受けて、市場の成長見通しに対する懸念が再燃している可能性を示しているでしょう。

一方で、米政権は現在進行中の貿易交渉に対して「好感ムード」を演出しようと懸命になっています。自動車と自動車部品に対する25%の関税の一部が緩和されたことを受け、ラトニック商務長官は、すでに1件の貿易協定が合意に至ったと述べ、ベッセント財務長官は、18件の重要な貿易協定はトランプ大統領の署名に向けて準備されていると発言しました。

ゴールドもビットコインも様子見姿勢

ゴールドは引き続き3,300ドル台で推移しており、3,260ドルの水準がサポートラインとして機能しています。興味深いことに、中国は5月5日まで休暇に入るため、数日間はゴールドにとっての最大の追い風がなくなる可能性があるでしょう。同様に、ビットコインも最近の大幅上昇を維持しています。ビットコインは9万5千ドルを少し下回る水準で取引されており、特に米株式のもう一段の上昇など、新たな強気材料を待っている状況です。