デイリーコメントートランプ大統領、メキシコとEUに向けて追加関税通告

投稿日: 2025年7月14日18時47分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・トランプ大統領による関税の脅しが続き、米ドル上昇
・明日の米CPI指数に特に注目集まる
・米株価指数は下落、リスクオフの中ゴールド上昇
・本日からの「暗号資産ウィーク」でビットコインは最高値更新

安全資産への流入拡大で米ドル続伸

トランプ大統領が貿易相手国に対して追加関税を課すと脅していることから、主に安全資産に資金が流入しており、金曜日の米ドルはほぼ全ての主要通貨に対して上昇し、本日も続伸しています。

先週、トランプ大統領は日本と韓国からの輸入品に対して25%の関税を課すと言及した後、ブラジルに対して50%の関税、他国に対してはそれよりは低い関税率を課すと脅し、先週の木曜日には、カナダからの全ての輸入品に対して35%の関税を課すとの書簡を送付しました。

しかし、トランプ大統領の攻撃はこれでは終わりませんでした。8月1日からこれらの関税が発動するにもかかわらず、土曜日には、メキシコとEUからの輸入品に対して30%の関税を課すと脅しました。

インフレの上振れリスクから明日の米CPI指数に注目

関税関連の脅しとは別に、トランプ大統領は日曜日にFRBパウエル議長をさらに攻撃しました。パウエル議長が辞任すれば「素晴らしいこと」になると言及し、利下げを再度要求しました。

しかし、FF金利先物によると、投資家は今後の金利経路についての見解を変えていません。市場は引き続き、年内に合計で0.50%相当の利下げを織り込んでおり、次回のFOMC会合での0.25%の利下げの確率はわずか7%にとどまっています。

おそらく、トランプ大統領による繰り返しの利下げ要求にもかかわらず、市場は新たな関税の脅しがインフレの上振れリスクとなることに引き続き懸念を示しているためかもしれません。そのため、明日の米消費者物価(CPI)指数が特に注目となるでしょう。ISMサービス業PMI指数のサブインデックス指数である仕入れ価格指数が低下したため、明日のCPI指数が減速する可能性があり、原油価格も前年比でマイナスとなっているにもかかわらず、総合CPI指数は2.6%の加速すると予想されています。したがって、基調的なインフレも加速するかもしれません。

明日のCPI指数でインフレの粘着性が証明される場合、今月の利下げの可能性は払拭され、その結果米ドルがさらに上昇する可能性があります。しかし、米ドルが強気トレンドに転換したとのより広範な見通しについて議論するにはまだ時期尚早です。関税がインフレだけでなく、米経済活動自体にも影響を及ぼし始めると、市場は米資産への信頼を失い、米ドルが売られるかもしれません。

米株価下落、ゴールド上昇、ビットコインは最高値更新

米株式市場では、金曜日にNYダウが最も下落するなど、主要3指数全てはマイナス圏で取引を終え、本日の株式先物は低い始値でのスタートを示唆しています。ボラティリティ(VIX)指数の急騰とともに、投資家が世界的な貿易の見通しに対して不安を抱いていることが裏付けされます。

しかし、市場の反応としては、4月の「解放の日」以来の急落からは程遠いものです。どうやら、市場はトランプ大統領が自分の要求通りの取引を確保するために関税を交渉手段に利用しているとの見解を維持しているようです。しかしながら、8月1日までにこれ以上貿易協議の合意がないまま関税が発動するとなると、市場の反応も変化するかもしれません。

ゴールドはリスクオフのムードを反映しており、ドル高にもかかわらず、上昇しました。ゴールドは6月16日に更新した高値である3,450ドル付近まで上昇する可能性があり、この水準を突破すると、4月22日に更新した最高値である3,500ドルに向かっていくかもしれません。

暗号資産市場では、ビットコインETFへの資産流入から、ビットコインが本日最高値である123,153.22ドルを更新しました。この上昇は、米下院にて一連の暗号資産関連法案が審議される本日からのいわゆる「暗号資産ウィーク」を受けて、長期的な機関投資家からの資金流入によって牽引されていることが示唆されています。