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衝撃のNFP発表後、市場は落ち着きを取り戻す
本日、米ドルは何とか持ち直し、欧州とアジアの株式市場も先週の損失の一部を取り戻そうとする動きを見せました。これは市場が、金曜日の予想外に脆弱な米雇用統計や、トランプ大統領による新たな関税攻撃を消化する中での動きです。
木曜遅くに米政権が多国に対し、一律10%の関税率を大きく上回る関税率を発表しました。この直後に、7月の米雇用統計が二つ目の衝撃を与えることになるとは、市場は予想していませんでした。
7月の米雇用増加数は予想を下回る結果となり、雇用者数は11万人の予想に対して僅か7万3千人の増加に留まりました。しかし、それ以上に市場を驚かせたのは、4月と5月の米雇用統計が合計で25万8千人も大幅に下方修正されたことでした。これは、わずか2日前にFRBがFOMC声明文で「労働市場の状況は引き続き堅調である」と主張していたことに疑問を投げかける結果となっています。
FRBの利下げ予測が高まるも、控えめな反応
今回の脆弱な米雇用統計は、パウエルFRB議長にとってさらに厄介な状況を招いています。というのも、トランプ大統領からの利下げ圧力が非常に強まる中でのこの結果は、政策当局の利下げ実施が遅すぎるというトランプ大統領の主張に、一層の説得力を与えてしまうからです。しかし、たとえ米労働市場の悪化が実際に生じているとしても、米国のインフレリスクが依然として高いことは否定できません。これは、先週発表された 米PCE 価格指数や、米雇用統計における賃金上昇率の上方修正によっても明らかになっています。
これが、インフレが抑制されていた場合に比べて、FF先物の動きがそれほど急激ではなかった理由かもしれません。9月の利下げ観測は、約65%から約88%へと上昇しているものの、市場ではまだ完全には織り込まれていません。2025年内3回目の利下げについても同様に、完全に織り込まれてはいないものの、9月に0.5%の大幅利下げの可能性は依然として十分残されているようです。しかし、その判断は今後発表される2回の消費者物価指数(CPI)と1回の個人消費支出(PCE)の結果に大きく左右されるでしょう。
トランプ大統領の次の動きにも注目
金曜日のISM製造業景気指数(PMI)の支払い価格指数は、関税の影響が限定的である可能性を示したため、市場の安心材料となりました。また、米債利回りの大幅な低下は、米債券市場が現時点ではインフレをあまり懸念していないことを示唆しています。しかし、データがようやくトランプ大統領の利下げ主張を後押しする方向に動き始めた矢先、トランプ大統領は米労働統計局長を解任しました。これは米雇用統計発表の数時間後に実施され、トランプ大統領は統計の数値を「でたらめ」で「不正操作されたもの」と主張しました。
この異様な行動は、トランプ大統領が米国経済に対してますます独裁的な方法で関与するのではないかという懸念を一段と強めるものとなりました。金曜日にさらに不透明感を高めたのが、クーグラーFRB理事の任期完了前での突然の辞任発表です。これにより、FRB理事に空席が生まれ、トランプ大統領がパウエル議長の後任を指名する可能性が出てきました。
関税猶予措置への期待
景気後退への懸念、関税をめぐる不透明感、そしてアップルやアマゾンの冴えない決算が重なったことで、S&P500とナスダック100は、金曜日にはそれぞれ1.6%と2.0%下落しました。第2四半期の決算シーズンが終盤に差しかかる中、今週はディズニーの決算が注目されるでしょう。
多くの投資家は、先週発表された高関税の一部の再交渉、及び引き下げに期待を寄せています。例えば報道によると、カナダのカーニー首相が今週後半にトランプ大統領と会談し、カナダから米国への輸入品に課されている35%の関税を引き下げへの合意見込みがあるとされています。
カナダドルは本日、米ドルに対して横ばいの動きとなっていますが、スイスフランは下落しています。これは、米政権がスイスへの39%の関税を決定したことを受けたものであり、スイス政府にとっては予想外の出来事でした。
一方で円は、金曜日のリスクオフの中で安全資産としての地位を再び強固にしました。ただし本日はその上昇分の一部を還元しており、ドル円は148円をやや下回る水準まで反発しています。
ゴールドは反落、原油の売り圧力再開
ゴールドもまた、金曜日に急騰した安全資産のひとつでしたが、本日はやや下落基調となっています。ゴールドは、本日の取引セッション前半に1オンスあたり3,365ドル超えとなる1週間ぶり以上の高値を更新し、その後やや下落しました。ロシアがウクライナとの停戦合意を拒否したことを受けて、米国が原子力潜水艦2隻のロシア付近への配備を命じたとの報道が、ゴールドのサポートとなっています。
原油先物は、日曜日にOPECプラスが9月から日量54万7千バレルの増産を決定したにもかかわらず、珍しく落ち着いたスタートを切りました。しかし現在は、WTI原油先物とブレント原油先物の両方が下落しており、木曜日に始まった売り圧力が再開しています。