デイリーコメントー本日の欧州・ウクライナ会談を前にゴールド小幅上昇、米ドル安定

投稿日: 2025年8月18日19時02分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米大統領はアラスカでの露大統領との会談に進展なしで、本日欧州・ウクライナと会談予定
・ゴールドは反転して上昇、強弱まちまちの米経済データで米ドルは横ばい
・株価は最高値付近で上昇、今週のジャクソンホール会議に注目

週開けはウクライナに関する会談が主な焦点

先週の金曜日、世界中がウクライナ情勢の進展を見守る中、今週の取引は非常に静かなスタートとなりましたが、市場を動かす可能性のある一連の経済イベント等が控える中、この静けさが続くとは思われません。金曜日にトランプ大統領とプーチン大統領がアラスカで会談をしましたが、ウクライナ情勢に関する待望の会談はほとんど成果がありませんでした。

ウクライナとロシア紛争の停戦に向けた進展への突破口とはならず、トランプ大統領は現在、永続的な和平合意を積極的に進めています。この紛争の早急的な解決策として、プーチン大統領をなだめるべく、ウクライナとロシアの間での領土交換に前向きなようです。

しかし、ウクライナも欧州各国のリーダーも、少なくても交渉の初期段階では、領土交換には賛成するとは思われません。ウクライナのゼレンスキー大統領とともに、フランスやイギリスといった欧州数か国のリーダーらは、本日後半にホワイトハウスにて、トランプ大統領と会談する予定で、トランプ大統領とゼレンスキー大統領の間で、新たな対決となりそうです。

ゴールドは上昇も原油価格には引き続き圧力

ゴールドは、本日の会談を前に3,350ドルに向けて上昇しており、本日のアジア時間のセッションでは、2週間ぶりの安値となる3,322.92ドルの安値まで下落した後に急上昇しています。トランプ大統領が本日のホワイトハウスでの会談にて、欧州同盟国の意見に耳を傾けないようであれば、ゴールドはさらに上昇する可能性があります。

しかし、本日の会談がどのような結果となるとしても、ゴールドがここ4カ月間のレンジ取引から逸脱するような決定的となる可能性は低く、FRBパウエル議長が9月の利下げについて示唆すると思われるジャクソンホール会議が今週のより大きなリスクとなるでしょう。

一方、原油価格は金曜日の損失を受けて、本日も下落しています。トランプ大統領は、インドなどへの二次的関税を含め、ロシアの石油輸出への新たな制約も脅していましたが、プーチン大統領との会談後はスタンスを軟化させたようです。このため、しばらくは供給制約の脅威が大幅に軽減されることになり、原油価格の重荷となっています。

米CPI指数とPPI指数の差異で米ドル低迷、今週のパウエル議長の講演に注目

米経済に関する経済データ強弱まちまちであることから、本日の米ドルは方向性を模索しています。ウクライナ紛争終結に向けての会談が実を結ぶには程遠いように見える中、現在の焦点は金曜日のジャクソンホール会議でのパウエル議長による講演となります。パウエル議長は、来月のFOMC会合での利下げについて公に前向きな姿勢を見せる可能性が高いでしょう。

毎年ジャクソンホールで開催されるFRBの経済会議に向けてのリスクは、パウエル議長の発言が十分にハト派と受け止められないことへの市場の失望感となるでしょう。ここ最近の米経済に関しては、特に7月の雇用統計など、いくつかの危険信号が示唆されていますが、今のところは、景気後退を示唆するには十分な証拠とはなっていません。さらに重要なことに、先週の生産者物価(PPI)指数で示されたように、インフレ圧力が継続しており、最新のミシガン大学消費者信頼感指数ではインフレ期待も上振れとなりました。

7月の米CPI指数とPPI指数の結果が一致しなかったことから、企業は輸入コスト上昇を消費者に転嫁していないと示唆している可能性があり、その結果、消費者は先月も健全な水準にて消費を続けることができました。しかし、これは利益率への打撃を意味することになり、株式によってはマイナスとなるでしょう。

ドル円は147円30銭で取引されおり、ユーロは米ドルに対して1.1682と少し下落しています。

先週の一時的な円高は、ベッセント米財務長官による日銀への発言が、利上げへの圧力を増大させる意図であったことを日本政府が否定したことで、急に終焉を迎えました。

楽観主義が株価上昇をサポートも暗号通貨は下落

先週の米PPI指数と小売売上高を受けて、FRBがよりハト派に傾く可能性が一部後退しため、米株価のほとんどは下落しました。9月のFOMC会合での利下げは依然として強く織り込まれているものの、9月以降の緩和ペースについては大きな疑問が残ります。

しかし、株式市場での前向きな勢いはいくらか失ったものの、超大型株が2桁の収益を上げることや関税戦争の緩和への楽観的な見方が市場には広がっており、アジア株が大きく上昇しています。本日の日経平均株価は最高値を更新して取引を終えました。

決算に関しては、米小売業による決算報告が今週は焦点となるでしょう。

しかし、暗号資産はもはや楽観主義とはいかないようで、最近の急騰から先週下落し、今週も継続しているようです。ビットコインは本日約2%下落し、最高値からの急反転を拡大しています。