デイリーコメント – 米ドルが上昇を拡大、NZドルはNZ中銀会合後に急落

投稿日: 2025年8月20日18時24分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

• ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長講演を控え、米ドルは堅調
• 河野元外相の日銀への利上げ要求を受けて、円は引き続き上昇
• 超ハト派的なNZ中銀の利下げ決定を受け、NZドルは急落
• パウエル議長の講演を前に、米株価は反落

市場はパウエル議長のタカ派的発言に備える

昨日、米ドルは回復を再開し、円を除く全ての主要通貨に対して上昇しました。この動きは本日も続いており、米ドルは特にNZドルに対して最も上昇し、日本円に対してはやや下落となっています。

米ドルトレーダーたちは、金曜日のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演が比較的タカ派的な内容になるとあらかじめ織り込んでいるようです。したがって、実際に比較的タカ派的発言が確認される場合、講演後のさらなる米ドル高は限定的となる可能性があります。

7月の脆弱な米雇用統計に加え、米CPIが関税によるインフレ圧力が限定的であることを示唆したことで、利下げ観測は高まりました。とはいえ、予想を上回る米PPIデータは、投資家の楽観的な期待を打ち砕くこととなりました。現在、市場は9月の0.25%の利下げ確率を80%と織り込んでおり、年末までに予想される合計利下げ幅は0.55%となっています。

したがって、たとえパウエル議長が9月の利下げに前向きな姿勢を示したとしても、9月以降の追加利下げを事前に約束しない限り、パウエル議長の発言はタカ派的と受け取られるかもしれません。

本日、FRBは直近の7月会合のFOMC議事要旨を公表しますが、この会合は脆弱な米雇用統計や7月の米CPI指標が発表される前に行われたものであるため、市場参加者はこの議事要旨の内容を既に古い情報として受け止める公算が大きいでしょう。

日銀への利上げ要求が円高を後押し、NZ中銀の利下げ決定でNZドルが急落

河野元外相がインフレを押し上げている円安を是正するため、日銀は利上げを行うべきだと発言したことを受けて、円は引き続き上昇しました。一方で本日、ニュージーランド準備銀行が0.25%の利下げを決定し、金利を3.0%としたことを受け、NZドルは急落しました。さらに、会合内では0.5%の大幅利下げについての議論があったことも明らかになりました。加えて、政策当局者は更なる追加利下げが予定されていることを示唆し、金利の目標水準をこれまでの2.85%から2.55%へと引き下げました。

このことから、主要中央銀行の中でも、日銀とNZ中銀間の政策金利の乖離が最も大きい見通しであることが示され、その結果、NZドル/円の更なる下落の可能性が高まっています。NZドル/円は昨日0.4%下落したのに続き、本日は最大で1.4%の下落となりました。

その他の通貨では、カナダドルも昨日下落しました。これは、カナダのCPIデータが軟調となったため、カナダ中銀による追加利下げの可能性が高まったことを受けています。一方で、本日ポンドは比較的安定しており、米ドル高にも屈しませんでした。これは、英消費者物価指数が前年比3.6%から3.8%へと加速し、既に緩やかとなっている利下げペースを、今後さらに慎重に判断すべきだとする英中銀の見解を裏付ける内容となったためです。英翌日物金利スワップ(OIS)市場によると、次回の英中銀による利下げは2026年3月と予想されています。

市場のリスク選好度が後退し、米株式とビットコインが下落

米株式市場では、S&P500とナスダックの両指数が下落し、特にナスダックは昨日の取引で約1.5%の下落となりました。これにより、投資家がパウエルFRB議長のタカ派的な発言に備えているとの見方が強まっています。これは昨日、トランプ大統領が、利下げをしないことが米国の住宅産業に悪影響を与えていると発言し、再びパウエル議長を批判したにもかかわらずの動きです。

ダウ平均は昨日、通期見通しの維持が好材料となったホームデポの株価上昇に支えられ、史上最高値を記録し、わずかにプラスで取引を終えました。ただし、もしパウエル議長が金曜日のジャクソンホール会議での講演でタカ派的な発言をすれば、ダウ平均も他の2つの主要指数と同様に下落する可能性があります。しかし、米国の景気後退の懸念がない限り、米株価の更なる下落は限定的にとどまるでしょう。

ジャクソンホール会議を前に、投資家は株式だけでなくビットコインへの投資も縮小しました。暗号資産の王様であるビットコインは本日早くに2週間ぶりの安値となる11万2578ドルまで下落したものの、その後やや回復しました。