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パウエル議長はハト派姿勢を示す
先週金曜日、米ドルは対主要通貨で下落し、特に対豪ドルで最も下落しました。本日、下落の勢いはやや落ち着いており、米ドルは対円とスイスフランで僅かな回復を見せています。
ワイオミング州で開催されたジャクソンホール会議で、パウエルFRB議長が9月の利下げを示唆した直後から、投資家の米ドル売りが始まりました。パウエル議長は、米労働市場は均衡しているように見えるが、それは労働力の需給両面で著しい減速が起きた結果としての「奇妙な均衡状態」であると述べました。これは米国経済の下方リスクを示唆しており、「もしこのリスクが現実となれば、この減速は急激に進行し得る」とも付け加えました。
とはいえ、パウエル議長は今後の利下げのペースや利下げ幅は、今後発表される米経済指標次第であるとも述べました。これは、9月以降の利下げサイクルが、多くの投資家が考えているほど急激ではない可能性を意味しています。
したがって、市場はパウエル議長の発言をハト派的と受け取ったものの、ある程度の慎重さも必要かもしれません。結局のところ、FF先物市場は、9月の0.25%の利下げ確率が約85%、年末までの予想合計利下げ幅は0.54%と示しており、パウエル議長の発言前と比べても大きな変化はありません。パウエル議長の講演前は、米PPIデータが関税によるインフレ懸念を強めた為、米ドルは上昇していました。
米国経済は成長が大きく鈍化する一方で、インフレが高止まりするスタグフレーションに向かっているのかもしれません。そのためFRBは、利下げについて慎重に判断をする必要があるでしょう。たとえ9月に利下げを実施したとしても、インフレリスクの高まりから、その後の利下げは非常に緩やかに進めるべきだという示唆があれば、米ドルが反発する可能性もあります。
本日、影響力のあるニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が発言予定で、今後の金融政策の方向性を見極める為に、市場の関心が集まるでしょう。
米株価は上昇、ダウ平均は史上最高値を更新
米株式市場では、主要3指数全てが1.5%以上上昇し、ダウ平均とナスダックは2%近い上昇となりました。これは、利下げ観測の高まりを投資家たちが歓迎したためです。ダウ平均は史上最高値を更新し、S&P500は自身の史上最高値にあと10ポイント未満と迫りました。小型株や金利の影響を受けやすいラッセル2000は4.1%急騰し、年初来の最高値を記録しました。
トランプ政策による不確実性にもかかわらず、貿易協定への楽観的観測、予想を上回る米決算結果、そして利下げ観測の高まりが、米株価の上昇の好材料となっています。
しかし、トランプ大統領は自分の考えに合わない国に対しては、より高い関税で報復する可能性があるため、依然として懸念は残っています。さらに、今週の金曜日には米PCEインフレ指標が発表されます。コアPCE率はFRBが最も重視するインフレ指標であり、加速の兆しが見られれば、投資家は予想利下げ幅を減らすかもしれません。
植田日銀総裁が賃金上昇を予想し、利上げ観測が上昇
ジャクソンホール会議で注目を集めたもう一人の中央銀行総裁は、日銀の植田総裁でした。植田総裁は、大企業以外でも賃金上昇が広がっており、日本の労働市場が逼迫する中でこの上昇圧力が続く可能性が高いと述べ、追加利上げの条件が整いつつあるとの楽観的な見方を示しました。
ドル/円は146.60の重要なサポートラインから反発し、本日の円相場は下落基調となっています。しかし、植田総裁の発言により、年内に0.25%の利上げが行われる可能性は72%と高いままとなっています。