デイリーコメントー金曜日の米雇用統計を前に、市場は手控えムード

投稿日: 2025年9月1日18時51分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・米ドル下落、株価も不安定
・先週の米高裁によるトランプ関税判決を受けて法廷闘争が焦点に
・市場の焦点は金曜日の米雇用統計
・不確実性によってゴールドとシルバー上昇、仮想通貨には圧力続く

米ドル下落続く

今月初日となる今日、米ドルは下落基調で始まり、8月に更新した下落幅を拡大しています。FRBによる緩和サイクル再開の確率が高まり、米ドルは先月ユーロに対して2.4%下落し、ドル指数は大幅に2.2%下落しました。ドル指数は年率で10%下落しており、最も変動のあった通貨ペアは、ユーロ/ドルで13%上昇、ドル/スイスフランで12%下落となりました。

トランプ第2次政権による大量のニュース報道やネガティブな展開にもかかわらず、米株価指数は今年、このドル安からの影響を受けていません。先月の米株価は波乱に満ちていましたが、何とか黒字領域にとどまっています。

ナスダック100指数は先月0.8%上昇し、AIを巡る熱狂も後退の兆しが見えてきたかもしれませんが、関税面での進展も併せて検討する必要があるでしょう。例えば、エヌビディアの中国への出荷停止による隙間を埋めるべく、アリババが新たなAI半導体を開発したとの報道から、エヌビディア株は先週後半下落しました。

トランプ関税は法廷闘争へ

先週の金曜日、連邦高裁は、トランプ関税の多くは違法であるとの判決を下しました。トランプ政権は10月14日までに控訴する時間が与えられるため、それまで関税は維持される見通しですが、評論家らはこの問題が最高裁まで持ち込まれると確信しています。最高裁の9人の判事のうち6人は共和党の大統領によって任命されているため、最高裁でのトランプ大統領の勝利となると予想されています。

一方、中国の製造業PMI(購買担当者景気)指数が本日まちまちとなったものの、関税の影響は世界中に波及しています。 韓国では、8月の輸出が急激に減少し、日本の製造業PMI指数の輸出受注も18カ月ぶりに急速なペースで減少しました。

今週は重要な米雇用統計発表

米国を拠点とする多数の投資家は、本日勤労感謝の日で祝日となりますが、市場では今週の米雇用統計へのカウントダウンが始まっています。明日のISM製造業PMI指数はおそらく、木曜日のADPによる雇用統計とISMサービス業PMI調査、そしてさらに重要なことに、金曜日の公式の雇用統計の前触れとなるでしょう。今月16日から17日に開催されるFOMC会合では、0.25%の利下げはすでに織り込まれ済みですが、0.50%の利下げの可能性もあるのでしょうか。

FRBハト派は当然大幅利下げにも関心を示すでしょう。サンフランシスコ連銀デーリー総裁は金曜日、「政策を再調整する時期が近い」とし、ハト派の主な論点である関税による物価上昇は一回限りで、持続的なインフレ加速とはならないとの主張を繰り返しました。

一方、FRBクック理事の解任については、理事の弁護士らはトランプ大統領による解任の違法性について書面で提出するように促されました。この件も関税の件と同様に、最高裁までの法廷で争われる可能性が高いでしょう。

ゴールドとシルバー上昇、仮想通貨への圧力続く

関税、そしてFRBの独立性と世界経済成長への不確実性続く中、ゴールドの需要が高まっています。約4か月間のレンジ取引後、ゴールドは3.440ドルの上限を突破して上昇し、4月22日に更新した最高値である3,500ドルに近づいています。同様に、シルバーも2011年9月以来初めて40ドルを突破して取引されています。

しかしビットコインは、最近の米株価下落によって需要が後退しており、先月約6.5%下落し、本日も引き続き圧力を受けています。イーサリウムは先月20%上昇し、4,400ドルを上回った水準で推移しており、多くの投資家はイーサリウムの見通しについては極めて自信があるようです。