デイリーコメントーリスク選好度悪化、今週のFRBメンバー発言を前にゴールド上昇

投稿日: 2025年9月22日18時33分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・今週は米経済データとFRBメンバーによる発言に注目
・米政府機関のシャットダウン近づく、米経済データの発表にも影響か
・先週の米株価は上昇も本日は圧力に晒される
・ゴールドは最高値更新、仮想通貨は下落への勢いが増す

米ドルは依然として不安定、ゴールドは上昇基調

本日の米ドルは不安定となった先週を経て、サポートを模索しています。ユーロ/ドルは水曜日に1.1900を更新しましたが、米ドルの先週前半の上昇分が帳消しとなったことから、現在は1.1745付近を推移しています。しかし、米ドルは全体的に上昇し、特に問題を抱える豪ドルとNZドルに対して上昇しています。

米ドルの不安定な動きにもかかわらず、米株式市場の主要3指数は先週上昇して終了しました。米国のハイテク株に関する中国からの様々な報道や、金曜日のトランプ大統領と習主席の電話会談が投資家にとって好材料とならなかったにもかかわらず、先週の米株価上昇は、通常通りナスダック100が牽引しました。ハイテク株が独占するナスダック100指数にとっては、実際3週間連続のプラスとなり、この上昇記録は、トランプ大統領が大統領選で勝利を収めた2024年11月直後の12月初旬以来初めてとなります。

歴史的に言うと、9月という月、特に9月後半は株価にとって最も低調となる月の一つに数えられています。しかし、今月既にナスダック100は5.2%、S&P500は3.2%まで上昇する中、FRBによる緩和的方向へのスタンス転換と今後のAIへのさらなる上昇期待を背景に、大手投資会社は年末までの金利予想経路を強気に上方修正しています。そうは言っても、本日のセッションは下落で開始しました。

一方、暗号資産市場は株価のトレンドとは乖離しています。1か月間の相関性が6月初旬以来初めてマイナスに転じました。仮想通貨の下落は本日も継続しており、ビットコインが11.2万ドル付近で推移し、イーサリウムは8月中旬以来の上昇分が帳消しとなりました。イーサリウムは、ステーブルコインが積極的に主流になりつつある中で、その大多数がイーサリウムブロックチェーンを利用していることも注意する点でしょう。ビットコインは今年21%も上昇しており、41%上昇したゴールドを除いて、他の仮想通貨のパフォーマンスを上回っています。

ゴールドは、限定的なリスクオフを促すニュースにもかかわらず、ドル安から恩恵を受けて最高値を更新し、3,700ドルを突破して上昇しています。ロシア軍戦闘機による領空侵犯が継続していることもあり、EUとロシアの関係が悪化しており、このロシアの行動は、EUがロシア産ガスを早くても2027年に段階的に廃止すると以前の目標時期を前倒しにしたことへの反応と見る向きもあります。

今週はFRBメンバーの発言と米経済データに注目

市場は今週後半の経済カレンダーに注目していますが、明日のPMI調査速報値にまず備えています。ECBハト派が利下げの可能性を再び検討しており、明日のユーロ圏のPMI調査はこの見解を支持するのか、または払拭する可能性があります。ECBが追加利下げを行う可能性はまだ低いですが、軟調なユーロ圏の経済データによってはECB内部のムードが変化する可能性があります。

さらに重要なことに、FRBメンバーによる講演も注目となります。金曜日のミラン理事とサンフランシスコ連銀デーリー総裁による発言に続き、タカ派で知られるセントルイス連銀ムサレム総裁とリッチモンド連銀バーキン総裁とクリーブランド連銀ハマック総裁らも本日講演する予定で、今週はFRBメンバーによる発言が続きます。ミラン理事は短期的な任期を最大限に利用して、常設理事の議席を獲得しようと試みており、本日も講演する予定です。市場は、FRBタカ派の見解に特に注目しているようで、現在92%となる10月後半での0.25%の利下げ確率が後退する可能性もあります。

最後に、米上院議会において、つなぎ予算(CR)が否決されたことから、米政府機関のシャットダウンが近づいており、労働統計局(BLS)や経済分析局(BEA)を含む連邦政府機関が閉鎖を余儀なくされる可能性があります。米国政治の現在の二極化を鑑みると、つなぎ予算の交渉が長引くかもしれず、トランプ大統領に怒りを買うことになり、FRBの10月の利下げの逆風となる可能性もあります。