デイリーコメントー米政府機関の閉鎖が迫り、米ドル下落

投稿日: 2025年9月30日17時59分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・議会で支出法案を可決しない場合、米政府機関は今夜にも閉鎖
・政府機関の閉鎖で金曜日の米雇用統計の発表も遅れる可能性
・米株価は上昇、ゴールドは新最高値更新
・豪中銀は金利を据え置きもタカ派寄りで豪ドル上昇

米政府機関閉鎖が迫り、金曜日の米雇用統計の発表は延期か

昨日の米ドルはほとんどの主要通貨に対して下落し、米議会が新会計年度の支出法案への合意に苦戦しているため、米政府機関が閉鎖するリスクが高まる中、本日も続落幅を拡大しています。

先週、米GDP成長率の上方修正や失業保険申請件数の低下といった予想を上回る経済データにより上昇し、市場によるFRBの利下げ観測後退したため、米ドルは上昇しました。FF金利先物によると、今年の年末までに合計0.42%相当の利下げ幅が織り込まれていますが、来年の12月までの合計利下げ幅は2週間前の予想幅よりも約0.25%縮小し、合計で1.04%まで低下しています。

しかしながら、米政府機関が閉鎖する場合、今週発表予定の極めて重要な米雇用統計のデータ発表が遅れることになるため、閉鎖リスクが米ドルの重荷となっています。共和党と民主党が予算案で合意に達しない場合、労働統計局は既に経済データの発表を延期することを明らかにしています。

一時的に政府機関が閉鎖するとしても、FRBが戦略を変更する可能性は低いでしょう。何しろ、次のFOMC会合決定は10月29日に予定されており、それまでに雇用市場に関するデータを招集する機会はあるでしょう。しかし、政府機関の閉鎖が長引くことになると、FRBには政策決定に必要な情報がないだけでなく、経済成長が下振れとなるリスクも高くなる可能性があります。そうなると、超ハト派の見解が再浮上し、米ドルがさらに下落するかもしれません。

米株価上昇、ゴールドは新最高値を更新して続伸

米株式市場では、主要3指数全て上昇して終わり、投資家が政府機関の一時的な閉鎖を不安視していないことが分かりました。しかし、今夜にも政府機関が停止し、解決手段が見えないまま閉鎖が継続することになると市場の懸念材料となり、たとえ借り入れコストの一層の低下を期待していると解釈されるにしても、株価が調整局面に入る可能性があるでしょう。

今のところは、投資家はゴールドを購入して保護策を増大させると決心したようです。米政府の閉鎖リスクとともにFRBへのさらなる利下げへの期待が相まって、ゴールドにとってはどちらにしても有利な状況となっているようで、本日のゴールドは3,872ドルを突破して最高値を更新しました。

豪中銀の政策決定はややハト派で豪ドル上昇、日銀主な意見で円高

オーストラリアでは、オーストラリア準備銀行が本日金利据え置きを決定し、インフレに関する見解を修正しました。本日の会合では、「インフレは引き続き緩和している」と繰り返さずに、「基調的なインフレ緩和は減速している」と述べました。また、これまでの利下げによる影響が出るのに時間がかかるとし、追加利下げを急いでいないとの見解も確認しました。市場はこの見解をややタカ派と解釈したため、豪ドルは現在上昇し、次回11月の利下げ確率が40%から35%に低下しました。

昨日の日本円は米ドルに対して上昇し、本日も日銀主な意見によって、前回の金融政策会合にて利上げが近づいていることが議論されたことが明らかとなったため、上昇幅を拡大しています。主な意見では、利上げの時期が近づいているとの発言もありました。12月までに日銀が0.25%の利上げを行う可能性は現在76%ですが、1月の会合には完全に織り込まれています。