デイリーコメントー米政府機関閉鎖が続き市場のバランスは不安定

投稿日: 2025年10月6日18時36分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・自民党は高市新総裁選出で日銀利上げ観測が不透明となり円安
・超党派合意への交渉に進展なしで米政府機関の閉鎖は続く
・米経済データの発表延期、AIを巡る楽観姿勢も米株価はまちまち
・ゴールドとビットコインは新最高値更新、OPECプラスが予想より少ない増産決定で原油価格上昇

自民党は高市新総裁選出、円安に

自民党総裁選では高市氏が勝利し、今後首相の座に向けて争うことになるため、週末で一番の注目となりました。 自民党と公明党の連立政権は衆参両院にて過半数に満たないため、高市氏が正式に首相に就任するには首相指名選挙で選出される必要があります。この過程はそれほど明確ではなく、野党が邪魔して新首相を提案する可能性もあります。首相指名選挙は今後10日以内に行われる模様で、高市総裁はそれまで他党との対立を避けることになりそうです。

しかしながら、市場は大きく反応しており、日本株は新規債券の発行の可能性が高くなる積極的な財政政策への期待から上昇しています。ドル/円も2か月ぶりの高値まで上昇しています。ドル/円が150円15銭を突破して上昇する場合、151円93銭に向けてより長期的な円安となる可能性もあります。

高市総裁は日銀の利上げサイクルを強く批判していることから、市場は日銀の利上げ観測を再検討する必要があります。特に、日銀植田総裁が明日講演する予定で、政治情勢について発言をするのかが注目となるでしょう。

米政府機関の閉鎖続く、米経済データの発表なし

日本の週末の動向が、米国の政府機関閉鎖に進展がないことに一時的に影を落とすことになりました。米下院が今週休会となるため、下院で承認された資金法案を可決するか、または修正して、下院に送り返すかの責任は上院にかかっています。民主党は医療保険への補助金維持を主張しており、連邦政府が今週も引き続き閉鎖となる可能性は高いです。

投資家は先週金曜日に発表予定だった米雇用統計が発表されなかったには冷静な反応を見せ、民間の経済データに頼るざるを得なくなるでしょう。しかし、米CPI指数の発表が予定されている10月15日が近づくにつれて、市場の忍耐力も尽きつつあります。米政府機関の閉鎖が来週にも及び、経済データが延期される場合、FRBによる利下げ予想への深刻な懸念が前面に出ることになるでしょう。

先週は、米ドルにとっては厳しい週となりましたが、今週はドル/円が現在2%上昇、ユーロ/ドルもフランスのルコルリュ首相の辞任を受けて1.1650まで下落するなど、全般的に小幅上昇でのスタートとなりました。ただ、ゴールドとビットコインの上昇が現在は脚光を浴びています。

ゴールドとビットコインには引き続き需要あり、OPECプラスでの増産決定も原油価格上昇

米政府機関の閉鎖による不確実性によって、ゴールドと仮想通貨がともに上昇しているようです。ゴールドは本日新最高値となる3,954ドルを更新し、先週金曜日の始値から約100ドルも上昇して、重要な4,000ドルに近づいています。

同様に、ETFへの流入額増加とともに、トランプ大統領が1,000ドルから2,000ドルを国民に還付する景気刺激案を検討しているとの報道によって、ビットコインは昨日のセッションにて12.56万ドルに達し、他の仮想通貨も上昇しました。このような報道によって、ビットコインは仮想通貨推進派である投資会社が設定した20万ドルの目標に向かって大きく貢献することになる可能性があります。

一方、米株価指数は先週わずかな上昇幅にとどまりましたが、見通しは依然として厳しいままです。AI関連の報道は米株価の追い風となりますが、株価のバリュエーション上昇やハイテク株の支配についての報道が強気派の勢いを抑制しています。米政府機関の閉鎖が迅速に解決し、地政学面でも前向きな進展がある場合、米株価上昇の再開となり得ますが、関税関連の進展が株価上層の勢いを抑制しかねません。

最後に、昨日のOPECプラス会談では、サウジアラビアとロシア間で意見の不一致となったものの、日量13.7万バレルの増産で合意となりました。合意量以上の大量増産ついても話し合われたとの報道を受けて、原油価格はリリーフラリーとなり、6月初旬から弱気派の悩みの種であった重要な61.62ドルを突破して上昇しました。