デイリーコメントー米中間の貿易摩擦悪化で米株価下落

投稿日: 2025年10月13日18時34分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・トランプ大統領が中国に100%の関税で脅し
・ハイテク株下落で米株価下落
・トランプ大統領が中国への強硬姿勢緩和で米株式先物は本日反発
・豪ドル・NZドル下落、ゴールドは新最高値更新

トランプ大統領は中国に脅しも株価下落で姿勢軟化

先週金曜日、米中間の貿易摩擦が悪化したことから、世界2大経済大国間での新しい貿易戦争への懸念が再浮上したため、米株価が下落しました。

中国によるレアアース輸出規制に対して、トランプ大統領は自身のソーシャルメディアにて、中国からの輸入品に「大規模な」関税引き上げを検討していると投稿し、予定通り2週間以内に習国家主席と会談する意思がないことも追加しました。

ハイテク株が最も下落し、ハイテク株の多いナスダックは4月10日以来最大の日中下落幅となる3.56%下落し、ボラティリティ指数は6月23日以来の高水準まで上昇しました。トランプ大統領が中国からの輸入品に対して100%の追加関税を課し、また米国の重要なソフトウェアを対象に輸出規制を導入すると発表したため、米株価の下落は閉場後も継続しました。

本日のアジア市場は先週の米株式市場を反映して下落しましたが、米株式先物は反発したことから、市場のセンチメントは安定していることが示唆されています。トランプ大統領は米株式の売りに動揺したようで、昨日すぐに姿勢を緩和させ、「全て上手くいくだろう」と言及して、米国は中国にダメージを負わせたいのではなく助けたいと述べました。

焦点は第3四半期の決算シーズンと米中間の関税緩和期限に

11月10日に米中間の貿易交渉として合意した期限が終了しますが、さらなる期限延長となるまで2国間の貿易摩擦が緩和するかどうかはまだ未定です。トランプ大統領は米株価の大規模な下落を引き起こすことを恐れているため、今後数日間でセンチメントを安定させるように努めるかもしれません。トランプ大統領がセンチメント向上に努力しないような場合は、米株価がさらに急落する可能性もあります。

貿易を巡る進展とは別に、米政府機関が閉鎖されており、株式トレーダーは明日から本格化する第3四半期の決算シーズンに注目する必要があるようです。明日は大手金融機関であるJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス、シティーグループ、そしてウェルズ・ファーゴの決算報告が予定されています。アナリストらは前年同期比で8.8%の成長率を予想しており、第2四半期での年率成長率13.8%から鈍化すると見ています。

為替市場はリスクオフを反映、ゴールドは新最高値更新して上昇

為替市場では、金曜日に米ドルは日本円とスイスフランに対して最も下落しましたが、リスク関連通貨である豪ドルとNZドルに対しては上昇しました。このパターンはリスクオフセンチメントを裏付けしていますが、本日は反転しているようで、懸念緩和が示唆されています。

そうは言ったものの、ほぼ半月の間米政府機関が閉鎖されているにもかかわらず、新たな貿易摩擦はFRBの利下げ観測には影響を与えませんでした。FF金利先物によると、投資家は年末までに2回の0.25%の利下げと来年は計3回の利下げをほぼ確信しています。この市場予想は、来年たった1回の利下げを織り込んだFRBによる金利予想経路とは対照的です。

そのため、米CPI指数の発表の重要性が高まっています。消費者価格が減速となる場合は、市場の大幅利下げへの期待が裏付けされ、米ドル下落となる可能性があります。消費者価格の高止まりで執着性が確認される場合は、米ドル上昇となるかもしれません。

FRBによる大幅利下げへの期待と米中間の貿易摩擦悪化への懸念は、ともにゴールドにとっては好材料となっています。ゴールドはイスラエルとハマスとの停戦合意により、先週木曜日に4,000ドルを下回って下落した後、金曜日には反発し、本日は続伸して未知領域に突入しており、新最高値となる4,078ドルを更新しました。