デイリーコメントー日本政府による為替介入リスク高まる、米労働市場への懸念増大

投稿日: 2025年11月12日19時42分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・片山財務大臣は円安のマイナス面について強調
・米労働市場への懸念増大でFRBによる12月の利下げ観測高まる
・軟調な英雇用統計で英中銀による利下げ観測も高まる
・米株式先物は上昇、広がる楽観ムードもゴールドは上昇幅拡大

日本政府は為替介入するのか、それともしないのか

昨日の米ドルは、円とポンドに対して最も上昇し、強弱まちまちで取引されましたが、本日の米ドルは他の主要通貨に対して下落したものの、円とポンドは米ドルに対して下落幅を拡大しました。

おそらく、米政府機関がまもなく再開するとの期待による市場でのリスクオンのセンチメントと、また高市首相が任期中により緩和的な財政政策を選択するとの予想が要因となって、円は2月以来の安値まで下落しました。

今週初めには、高市首相は基礎的財政収支を単年度ごとから数年単位でバランスを確認するといった柔軟な方向に見直すことを検討していると述べました。本日、首相は日銀が今後の金利を原材料費の上昇ではなく、賃金の伸びに基づいて決定することを「強く望む」と言及しました。この発言によって、市場の0.25%の利上げ観測は先送りとなり、現在来年6月に完全に織り込まれたため、円安の一因となった可能性があります。

現在の円安は、日本政府からのさらなる警告となり、片山財務大臣は本日、円安が経済に与える影響について、プラス面よりもマイナス面が目立ってきたと述べました。しかし、依然として円安が進行しています。

政府関係者は為替介入を行う特別な水準は設けていないと繰り返し述べていますが、片山財務相らの発言から、ドル/円にて155円の水準を注視しているかもしれません。ドル/円がこのレジスタンスゾーンを突破して、すぐには介入とはならないとしても、日本政府からの口先介入が激しくなり、一部のトレーダーは円のショートポジションを解消することになるかもしれません。

米下院にてつなぎ予算案を本日採決、ADPのデータから米労働市場への懸念が高まる

米政府機関の閉鎖に関しては、1月30日まで政府機関が運営できる短期的な予算法案が上院を通過し、本日は下院が採決をする予定です。下院で可決となれば、この法案がトランプ大統領の下に送られて、署名後に法律化されます。

米政府機関閉鎖終了の可能性への楽観的な見方にもかかわらず、ADPによって導入された最新の給与計算ソフトウェアによって、米企業が10月下旬に週間1万1千件以上の雇用件数を削減したことが明らかとなったため、10月に15万件以上の雇用件数の減少を発表したチャレンジャー・グレイ・クリスマス社のレポートで既に市場の懸念材料となっていた米労働市場への懸念が増大しています。

FF金利先物によると、12月での0.25%の利下げ観測は現在65%まで上昇しており、来年はさらに合計で0.67%の利下げが行われると予想されています。

軟調な英雇用統計で12月の利下げ観測高まり、ポンド下落

イギリスでは、昨日の雇用統計が再度軟調となったことで、ポンドは圧力に晒されています。8月の雇用統計が軟調となったことを受けて、9月の失業率はもっと早いペースで上昇し、一方で賃金の伸びは減速したため、イングランド銀行による先週の政策会合でのハト派的見解を裏付けました。

イングランド銀行の金融政策委員会での投票では、4人の委員が利下げに賛成し、ベイリー総裁がインフレの下振れリスクを認めたため、12月での利下げ確率が現在76%まで上昇しています。

政府機関再開への期待から米株価上昇、ゴールドも上昇

米株式市場では、NYダウが1%以上も上昇し、S&P500 もいくらか上昇しました。ナスダック100は、軟調な米労働市場への懸念を反映してか、唯一下落しました。しかし、本日の米株式先物は黒字となっています。おそらく、米下院にて短期的なつなぎ予算が可決し、政府機関が再開することを投資家が確信しているからかもしれません。

リスク選好度が広がっているものの、ゴールドは続伸しています。これには、政府機関の再開への楽観的な見方というよりは、FRBによる12月の利下げ確率が上昇していることが関係していると言えるでしょう。