デイリーコメント – 本日のエヌビディア決算を前に警戒感、米ドルとゴールドは上昇

投稿日: 2025年11月19日20時55分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

• 米株価大暴落後、株価は一服、注目は本日のエヌビディア決算へ
• ゴールドは堅調も、暗号資産は再び下落
• 本日のFOMC議事要旨の公表を控え、米ドルは1週間ぶりの高値
• 英CPIデータ発表後、ポンドは小幅下落、日本国債利回り急騰で円安進行

米株価が再び急落、本日発表のエヌビディア決算に注目

本日の米株式市場はやや落ち着きを取り戻しています。しかし、投資家はAIへの過剰なバリエーション不安が広がる中、AI需要の強さを見極めるべく、エヌビディアの第3四半期決算を神経質に待っているため、依然として下落圧力がかかる展開となりました。S&P500は昨日、4日連続下落で取引を終え、今月初からの下落幅は3.3%に拡大しました。ナスダック100の下落幅はさらに大きく、今月に入って5%以上の下落となっています。

こういった下落幅にもかかわらず、米株価はまだ調整局面には程遠い状況にあります。しかし、本日発表のエヌビディア決算がムードを向上させるものでなく、さらに悪化させるような結果になれば、状況は変わり得るでしょう。エヌビディアが546億ドルという売上高予想を上回る可能性は高いものの、投資家がより注目するのは、中国が同社にとってリスク要因であり続ける中で、フアンCEOが今後の四半期についてどう語るかという点でしょう。

2026年の半導体需要低下の懸念が広がれば、米国株価指数は容易に調整局面に入る可能性があります。しかし、市場はすでにエヌビディアの決算発表を前に相当弱気になっているため、フアンCEOが前向きな姿勢を示せば、大きく反発する公算も大きいでしょう。

その間、本日は神経質なムードがやや和らいでおり、米先物は横ばい、欧州株式市場はプラス圏とマイナス圏でもみ合いとなっています。

FRBタカ派の発言で、唯一ハト派のウォラーFRB理事の発言影響は限定的

AI関連株のバリュエーション懸念に加えて、米労働市場に綻びが見られる中、米国経済への不安も強まっています。しかし、FRBは引き続きインフレに重点を置いています。過去1週間、主に地区連銀総裁からタカ派的な発言が相次いだことを受け、12月のFRB利下げ観測はますます低くなっています。

ウォラーFRB理事は、ここ数日で12月の利下げを支持した唯一のメンバーですが、月曜日の同氏の発言を受けても、12月の0.25%利下げ観測はわずかに上昇した程度にとどまりました。

米国のインフレ率が約3.0%で足踏みする中、FRBは9月と10月で実施した合計0.50%利下げが、米労働市場を下支えするには十分だと考えているようです。重要な米経済指標データが欠けていることも影響し、FRBは12月は一旦様子見とし、1月に再び緩和へと動く可能性があります。

広がる米雇用統計への不透明感

延期されていた9月の米雇用統計は明日発表される予定で、10月分の統計もその後まもなく公表される可能性があります。ただし、10月の失業率はほぼ確実に公表されない見通しのため、10月の雇用統計の内容は半分程度にとどまる見込みです。

しかし、FRBがより関心を寄せるのは11月の数字であり、これらのデータは12月のFOMC会合前に公表されない公算が大きいでしょう。

しかし、ADP社が発表した米民間雇用者数では、米国経済は11月1日までの4週間に週平均2500人の減少を示したことを受け、こうしたFRBの慎重姿勢に対し、投資家は懐疑的になっています。米労働省雇用統計局は明日、米政府機関再開後、初回となる週間新規失業保険申請件数の公表を再開する予定です。米政府機関の閉鎖中、欠落していたデータの一部を他の経路を通じ、ウェブサイトで公開していた内容によると、10月18日までの継続受給件数は195.7万人に増加しており、一部ではこれも赤信号と見なされています。

明日の重要な指標発表を前に、本日遅くの19:00(GMT)に公表予定の10月のFOMC議事要旨は、政策当局者が12月の利下げについてどのように考えているかを探る手がかりとして注目されるでしょう。

ドル/円は債務懸念が重石となり、156円台に接近

米ドルは主要通貨に対し1週間ぶりの高値で推移しており、先週の安値から続く緩やかな上昇基調を継続しています。米雇用市場の悪化への懸念に加え、米国債に対する懸念も残っているため、利下げ観測の後退は通常のドル買いの追い風とはなっていません。

米政権は、低・中所得のアメリカ国民全員に関税収入から2,000ドルの配当金を支給する案を検討しており、これは、トランプ大統領の支持率急落が背景にあると考えられます。

債務懸念も円に重しとなっており、高市新首相が17兆円規模にも及ぶ可能性のある経済対策を推進していることから、日本の国債10年利回りは2008年以来の高水準に上昇しています。日銀が利上げに慎重な姿勢を見せていることと相まって、円は1ドルあたり156円付近に迫っており、片山財務相も強い言葉で警戒感を示しています。

英CPIは予想通り鈍化し、ポンドは下落

英国の10月のインフレ率は前年比で3.8%から3.6%に鈍化し、予想通りの結果となりました。一方で、コアインフレ率は3.4%上昇し、9月の3.5%からやや鈍化しました。特にサービス価格インフレ率が予想以上に低下し4.5%となったことで、イングランド銀行が12月に利下げを行うとの見方が強まっています。

このデータを受けて、ポンドは対ドルで約1.3125まで下落しました。投資家は現在、イングランド銀行の政策方針に影響を与える可能性のある、来週の秋季予算案に注目しています。

ゴールドは回復を試みるも、ビットコインの反発は失速

ゴールドは昨日、悪化する米株式市場の暴落が追い風となり、約1%上昇しました。本日の株価下落は一服しているものの、FRBの利下げ観測後退に伴う最近のリスクオフ局面で、ゴールドのパフォーマンスは振るわなかったため、ある程度の巻き戻しが発生している可能性があるでしょう。

好調なエヌビディアの決算は、ゴールドの回復の勢いを削ぐ一方で、暗号資産を支える可能性があります。ビットコインは昨日反発したものの勢いを維持できず、本日再び下落しています。ビットコインをはじめとする暗号資産は、米株価の急落に連動した大規模な清算(リクイデーション)により大きな打撃を受けています。