デイリーコメント – FRBは利下げが確実視、注目はドットプロットに集まるか

投稿日: 2025年12月10日20時31分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

• FRB利下げ実施が広く予想される中、米ドル相場はまちまち
• 昨日の米国データで2026年のFRB利下げ観測が後退
• 加中銀は金利据え置き予想、堅調なデータによりタカ派的発言となる可能性も
• 米株式市場はFRBの決定を待つ、原油はウクライナの和平報道を受け下落

市場は、FRBの決定を固唾を呑んで見守る

米ドルは昨日、主要通貨に対してはまちまちの動きとなり、円、ユーロ、ポンドに対し上昇しました。一方で、資源国通貨である豪ドル、NZドル、カナダドルに対しては下落しました。対スイスフランではほぼ横ばいとなりました。本日、FRBの政策金利決定を控え、米ドルはわずかに下落、もしくは横ばいで推移しています。

米ドルはすべての主要通貨に対して上昇できなかったものの、米国債利回りは回復を拡大し、FF金利先物は2026年の利下げ回数が減少する可能性を示唆しました。これは、昨日発表のJOLTS求人件数によると、9月に急増した米国の求人件数が10月にも小幅増加したことが背景にあります。さらに、全米独立企業連盟(NFIB)の報告書では、企業は近い将来に新規雇用を創出する意向を示していることが明らかになりました。

これにより、投資家は来年の利下げは2回のみとの見方を強めており、市場が本日のFOMC会合での決定にどのように反応するかの構図が変わってきました。0.25%の利下げはほぼ完全に織り込まれているため、これが市場を大きく揺るがすことはほぼないでしょう。投資家はすぐに、声明文、最新の経済見通し、特に最新のドット・プロット、そしてパウエルFRB議長の記者会見へと注目を移すと考えられます。

もしドット・プロットが市場の見方と一致し、来年の利下げを2回と示す場合、米ドルが決定的な反発を見せる可能性は低いでしょう。ただし、パウエル議長が最近見られる米労働市場の軟化よりも、インフレの粘着性をより懸念する姿勢を示した場合、もしく2026年の利下げ回数の中央値が2回であっても、1回のみと見込む政策当局者が一定数存在する場合には、例外です。

豪ドルは豪中銀会合後に続伸、加中銀も本日、政策金利決定へ

豪ドルは昨日、主要通貨の中で最も大きく上昇し、豪中銀が予想通り金利を据え置き、今後の追加利下げ可能性を否定したことで上昇を拡大しました。当局者はまた、インフレ圧力が予想以上に粘着的であることが判明した場合には、利上げの可能性もあると指摘しました。

本日、FOMC会合の数時間前に、加中銀が金融政策を発表する予定です。前回会合では、加中銀は0.25%の利下げを実施し、金利は「ほぼ適切な水準にある」と述べていました。その後に発表されたデータでは、カナダの経済活動と雇用成長が力強く回復した一方で、基調的な物価圧力は依然として粘着的であることが明らかとなりました。

カナダのオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)によると、投資家は 95%の確率で、当局が今回の会合で利下げ実施をしないと確信しており、さらに驚くべきことに2026年12月までには利上げ実施されるという見方まで織り込んでいます。加えて、トランプ大統領とカナダのカーニー首相が金曜日に貿易について建設的な協議を行ったと報じられたことから、加中銀が金利を据え置き、現在の金利水準に満足しているというメッセージを繰り返すかもしれません。

もしそうなれば、市場は来年末までの利上げ可能性を引き続き織り込み、先月の予想外に堅調な加雇用統計を受け、金曜日に大幅上昇したカナダドルが、さらに上昇幅を拡大する展開も考えられるでしょう。

FOMC会合を前に米株価はまちまち、ウクライナの和平報道で原油は下落

米株式市場では、主要3指数が昨日の取引をまちまちで終え、ダウ平均は0.38%下落、ナスダックは0.13%上昇、S&P500はほぼ横ばいとなりました。本日、米先物は小幅に上昇しており、FRBの決定を控えた慎重な姿勢を反映しています。予想されている利下げがタカ派的となる場合、来年の利下げ回数が減少するとの見通しから高成長企業の現在価値が低下するため、株価は下落する可能性があるでしょう。

原油価格は恐らくウクライナとロシアの和平への期待の再燃から、昨日ほぼ1%下落した後、本日は比較的安定した動きとなっています。ウクライナのゼレンスキー大統領は、欧州の同盟国と連携して、和平計画に関する「修正版文書」を米国に提示すると述べました。もし和平が実現すれば、ロシアの石油企業に対する制裁が解除され、制限されていた供給が解放されることになります。