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• FRBは意見が割れる中3度目の利下げ実施、2026年は1回のみを示唆
• FRBの短期債購入再開を米株価は歓迎
• オラクルの決算がAI懸念を再燃させ、市場ムードは悪化
• 米ドルは一時下落後安定、米株価とビットコインは直近の上昇幅を帳消しに

FRBの利下げへの反応は様々
FRBは昨日、予想どおり金利を0.25%引き下げましたが、2026年には1回のみの利下げしか見込まないというタカ派的な姿勢を示しました。しかし、FOMC声明文から1月の利下げは検討対象ではないことが示唆されており、投資家は見込まれている僅か1回の利下げ実現までしばらく待つ必要があるかもしれません。
さらにタカ派的な利下げを強調したのは、グールズビーシカゴ連銀総裁とシュミッドカンザスシティ連銀の2人で、彼らは金利の据え置きを主張しました。一方、トランプ大統領が任命したミランFRB理事は、再び0.50%の利下げに票を投じました。投票権を持たないFOMCメンバーの間では、より強いタカ派的な反対があったとみられ、2026年の政策決定では意見の割れが一段と鮮明になる可能性があるでしょう。
FRBは利下げ一時停止示唆も利上げは事実上否定、短期国債購入を再開
しかし、新たなドット・プロットが今後1年で少なくとも2回の追加利下げを期待していた投資家を失望させた一方で、パウエル議長による会合後の記者会見は、声明文や予測が示したほどタカ派的ではありませんでした。
パウエル議長は、利上げについては「現時点で誰の基本シナリオにも入っていない」と述べ、利上げの可能性を事実上否定しました。さらにFRBは、流動性の管理をするため、12月12日から短期国債の買い入れを開始すると発表しました。
最初の購入規模は約400億ドルに達するとみられ、「数カ月間は高水準を維持」した後、「大幅に縮小される」見通しです。
この発表を受け、米国の2年債券利回りは約0.10%低下し、長期債利回りも下落しました。さらに本日は、日本の20年債入札が好調だったことも債券市場の追い風となり、世界的に利回りは低下しました。
米株式市場は一時的なリリーフラリーから一転、下落
ただし株式市場にとっては、FRBの流動性支援策や利回り低下を受けた上昇は、長くは続きませんでした。昨日の取引は、S&P500が0.7%上昇、ナスダック100も0.4%上昇して終了したものの、取引終了後に発表されたオラクルの予想を下回る決算を受け、米先物は急速に下落に転じました。
オラクルの第2四半期決算における1株当たり利益は前年比53.7%増と好調でしたが、売上高が予想をわずかに下回ったため、同社の株価は時間外取引で10%以上下落しました。投資家は、同社のクラウド部門の売上高や、第3四半期の売上見通しがアナリスト予想を下回ったことから、売上低下を懸念しています。
さらに重要なのは、オラクルが今会計年度のAI関連インフラ投資を9月時点の予想より150億ドル多く支出する予定 であるということです。これにより、テクノロジー企業によるAI設備投資が、同様に売上成長につながるのかという懸念が再燃しています。
米ドル安にもかかわらず、ビットコインと豪ドルが下落
暗号資産は、株式市場の下落反転に追随する形となりましたが、そもそも大きな反発もほとんどありませんでした。AI懸念が暗号資産市場にも非常に強く影響しており、投資家は現状の環境下では暗号資産の保有はリスクが高すぎると判断しているようです。ビットコインは本日2%以上下落し、再び9万ドルの水準を試す展開となっています。
一方、米ドルは本日も軟調な動きとなりました。FRBの利下げ発表後の下落を受け、ユーロは1.17ドル付近まで上昇、円に対しては156円台を下回りました。また、スイス中銀が金利を据え置いたことを受け、米ドルはスイスフランに対しても下落し、本日0.7982フランと3週間以上ぶりの安値を記録しました。
予想どおり、スイス中銀はマイナス金利の再導入を示唆することはなく政策金利を0%に据え置き、インフレについては「今後数四半期で緩やかに上昇する」と見込んでいます。また、水曜日にはカナダ中銀も政策金利を据え置き、中立的な姿勢を維持するとともに、カナダ経済の全体的な底堅さを強調しました。これを受け、米ドルはカナダドルに対して 9月下旬以来の安値まで下落した後、やや持ち直しました。
しかし、豪ドルはこの流れに逆らい、米ドルに対して約0.4%下落しました。これは11月の豪州雇用が予想外に減少したことを受け、投資家は 2026年の豪中銀による利上げ時期が後ろ倒しになると見込んだことが背景にあります。
ゴールドは狭いレンジ内で推移も、原油は再び圧力下
コモディティ市場では、ゴールドは一時1オンスあたり4,247.58ドルまで上昇したものの、この水準を維持できませんでした。米ドル安や利回り低下にもかかわらず、FRBの大幅なハト派への転換が見られないため、ゴールドが強いレジスタンスラインとされる4,200ドルを突破するのは難しい状況となっています。
今週のタカ派的な各国中央銀行の決定を受けた、まちまちなリスクセンチメントが重しとなり、原油価格も下落しました。一方、米国がベエズエラ沖で制裁対象の石油タンカーを拿捕したとの昨夜のニュースは、原油先物を一時的に押し上げました。米国とベネズエラの間の緊張激化により、ベネズエラ産原油の中国などへの輸出が遮断されるリスクは非常に大きいものの、市場は現時点では、むしろやや弱気な需要見通しをより懸念しているようです。