デイリーコメントー円安進行で日本政府は口先介入、ゴールドは4,400ドル突破して上昇

投稿日: 2025年12月22日20時51分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・円に圧力がかかる中、日本政府は口先介入で警告
・地政学上の緊張高まり、ゴールドは最高値更新、原油価格も急騰
・株価はサンタラリー試みるも強気派の勢いは疑問

地政学上リスクでホリデーシーズンのムード台無しか

地政学上にて、現在3か所で緊張関係が高まっていることから、今週のクリスマス休暇を前に、安全資産である貴金属への需要が押し上げられており、今年の精彩を欠くサンタラリーの真っ只中で、いくらか株式市場での反発の勢いが減速しています。米ドルも、主に円の上昇により下落基調となりました。この円の上昇は、日本政府が「過度な動き」に対して口先介入を強化したことが起因しており、原油価格と暗号資産も本日上昇基調となりました。

米株式市場の株価は、金曜日にAI関連株の上昇により、ナスダック100とS&P500が上昇したため、先週の損失分を取り戻すことに成功しましたが、NYダウは例外となり、先週の損失分を取り戻すことはできませんでした。アジア株価指数は、円安の影響で日経平均株価が上昇したため、本日大幅に上昇しました。しかし、米株価先物が黒字にもかかわらず、欧州株価指数は方向性を模索しているようです。

株価上昇への楽観的見方と疑念が障壁に

軟調な米雇用統計とCPI指数によって、来年FRBが少なくても2回は利下げを行うとの観測が高まり、株価指数にとっては、先週末に向けて待望のサポートとなりました。さらに、中国のTikTokの親会社であるバイトダンスが、米国子会社の持ち分を減らして、オラクルなどの投資家連合に売却すると米国政府と最終決定をしたとの報道を受けて、オラクル株が休場したことで、ハイテク株とAI関連株も上昇したことが背景にもあります。

最近債券問題を抱えていたオラクルは、TikTokの米国事業の15%の株式を保有することになり、米国でのデータをサーバー上で管理・保護することになります。

しかし、FRBによる緩和政策と、AI取引への持続性についての疑念は依然としてあるため、年末の株価上昇ラリーが限定的となる可能性があります。

昨日、クリーブランド連銀ハマック総裁が、ウォールストリートジャーナルへのコメントして、11月の米CPI指数の予想外の減速について過小評価して、利下げの一時停止を示唆したばかりです。

しかし、市場のリスク資産ラリーへの差し迫ったリスクは、地政学上の緊張の高まりの可能性となります。

地政学上の緊張で原油価格は安値から上昇

昨日、米国はベネズエラ沖で2隻目となる制約対象の石油タンカーを拿捕し、報道によると、3隻目も追跡しているようです。米国政府は、ベネズエラのマドゥロ大統領にさらに圧力をかけようとしているようです。

ベネズエラ沖でのトランプ大統領の最終目標が何かはまだ明確ではないため、高まる懸念によって、新たな安全資産に流入し、特に貴金属に資金が流入しています。

しかし、クリスマス休暇を数日後に控え、静かな日々を待ち望む人々にとっては、懸念事項はこの事案だけではありません。ウクライナが、地中海にて、ロシアの石油タンカーをドローン攻撃したことで、ロシアの石油収入源にさらなる打撃となり、ウクライナ紛争での和平交渉が暗礁に乗り上げました。

さらに、地政学上の緊張がイスラエルとイランで再発しているようです。イスラエルの情報機関は、イランによるミサイル演習がイスラエルへの攻撃を行うための言い訳として利用されていることを米国に警告しました。

これら最新の地政学上の緊張によって、市場はまだ大きなパニックに陥っていないものの、原油価格は先週のほぼ5年ぶりの安値から上昇しています。

WTI石油は57ドルを突破して上昇しており、55ドル台から回復しています。

ゴールドとシルバーは最高値更新

一方、ゴールドは初めて4,400ドルを突破して急騰しており、この長期的な上昇トレンドにより、10月に下落した分の全てを取り戻しています。他の貴金属もこのラリーに加わっており、ゴールド以上に好調です。

パラジウムは3%以上も上昇し、プラチナも2008年から2,000ドル以上も上昇して最高値更新に近づいており、シルバーも70ドル台に迫っています。銅のような基本金属も、供給への混乱と需要の強気な見通しが相まって急騰しています。

日本政府による口先介入で円の下落は一段落も効果は限定的

為替市場では本日、日本政府による強い口先介入によって、円の下落は少なくても一時的に一段落となり、多少の安堵感となりました。日銀が先週金曜日にタカ派的利上げを行ったにもかかわらず、今後の利上げペースと最終目標について、もっと明確な手がかりがなかったことで投資家の失望となり、円には恩恵とはなりませんでした。

米ドルは金曜日に1か月ぶりに157円77銭まで上昇し、本日は三村財務官と木原官房長官が、引き続き「さらに過剰な」動きが見られる場合は、「適切な行動」を取ると口先介入で警告したため、本日の米ドルは若干下落しています。

しかし、米ドルが円に対して若干下落する中、ユーロ、ポンド、豪ドルは上昇を維持しました。

特に今週と来週の祝日により、流動性が低くなる中、為替介入のリスクが高まっていますが、円売りの弱気派はそれほど懸念しているようには見えません。

その他では、イギリスの第3四半期GDP成長率予測が本日前期比で0.1%の拡大を示し、英経済停滞への懸念が緩和したため、ポンドは1.34ドルを突破して回復しました。