デイリーコメントー日本政府の新しい介入警告で円上昇、米ドル下落

投稿日: 2025年12月23日19時33分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・日本政府は一方的な為替の動きを警告
・口先介入の口調が強くなり、円は上昇
・FRBへのハト派利下げ観測で米ドル下落、本日の米GDPに注目
・米株価上昇、ゴールドとシルバーは新最高値更新、原油価格反発

日本政府による介入はあるのか

昨日の米ドルは、全ての主要通貨に対して下落し、本日も続落しています。日本政府が新たに口先介入で警告を発したことで、円が最も上昇しています。

三村財務官は昨日、為替が最近一方向で急激な動きをしており、政府としては必要と判断する場合、適切な処置を取ると述べ、木原官房長官も「通貨はファンダメンタルズを反映して安定した動きをするべきだ」と懸念を表しました。

為替の動きに対して、最も強い口調での警告となったのは、本日の片山財務相の発言で、「為替の過度な変動に対しては、フリーハンドがある」と介入の措置を取る姿勢を示しました。

日銀は先週金曜日の政策会合にて利上げを決定し、引き締め対策を進めていることで、円がファンダメンタルズから逸脱しているとの明確な証拠があるため、為替介入の可能性は以前よりも高まるかもしれません。

そのため、ドル/円が再び上昇して、心理的に重要な水準となる160円台に近づく場合、為替介入のリスクが大幅に高まる可能性があります。日本政府は特に介入決定の水準を設定していないと繰り返し述べているものの、歴史的に見ても、介入はこの辺りで行われていることが示されています。

現在の円安の主因は、高市首相による支出案が挙げられるますが、日銀の利上げが来年も継続する見通しであることから、ドル/円が弱気反転となる確率も高まっています。この見解の最大のリスクは、日銀による利上げが予想よりも遅いペースとなることと、FRBが高い金利をもう暫く継続することです。

政府機関閉鎖で遅れた米GDP発表前に米ドル下落

米ドルが全般的に下落している背景には、ドル/円の下落による資金の流失や、FRBの今後の方針に対するハト派的見解の高まりがあるのかもしれません、FRBは来年たった1回の0.25%の利下げを予測しているにもかかわらず、市場は来年合計0.60%相当の利下げ幅を依然として確信しています。

本日は、米政府機関の閉鎖で発表が遅れていた第3四半期の米GDP速報値が注目となるかもしれません。米GDP成長率は、第2四半期の3.8%から3.3%に減速したと予想されており、特に政府機関が閉鎖していたこと考慮すると、この数値は堅調と言えます。来年FRBが合計0.60%相当の利下げを行うとの予想について、市場が多すぎると判断する場合、米ドルは若干回復する可能性があります。

しかし、第4四半期も終わりに近づく中、第3四半期のGDP成長率は既に古いデータと処理されるかもしれません。トレーダーは、もっと最新の経済データに焦点を置く傾向があるため、本日のGDP発表後に米ドルが上昇する場合、限定的で短命となる可能性があります。

株価上昇、ゴールドは最高値更新、地政学上の緊張で原油価格反発

米株式市場では、ドル安とFRBへのハト派的利下げ観測から、S&P500が上昇を牽引する形で主要3指数全てが上昇しました。来年の利下げ観測によって、ハイテク企業などの高成長企業の現在価値が高くなることを意味します。ハイテク株が引き続き反発している背景には、エヌビディアが中国の顧客に対して、来年2月中旬の旧正月前に、2番目に強力なAI半導体を中国に出荷する計画であることを発表したからかもしれません。

ゴールドとシルバーはともに新最高値を更新し、米国がベネズエラに関連する石油タンカーの押収を試み、一方でロシア・ウクライナ紛争では、ウクライナがロシアの主要石油インフラを攻撃した後、原油価格は反発しました。

原油価格は、今後の石油供給への混乱の見通しから急上昇しており、ロシアとウクライナが攻撃を激化させる中で和平交渉が暗礁に乗り上げ、安全資産である貴金属が恩恵を受けて上昇しました。