デイリーコメント – 地政学的情勢とトランプ発言から、リスク好選度は依然脆弱

投稿日: 2026年1月14日20時32分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

• コモディティが注目の的に、ゴールドとシルバーが史上最高値を更新
• トランプ大統領が「1バレル53ドルの原油価格が望ましい」と発言し、原油の上昇は一服
• 米ドル高は一時停止、注目は相次ぐFRBメンバーの発言と米経済指標へ
• 日本の債利回りが急上昇、ドル/円は為替介入警戒水準に到達

地政学情勢が脚光を浴びる

トランプ大統領が強硬姿勢を維持する中、投資家は引き続き慎重になっています。イラン情勢は依然として深刻で、街頭抗議に対する強硬な弾圧を示唆する断片的な報道も出ています。こうした中、トランプ大統領は抗議デモ参加者への支援が間近であると発表しました。とはいえ、軍事行動は、外部勢力となる米国という共通の敵に対し、イラン国民を結束させるという逆効果をもたらす可能性があり、その結果一時的に市民による騒動が広がる可能性があります。

金融市場は引き続きこれらの動向を注視しており、ゴールド・シルバー・原油が話題の中心となっています。ゴールドは連日で史上最高値を更新しており、トランプ大統領とパウエルFRB議長の対立も追い風となっています。一方、シルバーは91.54ドルまで上昇し、2026年に入ってからすでに26%上昇するなど、まるでミームコインのような値動きを見せています。興味深いことに、ロシア黒海沿岸でのウクライナの新たなドローン攻撃や、トランプ大統領の好戦的な発言を背景に、原油は2カ月ぶりの高値まで上昇し、61.62ドルと100日移動平均線がレジスタンスラインとなる水準を試しました。

原油価格は本稿執筆時点では上昇が一服しています。その背景の一つとして、トランプ大統領が「原油価格は1バレル53ドルが望ましい」と発言したことが挙げられます。この水準では多くの石油が採算割れとなることを踏まえると、トランプ大統領はロシアなどの産油国に打撃を与えることを狙っているのか、それとも11月の米中間選挙を見据えて原油価格を低く抑えようとしているのでしょうか?

米最高裁は本日、関税判決発表となるか

一方で、米最高裁が係争中の案件の判決発表を予定するたびに、市場では関税に関する判断が下されるのではないかとの予想が広がります。そのため、本日も関税判断が下されるのではないかとの憶測が広がっています。もし下される判決が肯定的なものとなれば、トランプ大統領にとって追い風となり、例えばグリーンランドを含む自身の目標を達成する手段として、関税を更に活用を許可することになるでしょう。

一方で、否定的な判断が下されれば、市場への影響はより大きく、急激なリスクオフ反応を引き起こす可能性があります。現行の関税は別の法的枠組みを用いることで、おそらく維持されるとみられており、仮に最高裁が大統領権限に一定の制約を設け、関税発動にあたって事前に議会の承認を求める形を取らせたとしても、これが今後のトランプ大統領の行動をより予測不能なものとするかもしれません。

しかし現時点では、米国がエヌビディアのH200チップの中国輸出を容易にする方針を決定したと報じられたことを受け、米中貿易関係に進展が見られているようです。

トランプ大統領の攻撃が激化する中、FRBメンバーの発言に注目

トランプ大統領がパウエルFRB議長を繰り返し攻撃する中、FRBメンバーの発言も勢いづいています。これまでのところ、殆どのFRBメンバーはトランプ大統領との現在の対立においては、パウエル議長の立場を支持しており、その一例として、現時点では利下げを支持していません。

本日はニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁、アトランタ連銀のボスティック総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、フィラデルフィア連銀のポールソン総裁に加え、ミランFRB理事の発表が予定されています。注目は当然ながら、ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の経済分析ですが、同時にミラン理事がFRBの刑事捜査に関して意見を表明し、パウエル議長を支持するかどうかにも関心が集まっています。

米経済指標は脇役に、米決算シーズンの幕開け

ほぼ予想通りとなった米消費者物価指数(CPI)の発表を受け、市場は依然として2026年に合計0.54%の利下げを織り込み、7月に最初の0.25%利下げ実施と予想しています。こうした中、注目は本日の生産者物価指数(PPI)や小売売上高に移ります。JPモルガンのダイモンCEOが決算発表後、米経済に対してやや楽観的な見解を示したことを考慮すると、本日発表される小売売上高が予想を下回った場合、市場に影響を与え、好調な中国貿易統計を受けて一服していた、ユーロに対する米ドルの回復が逆転する可能性があります。

最後に、トランプ大統領がクレジットカード金利の上限設定を提案する中、今週も米銀行による第4四半期および年間の決算発表は続いています。

ドル/円が為替介入水準に達する

日本の利回りと円は、高市首相が衆議院における自民党の過半数回復を目指し、短期戦となる解散総選挙を準備しているとの報道を軽視していません。現在、投開票は2月8日と報じられています。10年債利回りは1999年以来の高水準に急騰し、ドル/円は為替介入の警戒水準に達しました。利回りと円に対する上昇圧力は、日銀が積極的に介入するか、あるいは高市首相が衆議院解散総選挙の計画を撤回するまで続くと見られますが、現時点で解散総選挙の撤回は考えにくい状況です。