デイリーコメント – 不安定な米株式市場がリスク選好度の重石に

投稿日: 2026年2月5日20時47分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

• 株式および暗号資産は下落基調
• 米ハイテク株の下落は継続
• 米ドル高は一服、注目は本日のECBと英中銀の会合へ
• 英国の政治懸念が深刻化、ポンドは下落圧力を受ける

ハイテク株が低迷、ビットコインは3カ月ぶりの安値

月曜日に見られたリスク資産の持ち直しは長続きせず、投資家はほぼ日々、新たな逆風に直面しています。現在の控えめなリスクオフ姿勢は、主に米株式指数の弱さに起因しています。AIの段階的な導入が、新時代への移行期にある一部の業界にとっては、追い風というよりも、悩みの種となっています。さらに、ハイテク企業による巨額のAI向け設備投資計画への懸念も重なり、投資家は当面の見通しに対して不安を抱いています。

S&P500指数の情報技術セクターは、今週3.7%下落し、これで6週連続のマイナスとなっています。これは、世界が新型コロナ禍からの回復局面を迎え、FRBが金融引き締めに転じ、株価の過剰なバリュエーションが懸念されていた2022年5月以来、最も長い下落局面となっています。興味深いことに、当時は2023年初頭にかけて局所的な底値を付け、これが現在の市場水準に至る上昇相場の基盤となりました。

暗号資産とシルバーは、現在の脆弱なリスク選好度の影響を強く受けています。ビットコインは2025年11月以来、イーサリアムは2025年5月以来の最低水準で推移しており、暗号資産市場が投資家の関心を失いつつあることを示唆しています。重要なクラリティ法案を巡る進展の遅れが原因として挙げられるものの、暗号資産市場に対する関心の低下が見受けられています。シルバーもこの状況の一因として挙げられ、最近のシルバーの急騰により、暗号資産へのホットマネーが流出しています。

ゴールドは暴落を乗り切る、トランプ大統領はFRBに利下げを要求

予想どおり、現在の市場環境においてゴールドはシルバーよりも落ち着いた値動きを見せています。ゴールドは4,900ドルの水準をやや下回って推移しています。地政学的リスクがゴールド相場を下支えしており、強気派の投資家は長期的な上昇トレンドが継続すると考えています。

トランプ大統領は、FRBに対しての従来どおりの発言を続けており、これがFRBの独立性に対する懸念を煽り、ゴールド相場をサポートしています。今後の市場の注目は、ウォーシュ氏を次期FRB議長として承認するための、上院での公聴会に移る見通しですが、現時点ではその日程はまだ確定していません。

それまで投資家は、発表される各種データの内容を消化しつつも、金利見通しを大きく変更することはなさそうです。現在、市場では0.50%相当の利下げが織り込まれており、昨日発表された軟調なADP雇用者数の結果が、発表が延期されている米雇用統計(NFP)が好調となる期待を後退させました。尚、一時的な米政府機関の一部閉鎖を受けて、米雇用統計の発表は2月11日(水)に変更、米CPIは現時点で2月13日(金)に発表予定となっています。

米ドル高は一服、本日は英中銀とECBが会合開催

米ドル指数は今週0.7%上昇しており、タカ派的な豪中銀によって押し上げられている豪ドルを除けば、米ドルは為替市場全般で上昇しています。一方、昨日発表されたユーロ圏のサービス業PMIが軟調であったにもかかわらず、ユーロに対するドル高の流れは一旦一服しているようです。

本日の注目はイングランド銀行とECBの金融政策会合に移ります。12:00(GMT)には、最近の堅調な英国のデータが、大半のハト派当局者らを静観させるに至ったのか、それとも再び5対4の投票結果となり、3月の利下げ観測が高まるのかが明らかになります。また、四半期ごとのインフレ予測や英中銀のベイリー総裁の記者会見も注目され、投資家は金融政策委員会(MPC)が示すインフレ持続性に関するリスク評価にも注視しています。市場は現在、2026年の利下げ幅を0.38%と織り込んでおり、本日、サプライズ利下げが実施される可能性はわずか5%にとどまっています。

興味深いことに、最終的には政治動向が市場の注目をさらう可能性があります。スターマー英首相は、駐米大使を務めたマンデルソン元上院議員が、性犯罪で起訴され勾留中に死亡した米実業家エプスタイン氏と親交があったとされる問題を巡り、スターマー首相の任命責任を問われていることからの圧力を受けており、これが現在のポンド安を助長しています。

最後に、本日13:15(GMT)にはECBの声明が発表され、その30分後には通常通り記者会見が行われます。利下げは見込まれていないため、市場の殆どの関心は、ラガルドECB総裁の質疑応答へと集まることになりそうです。

ほとんどのECBメンバーは、現在のユーロ圏の成長およびインフレの動向に概ね満足しているようですが、ユーロ/ドル相場の急騰、ウォーシュ氏のFRB議長指名、FRBの独立性、最近の市場暴落については懸念を示しています。これらの多くはECBの管轄外であるため、ラガルド総裁が持つ唯一の手段は口先介入であり、慎重な姿勢を示すことが本日の肝となりそうです。