デイリーコメント – 重要な米雇用統計を控え、リスクセンチメントはまちまち

投稿日: 2026年2月11日20時15分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

• 米株式および暗号資産は、月曜日の上昇分を反転
• 昨日の低調な米小売売上高を受け、市場の焦点は米雇用統計へ
• 本日の米雇用統計は7万人増の予想も、予想を下回る結果となるとの憶測が広がる
• ドル/円の下落が継続、米ドルは不安定なポンドに対しても下落基調

リスク選好度が後退

月曜日のリスク資産の力強い上昇は長続きせず、昨日、米主要株価指数は小幅な下落となりました。この下落はテクノロジーと金融株が牽引する一方で、S&P500を構成するセクターの内、公益事業と不動産セクターはともに堅調な上昇を記録しました。興味深いことに、S&P500とダウ工業株30種平均が史上最高値を更新、あるいはその直下で推移しているにもかかわらず、ナスダック100は直近の最高値から4%下落しています。これは、AI関連銘柄の上昇に一服感が出ている可能性、あるいは投資家がより、業績が景気動向に左右されにくいディフェンシブな銘柄へ資金をシフトしている兆候かもしれません。

特筆すべきは、ビットコインは7万ドル、イーサリアムは2,000ドルと、それぞれの水準を持続的に上回ることに失敗し、直近の下落トレンドを再開している点です。これにより、最近の安値を再び試す可能性が高まっています。

2026年に入ってからこれまでの米10年債利回りの低下が、株式市場の動きに一定の影響を与えた可能性はありますが、主な要因はおそらく米経済指標でしょう。昨日に発表された12月の米小売売上高は下振れサプライズとなり、米消費者の健全性に対する懸念を一段と強めることとなりました。また、アトランタ連銀のGDPNowモデルの第4四半期GDP成長率予測は3.7%へと下方修正されました。市場は現在、2026年内の合計利下げ幅を0.60%と織り込んでおり、これは2月初旬から0.10%増加しています。

興味深いことに、昨日、いずれもタカ派で2026年のFOMC会合での投票権を持つクリーブランド連銀のハマック総裁とダラス連銀のローガン総裁の発言があったものの、現在の市場の注目は、次期FRB議長候補として指名されているウォーシュ氏に向けられているため、この2名の発言には殆ど反応がありませんでした。本日、米労働市場に関する統計発表直後に予定されている、ボウマンFRB副議長の発言には、市場はより注目するかもしれません。

米雇用統計が脚光を浴びる

本日の焦点は、発表が延期されていた1月の非農業部門雇用者数(NFP)に移ります。エコノミストは、民間部門の雇用増加を主因として、前月比7万人増を予想しています。失業率は4.4%で横ばい、平均時給の伸びは3.6%へと鈍化すると見込んでいます。

この雇用統計をめぐっては、ここ2日間でホワイトハウスの国家経済会議(NEC)のハセット委員長および貿易顧問のナバロ氏が発言をしたことで、強い憶測が広がっています。いずれも、下振れサプライズとなった場合に備えての市場の期待値を管理しようとする内容であったため、これがリスク選好度をさらに後退させる要因となっています。

この見方は主要投資機関の間でも共有されており、本日の取引では米ドルが下落する可能性が高いことを指摘しています。これは、本日の米雇用統計で発表される2025年4月から12月迄の年次ベンチマーク改定の影響も考慮しています。もっとも、こうしたネガティブなセンチメントが広がっていることで、仮に米雇用統計が予想通りの結果となった場合、あるいは極端なケースとして再び10万人を超える増加となった場合には、市場が急激に反応し、米ドルが大きく上昇する可能性も高まっています。

円高は進行

今週は米ドルにとっては特に厳しい週となっており、為替市場全体で下落し、ポンドに対してさえも下落しています。中でもドル円相場の下落が市場の注目を集めており、ドルは円に対して2024年11月下旬以来、週間で最大の下落を記録しています。

ドル/円は重要なサポートゾーンを下回り、日本の総選挙後の下落が続いています。この下落の大きさから、選挙結果発表後に日銀当局が、レートチェックや更には実際に買い介入を通じて円を支えようと積極的に動いていた可能性が高いと見られています。本日、日本は祝日のため、流動性の低さも影響しているかもしれません。

今回は日本政府はこの円へのサポートに成功しており、またドル安からも恩恵を受けています。しかし、今後高市首相による大幅な財政支出に投資家が再度焦点を絞ると見られていることから、このドル/円を巡る戦いはまだ終わっていない可能性があります。

スターマー英首相は危機を乗り切ったか、ポンドは安定

スターマー英首相は最近の危機をどうやら乗り切ったようで、労働党内の主要な閣僚たちから支持を得ています。しかし、次の危機は同氏の首相職の命運を左右する可能性が高いことは明らかです。これは今後、ポンドがより高いボラティリティを示す公算が大きく、長引く政治的不安が表面化した際には下落しやすくなることを意味しています。