デイリーコメントー米国とイランの紛争激化でリスク回避広がる

投稿日: 2026年3月23日19時51分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・トランプ大統領がイランの発電所への攻撃を脅し、イランも徹底抗戦の構え
・原油高とインフレ懸念再浮上で米ドル反発
・ゴールドは続落、円は明日の消費者物価指数を前に介入リスク付近まで下落
・イラン戦争激化で米株価に引き続き重荷

米国とイランの紛争激化で米ドル反発

金曜日の米ドルは安定しましたが、先週は中東での戦争勃発から初めて週間での下落となりました。原油価格の高騰によって、世界中でインフレ加速への懸念となり、主要中銀がタカ派に転換しています。FRBもよりタカ派のように見えますが、先週のFOMC会合決定により、今年は利上げを行わない唯一の主要中銀になると見られています。

しかし、週末に米国とイランの緊張関係が悪化されたことを受けて、米ドルは本日安全資産への流入から恩恵を受けて上昇しています。トランプ大統領は土曜日にイランが48時間以内にホルムズ海峡を再開しなければイランの発電所を攻撃すると脅しました。イランは、この脅しを受けて、湾岸地域の米国同盟国にある重要なエネルギーと水のインフラを攻撃すると徹底抗戦の構えです。

このイランの脅しによって、海水の淡水化に依存している何百万人もの人々の命が脅かされており、特にイスラエルがさらに今後数週間の戦闘を計画している中、このイラン戦争がさらに数週間も長引くことが示唆されています。

原油価格は本日プラスで取引を開始しており、WTI原油は100ドルを超えた水準まで回復しており、戦争が継続してホルムズ海峡が閉鎖され続ける限り上昇し続ける可能性があります。エネルギー危機によるインフレへの影響が懸念されているため、投資家はFRBが今年利下げを行う合計幅をわずか0.15%と織り込んでいます。

FRB利下げ観測後退でゴールド下落

インフレ加速と主要中銀による利下げ観測が払拭されたことで、ゴールドは本日も8%も続落しています。しかし、ゴールドの下落幅は、米ドルの反発幅に比べると不相応に大きいため、FRBの利下げ観測が後退したことだけではなく、他の主要中銀による利上げ観測の再浮上からも影響を受けていることが示唆されます。

さらに、この地政学上の混乱によって、いつかはゴールドが安全資産として機能し始めると信じていた投資家までもがゴールドのポジションを清算することを決定した可能性があり、下落に勢いが増しているのかもしれません。

ゴールドは、約4,100ドル付近まで下落した後、再び200日移動平均線(SMA)をやや上回った付近まで若干反発しています。弱気派がおそらく4,000ドルを目標とする中、中東戦争が悪化する場合、ゴールドはさらに下落する可能性があります。

明日の消費者物価指数を前に円は為替介入警戒ゾーンへ

日銀によるタカ派メッセージによって、ドル/円は後退しましたが、その後再度反発して、現在は159円台で取引されており、日本政府による為替介入のリスクが再度高まっています。明日のアジアセッションでは、2月の日本の消費者物価(CPI)指数が発表される予定です。

1月の消費者物価指数では、総合指数は前年比で2.0%から1.5%、コア指数は前年比2.4%から2.1%とともに減速し、円安を起因とするインフレの上振れリスクがまだ具現化されていないことが示唆されました。

2月の消費者物価指数がさらに減速となる場合、日銀が4月に緊急に利上げをする必要性がいくらか緩和して、円がさらに売りとなる可能性があります。しかし、片山財務相が最近介入についての警告を露にしているため、実際の介入となる可能性もあります。

一方で、物価上昇の加速となる場合は日銀の見解を裏付けることになるため、円がすぐに上昇するかもしれません。どちらにせよ、ドル/円が160円に近づいて推移しているため、円を巡るリスクは上振れに傾いているようです。

中東戦争激化で米株下落

米株式市場では、主要3指数が全て赤字で取引を終え、ハイテク株の多いナスダックが最も下落しました。本日の米株先物はさらに下落で開場することが示唆されています。中東での戦争を巡る不確実性の中でリスク回避となっており、また世界の主要中銀が今後の予想金利経路を過度にタカ派に調整していることも伴い、株式にとってはマイナス材料となっています。

S&P500 は既に最高値から10%近く下落しており、200日指数平滑移動平均線(EMA)を大幅に下回っていることから、中東での敵対行為が継続する場合、さらなる下落への勢いと余地があることが示唆されています。S&P500の次の重要なサポートゾーンは、おそらく昨年8月と9月に下落が止まったゾーンとなる6,360付近となるかもしれません。