デイリーコメントーイラン戦争終結への期待後退で米ドルと原油価格が上昇

投稿日: 2026年3月27日18時37分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

・トランプ大統領はホルムズ海峡再開までの期限延長もさらに米軍派遣を準備か
・原油価格は回復幅拡大、米ドルも上昇
・ドル円が160円に接近で日本政府による介入に警戒感
・ゴールド下落もサポート見つけて反発、ナスダックは2%以上下落

市場はイラン戦争停戦に向けて混乱する報道に対応中

トランプ大統領がイランの発電所への攻撃停止の期限を延長すると言及し、中東での緊張緩和の可能性への期待が後退する中、昨日の米ドルは全ての主要通貨に対して上昇しました。

イランは今週初め、米国から提示された15項目の停戦案を拒否したものの、トランプ大統領がソーシャルメディアにて、米国はイランに対し10日間以内にホルムズ海峡を再開させるとし、停戦交渉も継続していて「順調である」と投稿しました。それにもかかわらず、イランは米政府と会談していないと関与を否定したことから、戦争は早急に終結となる可能性が低いとの懸念が高まっています。

さらに投資家の懸念材料となっているのは、米国防総省がイランに追加で最大1万人もの地上部隊の派遣を検討していると昨日ウォールストリートジャーナルが報道したことです。

数日以内に停戦となる見込みが消えつつある中、原油価格は反発幅を拡大しており、WTI原油は月曜日に85.75ドルの安値まで下落した後、96ドル台まで回復しています。さらに、インフレ懸念も高まっていることで、米国債利回りがさらに上昇しており、市場は現在、FRBが年末までに合計0.16%相当の利上げを行うと予想しています。これは、0.25%の利上げの確率が65%もあるということになります。

ドル円が160円に接近し、為替介入も近いか

ドル高によって、ドル/円が心理的障壁ゾーンである160円を試す水準まで上昇しており、日本政府による為替介入の懸念が高まっています。4月に日銀が利上げを行う確率が63%まで上昇しているにもかかわらず、円は米ドル上昇の犠牲となり、片山財務相は通貨変動に対抗するために、「断固とした措置も含めてしっかり対応する」と繰り返し介入を警告しています。

片山財務相はまた、原油価格の動きを主な要因として挙げており、為替市場だけでなくコモディティ市場も注視していくことと付け加えました。そのため、財務省が原油先物への介入の可能性も検討しているとの報道に説得力が増しています。とはいえ、ドル円の動きが円安というよりもドル高によって推移しているため、実際の介入への水準が押し上げられている可能性もあります。おそらく、片山財務相は161円から162円に達するまで様子見を選択するもしれません。

FRBが利上げ観測に反転でゴールドと株は続落

本日の米ドルは、ほとんどの主要通貨に対して安定していますが、リスクオン通貨である豪ドルとNZドルに対しては下落しています。ただし、だからと言って投資家の楽観姿勢が戻って来た訳ではありません。

そうは言ったものの、投資家はFRBによる利上げ観測を無期限に織り込み続ける可能性は低いでしょう。投資家はある時点で、現在の環境の下でのFRBの予想金利経路に満足し始めるかもしれません。その場合、安全を求めてゴールドを回避所として選択する可能性があります。すなわち、近い将来、ゴールドが安全資産として台頭する可能性は十分あります。結局のところ、ゴールドがさらに下落する場合、押し目買いを狙うトレーダーにとって魅力となるかもしれません。

ゴールドは昨日、インフレ懸念と利上げ観測により下落しましたが、本日は4,351ドル付近でサポートを見つけていくらか反発しています。

米株式市場では、主要3指数全てが1%以上下落し、ハイテク銘柄の多いナスダックは2.38%の下落となりました。本日の米国株先物は黒字となっているものの、FRBの利下げ観測が利上げ観測に移行したことで、通常将来のキャッシュフローを予想し、割り引いて評価される高成長ハイテク企業の現在価値(PV)の重荷となっています。このことを踏まえて、イラン戦争悪化を示唆するような報道によって、新たに株の売りが引き起こされる可能性もあります。