デイリーコメント – トランプ大統領がイランへの「極めて激しい」攻撃を示唆、原油が再急騰

投稿日: 2026年4月2日18時34分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog

• トランプ大統領の演説は、安心材料は乏しく、緊張激化を印象づける
• トランプ大統領はホルムズ海峡閉鎖への打開策を示さず、原油先物は再び100ドルを上回る
• 米ドルは再び上昇、リスク好選度が後退し、株価とゴールドは下落

イランに関するトランプ大統領の演説後、リリーフラリーが失速

トランプ大統領が米国の昨夜ゴールデンタイムに行った国民向けテレビ演説を受けて、イラン戦争の終結への楽観論が、今後の行方に対する新たな不安へと変わったため、リリーフラリーは長続きせず、再び苦境に陥りました。トランプ大統領が戦争は2〜3週間以内に終わる可能性があると示唆していたことから、演説前の市場は活気づいていました。

しかし、演説の中でトランプ大統領は戦争終結までの2〜3週間との期間は維持したものの、出口戦略についての具体的な説明は一切示しませんでした。また、トランプ大統領は「協議は継続中である」と述べるにとどまり、イランとの交渉の詳細には触れなかったほか、ホルムズ海峡がどのように再開されるのか、あるいは地上部隊が派遣されるのかについても言及はありませんでした。

代わりに、トランプ大統領はイランに対して「極めて厳しい」攻撃を加えること、そして「イランを石器時代に逆戻りさせる」などと強調しました。さらにトランプ大統領は、イランの発電所を攻撃すると新たに脅し、米国はホルムズ海峡に依存していないと繰り返したうえで、ホルムズ海峡は「自然に再開されるだろう」と述べました。

トランプ大統領が市場を落ち着かせるためにもう一歩踏み込むのではないかと期待されていたため、この強硬姿勢は多くの投資家にとって予想外となりました。しかし、結果的には株式市場の反発の大半を打ち消し、さらに重要なことに、原油価格の下落を反転させる結果となりました。

トランプ大統領は地政学的緊張の緩和に至れず、原油価格は急騰

重要な点として、トランプ大統領がイラン大統領が停戦を求めてきたと主張しているのに対し、イラン側はその主張を否定しているため、両国間でどれだけ対話が行われているのかについて、改めて不透明感が高まっていることです。

さらにトランプ大統領は、米国の同盟国がイラン戦争への応戦を拒んでいることへの怒りから、米国はNATOからの離脱を検討していると脅しています。米国はホルムズ海峡を通る石油・ガスの重要な供給がなくとも持ちこたえられるかもしれませんが、船舶の通行が恒久的に制限されれば、他国、特に欧州やアジア諸国が代替供給源を確保しようと努力する中で、世界のエネルギー価格は高止まりすることになるでしょう。

この件に関しては前向きな進展が見られており、本日ホルムズ海峡の安全確保に向けて協力体制を構築すべく、英国が35カ国との協議を主催する予定です。しかし、トランプ大統領が「我々は協力する」とは述べているものの、米国の支援なしでどこまで実現できるかについては疑問が残ります。

とはいえ、トランプ政権による積極的な関与がないことに加え、中東情勢の緊張が緩和する前に、事態がさらに深刻化する懸念が高まっていることから、原油先物は再び急騰しています。WTIは1バレルあたり106ドルを突破し、ブレント原油も一時108ドルに達しました。

株価とゴールドは下落

株式市場では、日経平均株価が2.4%下落し、今週の上昇分を帳消しにしました。欧州株式市場も軒並み下落して取引を開始しています。一方で、米株式市場では、ナスダック先物は約1.5%下落、S&P500先物も1.2%安で推移するなど、今週のテクノロジー株の力強い上昇は本日で終わる公算が大きくなっています。

ゴールドの反発も不安定な様相を見せており、4,800ドルの上抜けに何度も失敗した後、ゴールドは4,700ドルを下回りました。

FRBは金利を据え置くとの見通しから、米ドルが再び上昇

一方で米ドルはリスク回避姿勢の強まりを追い風に再び上昇し、過去2日間で失った主要通貨に対しての下落分のほとんどを取り戻しました。

昨日発表された一連の堅調な米経済指標も、米ドルの反発に寄与しているようです。ADP雇用統計によると、3月の民間雇用者数は予想を上回って増加しており、今週金曜日に発表の政府公式の米雇用統計で大幅な回復が見込まれることを示唆しています。また、小売売上高も予想を上回りましたが、この数値は2月分であり、中東情勢の影響が出る前のものとなっています。一方で、3月のISM製造業PMIは予想をやや上回り、投入価格指数は2022年以来の高水準に急上昇しました。

昨日の米経済指標の結果を受け、FRBの利下げ観測は後退し、さらにトランプ大統領の演説後にはまた一段と縮小しました。現在、市場はFRBが今年残りの期間は金利を据え置くと見ており、この見方はセントルイス連銀のムサレム総裁の昨日の発言によっても裏付けられました。

円とポンドは上昇を維持できず

他通貨では、円は再び下落基調となっており、米ドルは160円に向けて上昇しています。この水準は先週にも達しましたが、その際は日本当局が為替介入へのやや強めな姿勢を示すのみにとどまりました。

ポンドも本日下落に転じており、昨日イングランド銀行のベイリー総裁が、英国の成長鈍化に警戒感を示しつつも、「予防的な」利上げの可能性を示唆した発言を受け、1.33ドルを上回っていた水準から、1.32ドルに向けて下落しています。