デイリーマーケットコメント–米ISM製造業景況指数発表控え、米ドルは底堅く推移

投稿日: 2021年5月3日20時37分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 緩やかなリスク回避の流れ、月末の調整の動き、及びテーパリング言及で米ドル下落
  • 米株価は、大幅な上昇後の調整の動き
  • ISM製造業景況指数、及び豪中銀の政策発表に注目

米ドル下落

大規模な財政刺激策による経済回復ブームの兆しは、FRBによる政策金利据え置き姿勢によって、後退しました。その結果、市場は利上げ時期を延長して調整し、米ドルも下落しました。

今後、米経済成長が予想を上回った場合、FRBがハト派的姿勢を維持するかに注目が集まります。コモディティ価格上昇やサプライチェーンの混乱により、インフレ上昇の事例証拠も見られます。更に、バイデン大統領は、連邦政府の業務を請け負う労働者の最低賃金引上げの義務付ける大統領令に署名しました。

先週金曜日、ダラス連銀のカプラン総裁は、財政刺激策による経済回復の上振れリスク、及び金融市場の不均衡を指摘し、テーパリングの協議開始の必要性を繰り返し述べました。株式市場でのリスク回避の流れと月末の調整の動きを受けて、米ドルが上昇しました。

テーパリングの協議開始を呼びかけたのは、現在の所、FRBの中ではカプラン総裁のみで、テーパリングが早期に開始される見通しはありません。今後数週間にかけて、米経済指標の強い結果は、一過性として見なされ、米ドルの上値が重くなる傾向があるでしょう。しかしながら、米経済の力強い回復が一段と鮮明になると、夏の終わり頃には、FRBがテーパリングの検討を開始する可能性があるでしょう。

株式市場は明るい見通し

先週金曜日の米株式市場は、乱気流に直面しました。株安に繋がる明確な要因がなかったにもかかわらず、S&P 500の終値は0.7%下落しました。株価上昇後の若干の調整の動きは当然の流れであり、本日の米主要株価先物指数は上昇してのオープンを示しています。

株式市場は、明るい見通しとなっています。米経済は迅速に回復し、新型コロナウイルスの感染拡大が抑え込まれつつあり、FRBは緩和政策を少なくとも今後数か月は継続する模様で、現在、リスク資産には最高の環境が整っています。FRBが流動性供給を削減した場合でも、市場へのリスク回避の為、緩やかな削減となるでしょう。

欧州では、本日、デギンドスECB副総裁がワクチン接種が進み、経済が加速した場合、ECBは緊急緩和措置を段階的に解除できる見方を示しました。この発言を受けて、ユーロ/ドルは1.20ドル付近から回復し、株式市場でのリスクオンの流れが強まりました。しかしながら、現在のユーロ圏経済の状況から判断すると、ECBがテーパリングを検討するのは、かなり先になるでしょう。

ISM製造業景況指数、及び豪中銀政策発表に注目

本日に発表される主要な経済指標は、米4月ISM製造業景況指数になります。指標結果に加えて、今後数か月内のインフレ上昇の兆しを見極め、金曜日に米雇用統計の発表も控えていることから、新規受注項目、及び雇用項目も注視されるでしょう。

明日のアジアセッションでは、オーストラリア準備銀行の政策発表に注目が集まります。最近の雇用統計は堅調な結果となっていたものの、物価上昇圧力は横ばい推移となっていました。したがって、当面の間は、オーストラリア準備銀行が金融正常化を示唆する公算は小さいでしょう。