デイリーマーケットコメントー国債利回り上昇で、米ドル上昇、ゴールド下落

投稿日: 2022年5月3日20時50分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • FOMC政策会合を控え、米国債利回りがプラスに転じ、米ドル上昇、ゴールド下落
  • ハイテク銘柄の上昇で、米株価回復
  • 豪中銀利上げ、中国経済減速にもかかわらず、豪ドル上昇

国債利回りの影響

明日にFOMC政策会合を控える中、FRBの利上げが環境が整いました。昨日、米10年債利回りが大幅に上昇し、債券が安全資産としての地位を復活させ、株式以外の投資先はないとの見方が変わりました。

インフレ上昇以来、国債利回りは実質のコストであり、ビジネス、政策、及び金融市場に影響を及ぼします。国債利回りがマイナスの時には、国債保有は損失になる為、投資家の資金はリスクの大きい株式に流れます。しかしながら、国債利回りがプラスで上昇している場合、国債は再び魅力的な投資先となり、株式から国債に資金が流れます。この流れは金融市場にも影響を及ぼし、国債利回りが上昇すると、リスク資産が下落する傾向があります。

ポジティブなニュースは、FRBがインフレ高進を阻止できると見なしていることです。インフレが落ち着く見通しにより、国債利回りが上昇していることから、FRBの方針通りの流れが市場でできつつあります。

米ドル上昇、ゴールド下落

現在の市場の動きは、米ドル高の追い風となっています。米国債利回りが他国よりも上昇すると、資金が米市場に流れ、米ドルの需要の増加します。米利上げ観測、安全資産の需要増加、及び欧州と中国の経済見通し悪化を背景に、米ドル高が継続しています。

明日のFOMC政策発表は非常に重要となるでしょう。今後4回の政策会合で0.50%の利上げが予想されており、水準はかなり高くなっている中、FRBが市場予想に反した決定を下すことは困難でしょう。

コモディティ市場では、ゴールドが下落しました。国債利回り上昇と米ドル高の流れにより、ゴールドは1860ドル台を割り込みました。しかしながら、国債利回り上昇幅を鑑みると、ゴールドの下落は限定的でした。地政学リスクにより、ゴールドは、国債利回り上昇の打撃が小さい資産の一つになっています。

豪中銀の利上げ発表、米株価回復

本日、オーストラリア準備銀行が0.25%の利上げを決定しました。市場予想を上回る利上げ幅は、豪ドルを押し上げました。市場は年内残り11回の利上げを予想していますが、中国経済失速の中、見通しは悪化しつつあります。

株式市場の荒い値動きとなりました。昨日、米シティグループが出した1件の売り注文が引き金となり、欧州株式市場ではフラッシュクラッシュが起こり、株安の流れは米株式市場にも引き継がれました。しかしながら、その後の米株式市場は、ハイテク銘柄の上昇により大きく回復しました。

市場の流動性が低下する中、市場のボラティリティが上昇しています。財政刺激策の削減、及び金融引き締めが同時に進められる中、消費者は物価上昇に直面し、特に欧州と中国経済減速により、世界経済の見通しが悪化しつつあります。

ポジティブな面は、年末に向けてインフレ高進が収束する見通しで、景気後退の見通しが強まったり、中国が感染対策を緩和した場合、FRBによる積極的な利上げの必要性も低下することです。

本日には、AMD、ファイザー製薬、及びスターバックスの四半期決算が発表されます。