デイリーマーケットコメントー米小売売上高、FOMC議事録発表控え米ドル安定推移、米株高継続

投稿日: 2022年8月17日19時20分(JST)投稿. 詳細を読む JP Blog
  • 米大手小売業者の好調な決算結果は景気後退懸念払拭、ダウ工業株とS&P 500上昇
  • 外国為替市場は米経済指標とFOMC議事録に注目、米ドルは堅調推移を継続
  • 英消費者物価指数の予想外の上昇、及びNZ中銀のタカ派的見解で、ポンドとNZドル上昇

株価は楽観的観測を維持し、底堅く推移

米株式市場では、少なくとも米企業決算においては、景気後退懸念は材料視されず、深刻な景気後退が回避できるとの見方が広がりました。昨日のウォールマートとホームデポの決算発表では、売上高、純利益共に市場予想を上回り、2022年の従来の見通しが維持されました。

小売業の株価上昇が牽引し、S&P 500、及びダウ工業株が上昇しました。一方で、大手ハイテク企業の株価下落により、ナスダック指数は下落しました。

米国内でのインフレピークアウトの兆しにより、今後はコスト上昇による米企業への影響が一段と悪化する公算は小さいとの見方が広がっているようです。FRBが翌年の利下げに否定的な見解を示した後でも、米国債利回りが大きく上昇していないことも市場の安心材料となったようです。

経済成長を一段と促進させる為、中国政府は追加刺激策に前向き姿勢を示しています。今週月曜日には、中国政府は中期貸出制度の1年物金利引き下げを実施し、翌週にはローンプライムレートの引き下げを実施する模様です。

しかしながら、継続的なロックダウン実施によって打撃を受けた中国経済の活性化には不十分との見方が市場では広がっています。

本日のアジア株式市場は概ね上昇しました。欧州株価は上昇してスタートし、シスコシステムズ、及びターゲットの決算発表を控え、米主要株価先物指数は大幅に下落して推移しています。

米ドルは米小売売上高、及びFOMC議事録に注目

外国為替市場では、楽観的ムードは見られなかったものの、米ドルは対主要通貨で昨日の約3週ぶり高値付近を維持しました。円は強弱混合の動きとなりました。

米経済指標は、依然として相反する結果を示しています。米7月住宅許可件数、及び米7月住宅着工件数は予想以上の減少となりました。一方、米7月鉱工業生産は市場予想を上回るつい良い結果となりました。

本日、GMT12:30には、米7月小売売上高が発表され、消費活動の底堅さを見極める為、市場の注目が集まるでしょう。GMT18:00には、7月に実施されたFOMC政策会合の議事録も発表されます。

議事録では、利上げペースの鈍化の兆しは示されない公算が大きいでしょう。1%の利上げが協議されたことが明らかになった場合、市場に衝撃を与える可能性があります。

豪ドルとNZドルは下落、英消費者物価指数の結果でポンド上昇

本日、ニュージーランド準備銀行は0.50%の利上げを発表し、タカ派的見解で市場を驚かせました。0.50%の利上げは予想されていたものの、緩やかな利上げに期待していた一部の市場参加者を落胆させました。更に、ニュージーランド準備銀行は、オフィシャルキャッシュレートの見通しを引き上げ、従来の予想よりも早くに到達する可能性を示唆しました。

ニュージーランド準備銀行の発表を受けて、NZドルは上昇したものの、上昇は継続せず、現在は対米ドルで下落して推移しています。豪ドルは一段と下落し、豪第2四半期賃金物価指数が市場予想を若干下回った後、対米ドルで0.70ドル台を割り込みました。

ユーロとポンドは、若干上昇しました。英7月消費者物価指数の予想を上回る結果後、ポンドは急騰したものの、その後若干下落していました。英7月消費者物価指数は前年比10.1%増となりました。コアのインフレ指数も市場予想を上回った為、9月の0.50%の利上げがほぼ完全に織り込まれました。